踏切の向こう側 作:坂下泰義(FMシアター)

格付:B
  • 作品 : 踏切の向こう側
  • 番組 : FMシアター
  • 格付 : B-
  • 分類 : 少年(中高)
  • 初出 : 2018年5月12日
  • 回数 : 全1回(50分)
  • 作  : 坂下泰義
  • 音楽 : 堀口純香
  • 演出 : 中村周祐
  • 主演 : 岡山天音

朝の5時から1時間ごとに交代しつつ夜の12時まで。
踏切前での交通量調査のバイトは、意外と疲れるけど、単調といえば単調、退屈と言えば退屈なバイトだ。
しかし、夕方、通りかかった女子高生に声をかけられたことにより状況は一変してしまった。
「最終電車に飛び込むつもりなんです。迷惑かけたらいけないので予め言っておきますけど。」…ってオイ。
勘弁してくれよ。


本作品「踏切の向こう側」はNHK-FMのFMシアターで2018年5月に放送されたラジオドラマです。
もともと本作品の脚本は平成29年度(第33回)NHK名古屋放送局創作ラジオドラマ脚本募集で最優秀賞を受賞したものですし、ラジオドラマの放送後には第30年度(第73回)文化庁芸術祭にも参加した作品でもあります(残念ながら賞は受賞せず。ラジオドラマ部門の受賞作は「73年前の紙風船」でした)。
ついでにいうと、当ブログが実施した「2018年FMシアター・特集オーディオドラマ人気投票」でも第1位となりました。
つまり本作品の出来は各方面から保証されているところではあるのですが…
個人的には今一つでした。
これらの情報や公式HPを読んでの期待値が高すぎたのかな。

ストーリーの流れ

ストーリーのアウトラインはほぼ冒頭の粗筋で予想されるとおりに進みます。
主人公の阿部修司は、見ず知らずの女子高生カスミの自殺願望を聞き、迷惑に思いながらも思いとどまるように説得を始めます。
しかし、カスミを説得しているうちに自身の内にもカスミが抱えているのと同質の生きづらさがあることに気が付き、だんだん説得する自信をなくしていきます。
そして自分の父の生き方などに思いをはせているうちに終電の時刻が近づいてくるのですが。
さて、カスミは、修司は、どのような選択をするのか。
…といったところでしょうか。

ラジオドラマ向きの舞台設定

本作品の良いところはまず交通量調査のアルバイトという場面設定。
1時間ごとにオンとオフが交互にくるため、場面が定期的に入れ替わる仕掛けになっています。
ちなみに修司はカスミにオフ(休憩)の時間にしか会えません。
踏切の警報音、交通量を図るカウンターの「かちっ」という音もラジオドラマであるからこそ印象的な演出の道具に使えます。
また、基本的にはセリフ劇ですので、カスミの発言の鋭さ、修司が自問自答するモノローグのセリフ回し等、50分を飽きずに聞くことができる脚本もなかなか聞かせるものになっていると思いました。

共感できるか

ただ、こういう作品は登場人物の主張に共感できるかがすべてだと思います。
そういう意味でこれが気に入る方も多いのだと思うのですが、私はあまり共感できませんでした。
(猫背だとはいえ)美人でスタイルのいい女子高生が「生きるのがつらいけど今すぐ死にたいのではない」とか「生きている実感がない」とか。
もちろん言いたいことはわかりますよ。よーくわかります。
でもそれを聞かされて、だから死にますと言われてもねえ。
挙句の果てに、死んだ修司の父の生き方に対して「騙されて踏みにじられて、そんなにされてまで生きる意味あります?」って随分、上から目線。
まあ修司の父の「転んでも必ず立ち上がる」生き方も結構鬱陶しいものではありますが。

釈然としない

そもそも本当に自殺するならなぜ修司のいる踏切に拘るのだろう。
結局止めて欲しかっただけなのでは?
結論に至る過程も今ひとつ納得できない。
言いたいことを言ってすっきりしただけ?
自分だったら、ある程度説得したらさっさと警察と鉄道会社に通報かな。
こちらだって生きづらいし、毎日生きているだけでつらくて苦しいのです。
「かまってちゃん」に対応している余裕はないっす。

ファンの皆さまご容赦を

…などと辛口に書いてしまいました。
読んでいて気に障った方がいらっしゃったら、ごめんなさい。
こういうのが気に入る気に入らないは紙一重だと思います。
気に入った方の感性を否定する気は一切ありません。
このブログは私個人の感想を書くものなので、そこだけはご容赦ください。

岡山天音さんと久保田紗友さん

さて、主人公の阿部修司を演じたのは俳優の岡山天音さん(24歳)。
本作品の後、2019年1月~2月にMBSのTVドラマ「ゆうべはお楽しみでしたね」で本田翼さんとW主演、2019年3月にNHKのTVドラマ「週休4日でお願いします」で飯豊まりえさんとW主演など、最近はTVドラマでの活躍が目立ちますね。
一方、カスミを演じた久保田紗友さんは放送当時18歳の女優さん。
実際、美人ですよね。
その他、落語家の役に本職の林家錦平さんを充てています。
本作品、林家いっ平さん(現、三平さん)など本職が多数出演した「しゃべれどもしゃべれども」のように、本職の落語家でないと難しい場面がさほどあるわけではないないのですが、あえて本職をキャスティングするあたりはNHKらしいところです。



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