ストーリーボックス ザ・トーキョー 作:黒瀬ゆか他(青春アドベンチャー)

格付:B
  • 作品 : ストーリーボックス ザ・トーキョー
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : B
  • 分類 : 多ジャンル(競作)
  • 初出 : 2020年7月6日~7月10日
  • 回数 : 全5回(各回15分)
  • 作  : 下表のとおり
  • 演出 : 真銅健嗣、川岡ゆきみ
  • 演出 : 村川絵梨ほか(下表のとおり)

本作品「ストーリーボックス ザ・トーキョー」が放送されたラジオドラマ番組「青春アドベンチャー」は、毎日15分ずつ連続10回程度で長編のラジオドラマを放送する番組です。
ただし、時々、1日15分でストーリーが完結するオムニバス形式の作品を放送することもあり、本作品はそうした短編オムニバス作品のひとつです。

新しいオムニバスシリーズ?

オムニバス作品としては「不思議屋百貨店」などタイトルに「不思議屋」と入ったシリーズや、「インテリア・ライフ」などタイトルに「ライフ」と入ったシリーズが放送されてきたのですが、近年、両シリーズとも新作が途絶えています。
そうした中放送された本作品「ストーリーボックス ザ・トーキョー」は、2019年2月に放送された「夜のストーリーボックス」に続く、タイトルに「ストーリーボックス」と入ったシリーズです。
登場人物が主に社会人、テーマ縛りではなく舞台縛りである、など両作品には共通点も多く、NHKから公式な発表は何らありませんが、ひょっとしたら新しいオムニバスシリーズが始まったのかもしれません(注:その後、3作品目「かおる、ストーリーボックス」が制作され正式にシリーズ化しました)。

舞台は東京

さて、各話は完全に独立した作品ですが、各話のタイトルにすべて東京の地名が入っていることからもわかるとおり、今回の統一舞台は「東京」。
それぞれ東京の片隅を舞台に小さなストーリーが展開されます。
「東京の片隅」という言葉から想像される通り、人生の一コマを切り取ったような身近なストーリーの作品が多いのですが、第1話の「上野のスナイパー・ツルコ」だけはかなり振り切ったファンタジー(?)作品です。

各回の内容一覧

本作品の各話のタイトル、脚本家、内容及び一言等は以下のとおりです。
各話ごとに主演は変わりますが、すべての作品に出演する村川絵梨さん(2005年下期の朝ドラ「風のハルカ」主演)と亀田佳明さん(「フラワー・ライフ」、「また、桜の国で」など)が全体の主演格。
ただし第2話のみ主演はこのおふたりではなく、この回のみ出演の八木優希さん(「王妃の帰還」)です。

◆第1話 「上野のスナイパー・ツルコ」 (黒瀬ゆか)

分類 : 幻想(日本/シリアス)
格付 : B+
主演 : 村川絵梨
警察学校を出たのになぜかスナイパー。ツルコの今度のターゲットは人体改造でパンダになった男。


パンダ風俗店「上野パンダフルランド」って一体…。でもなぜか割と面白い

◆第2話 「渋谷さんぽ」 (門前日和)

分類 : 少年(中高)
格付 : B
主演 : 八木優希
高校生のフミカ、イラストレーターのアヤネ、サラリーマンのユキオ。今日も3人は渋谷をぶらつく。


ストーリーボックスでは珍しい女子高生が主人公の作品。でも半ばはお仕事もの。

◆第3話 「お台場はそっちじゃない」 (出川真弘)

分類 : 職業
格付 : B
主演 : 亀田佳明
私はペーパードライバー相手の出張講師。本日の出張先は世田谷の高級住宅。お客様の希望はイケメン講師…


小沢真珠さん演じるお客様の腹立たしさと、亀田さん演じる主人公の人生の苦悩感がいいコントラスト。

◆第4話 「新宿のドヤ」 (美野洋平)

分類 : 日常
格付 : B-
主演 : 亀田佳明
新宿駅からほんの数分歩けば今でも簡易宿泊所”ドヤ”がある。しかしある日、そのドヤにも…


なんともいじましい話。理不尽な人生でも精一杯生きることは美しいと思うがこの話を肯定できるかはまた別問題。

◆第5話 「高田馬場で、ごちそうさま」 (渡辺由佳)

分類 : 日常
格付 : B
主演 : 村川絵梨
北陸の地方都市から就職のために上京して3年。今日東京を去る前に最後にもう一度、あの店に行こう。


日々の生活に疲れた若い女性が食堂で元気をもらう。良くも悪くも普通の話。

コンテストの入賞者による脚本

青春アドベンチャーでオムニバス作品が放送される背景には、若手の脚本家の育成、登用機会の確保という側面もあると思います。
実際、今回脚本を書かれた5人の方は皆さん、2018年又は2019年にラジオドラマ脚本の公募コンテストで賞を取り、FMシアターで作品が放送された方ばかりです

  • 黒瀬ゆかさん「家族のコツ」(2018年、BKラジオドラマ脚本賞・最優秀賞)
  • 門前日和さん「母ちゃんと王様」(2018年、創作ラジオドラマ大賞・佳作)
  • 出川真弘さん「灰色のカンバス」(2018年、創作ラジオドラマ大賞・大賞)
  • 美野洋平さん「ごらん、花々の彩りを」(2019年、創作ラジオドラマ大賞・佳作)
  • 渡辺由佳さん「幽霊シッター」(2019年、創作ラジオドラマ大賞・佳作)

◆ストーリーボックスシリーズの作品一覧
全5話で構成されるミニ・オムニバス作品の「ストーリーボックス・シリーズ」。
不思議屋シリーズライフシリーズ10人作家シリーズの系譜を受け継ぐ脚本家競作オムニバスの最新シリーズの一覧はこちらです。


コメント

タイトルとURLをコピーしました