- 作品 : 押入れのちよ
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : B
- 分類 : ホラー
- 初出 : 2007年9月10日~9月14日
- 回数 : 全5回(各回15分)
- 原作 : 荻原浩
- 脚色 : 浜田秀哉
- 演出 : 江澤俊彦
- 主演 : 今井朋彦ほか
後の直木賞作家・荻原浩さんの短編集「押入れのちよ」(全9編)から5編を取り上げてラジオドラマ化した作品です。
各1回(15分)ずつ全5回で放送されました。
荻原さんは本作品と同じ2007年に、もう1作、「僕たちの戦争」が青春アドベンチャーで原作として取り上げられているほか、10年インターバルを開けて2017年に「金魚姫」が採用されています。
純粋なホラーとは少し違う
本作品は、タイムトラベルものであった「僕たちの戦争」とは異なり、青春アドベンチャーでは意外と少ないホラー作品です。
といっても明確に恐怖心をあおるような作品は第2話と第3話だけで、第1話と第5話は切なくも優しい、ファンタジーに近い作品です。
また、第4話には終盤に(少しやけっぱち気味ですが)笑いの要素すらあります。
そのため、純然たるホラー作品を期待すると少し期待外れになると思いますので、ご注意ください。
各話の概要
さて、本作品のタイトル、主演俳優、内容及び一言感想は以下のとおりです。
各話の間につながりは全くなく、主人公もそれぞれ別。
主演の俳優さんも基本的に1話ごとに異なるのですが、その主演の俳優さんがモノローグの形でナレーションをする形式です。
なお、原作9編のうち「お母さまのロシアスープ」、「介護の鬼」、「予期せぬ訪問者」、「しんちゃんの自転車」の4編はラジオドラマになっていません。
№ | タイトル | 主演俳優 | 粗筋 | 一言 |
---|---|---|---|---|
1 | 押入れのちよ | 今井朋彦 | 失業した男が引っ越してきたボロアパートには明治39年生まれの少女の幽霊が住んでいた。 | ホラーというよりファンタジー。ちよ役の三村ゆうなさんの古風なしゃべり方に癒される。 |
2 | 七日間(原題「老猫」) | 吉見一豊 | 遺産として受け継いだのは屋敷だけではなく、従兄弟が飼っていた老猫も一緒だった… | 「何かが住み着いていた」という点は「押入れのちよ」と同じだが、こっちは純粋なホラー。 |
3 | 木下闇(このしたやみ) | 広瀬彩 | 幼い頃に妹が行方不明になった従兄弟の家。心残りがある姉は久しぶりにその家を訪ねるが… | これも明確なホラー。最後はちょっと意外だがあまり怖くはない。 |
4 | 殺意のレシピ | 吉見一豊・深浦加奈子 | 妻と別れたい夫と夫と分かれたい妻。それぞれが邪な計画を抱いて夕食に臨むが。 | 夫と妻の命を懸けた騙し合い…のはずだが、話はいつしかお笑いに。 |
5 | コール | 今井朋彦 | 死んだ夫と、夫を失ったばかりの妻と、二人の友人。夫は友人にある約束していたのだが。 | 「声が似ている」という設定の二役を一人で演じる今井朋彦さんの演技が聴きどころ。 |
珍しい形態
青春アドベンチャーでラジオドラマ化された原作小説のある短編作品集で、脚本家は同一で各話につながりが全くない作品というのも珍しく、あえて挙げるとすれば「ごくらくちんみ」や「あなたがいる場所」などでしょうか。
珍しい脚本家
なお、演出の江澤俊彦さんは「最後の惑星」、「神々の山嶺」など多くの作品を担当されている方ですが、脚色の浜田秀哉さんは本作品のほかには、「死神の精度」しか担当されていない珍しい方です。
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