三匹のおっさん 原作:有川浩(青春アドベンチャー)

格付:B
  • 作品 : 三匹のおっさん
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : B
  • 分類 : スラップスティック
  • 初出 : 2011年11月28日~12月9日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
  • 原作 : 有川浩
  • 脚色 : さわだみきお
  • 演出 : 木村明広
  • 主演 : 清水紘治

キヨは60歳で勤めていた会社の定年を迎え、長年勤務した会社の子会社が運営する近所のゲームセンターに再就職した。
時間は有り余っているが、気力、頭脳ともにまだまだ現役。
剣道の達人で腕っ節にも自信がある。
このまま楽隠居なんてガラじゃない。
そんなときに、近所の居酒屋「酔いどれ鯨」の元亭主シゲと工場経営者ノリから、一緒に近所の夜回りをしないかと声をかけられる。
幼い頃に近所の悪ガキ三人衆として名を馳せた三人が、町内の平和を守るため、再び立ちあがろうというのだ。
「三匹の老人」、いや自称「三匹のおっさん」として。



有川浩さんの小説を原作としたラジオドラマです。
青春アドベンチャーで有川さんの作品が取り上げられるのは本作が初めて(後に「旅猫リポート」も取り上げられました)。

人気作家の原作

アニメや実写映画にもなった「図書館戦争」や実写映画になった「阪急電車」で有名な作家さんです。
今回は妖精作戦シリーズの記事で有川さんの「レインツリーの国」に言及した関連で取り上げてみました。
ちなみに「レインツリーの国」はFMシアターの枠でラジオドラマ化されています。

老年アドベンチャー

さて、本作「三匹のおっさん」は何と60歳の老人…じゃなくて、おっさんが主人公です。
青春アドベンチャーで、例えば「プラハの春」など、舞台が現代で、成年の男性が主人公の作品が取り上げられると、某巨大掲示板などで「『青春』でも『アドベンチャー』でもない」、「中年アドベンチャー」などと揶揄されたりするわけですが、その伝でいうと本作はいわば「老年アドベンチャー」!
実際に聴いてみると、全体のナレーションをキヨの孫である祐希(演:石田法嗣さん)がしており、祐希と早苗(ノリの娘)の恋愛話もあったりするので、あまり違和感はないのですが、改めて考えると「青春」アドベンチャーとしては画期的な企画です。

舞台は身近

この「三匹のおっさん」が解決する事件も、かつあげ・痴漢・結婚詐欺・勧誘詐欺・催眠商法(健康食品)など、ごく身近な問題ばかり。活動範囲もずばり「ご近所」。
これだけ聞くと、とてつもなく地味な話のようですが、キヨの剣道、シゲの柔道に加え、マッドサイエンティストならぬマッド町工場社長であるノリの違法スタンガン攻撃など、乱闘シーンも充実?しており、結構な冒険活劇になっています。
また、人生経験豊富な三匹ですので詐欺などの頭脳犯(あくまでご近所レベルの頭脳犯ですが)との対決もお手のものです。
考えてみれば、身近といっても、チンピラも痴漢も詐欺師も、実際に対決するならばそれなりにやっかいな相手。
十分なアドベンチャーではあります。

配役も渋い

主演のキヨ役は名優・清水紘治さん。
67歳の清水さんをはじめ、シゲ役の石田太郎さんが67歳、ノリ役の河西健司さんが62歳(いずれも放送当時)と、三匹は役の年齢に近い方々を揃えており、何とも渋い主役陣であります。
石田太郎さんといえば二代目刑事コロンボ(吹き替え)でも有名ですが、青春アドベンチャーでは「有頂天家族」の赤玉先生など、印象的な役がいくつかあります。

河西さんも老人役かあ

河西健司さんは最近の青春アドベンチャーでは「鏡の偽乙女~薄紅雪華紋様~」に出演されているのですが、その他、この記事を書くにあたって検索してみたところ、何と1987年の「いつか猫になる日まで」(青春アドベンチャーの前身番組であるアドベンチャーロードの枠で「SFファンタジー」として放送)の木村役が出てきました。
少しだけ「いつか猫になる日まで」の音源を聞いてみたのですが、当たり前ながら、河西さん若い!
懐かしくて涙がちょちょ切れそうです。

前田希美さんの抑えた演技

ヒロイン?の早苗役は前田希美さん。
青春アドベンチャーでは「やけっぱちのマリア」のヒロイン・マリア役もやっていました。
「やけっぱちのマリア」ではテンション高く高音全開で演じていますが、低音の老人がやたらと多いこの本作では役柄(=親孝行な娘)にあわせて抑えた演技をしており、好印象です。



※2014/2/25追記
「三匹のおっさん」がテレビドラマ化されているようです。
放送はテレビ東京系列で、主役の三匹の役は北大路欣也さん、泉谷しげるさん、志賀廣太郎さんのお三方。
うん、このキャストも悪くないなあ。

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