- 作品 : ウォーターマン
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : AA
- 分類 : 幻想(海外)
- 初出 : 2006年7月10日~7月21日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 原作 : 松久淳、田中渉
- 脚色 : 井出真理
- 演出 : 真銅健嗣
- 主演 : ささきいさお
ウォーターマンとは海を愛し、海とともに生きる伝説のサーファー。
本作品は、ハワイの人々の憧れの存在であるウォーターマンたちの物語であり、彼ら彼女らと深い縁で結ばれた人々の物語。
人はウォーターマンと出会うことにより、多くの満ち足りた日常と、少しの奇跡に出会うのである…
(※追記をご参照ください)
松久淳さんと田中渉さんによる小説を原作とするラジオドラマです。
題材は「サーフィン」。
青春アドベンチャーでサーフィンがでてくる作品としては、「ラジオの前で」や「僕たちの戦争」がありますが、サーフィン自体が大きく取り上げられている作品は、本作品「ウォーターマン」だけ…と思ったのですが、思い出しました!
何らかの関連が?
「5つの贈りもの」の第4話・第5話もサーフィンがテーマでした。
そういえば「5つの贈りもの」が放送されたのは本作品の約半年前の2005年12月。
しかもスタッフも本作品と同じ脚色:井出真理さん、演出:真銅健嗣さんのコンビ。
そのせいか、両先品はどことなく似た雰囲気です。
各回の主人公たちの紹介
さて、本作品の各回にはサブタイトルがつけられており、そのサブタイトルと、各回で登場するサーファー(ウォーターマン)、各回の語り手たる主人公を一覧にすると下表のとおりです(カッコ内は演じた俳優さんです)。
基本的にはサーファーはハワイ人で、主人公たちは日本人ですが、最終話のみ、主人公もハワイ人です(日系人ですが)。
ちなみに舞台は第4話を除くとすべてハワイです。
話数 | タイトル | サーファー | 主人公 |
---|---|---|---|
1 | 人魚岩のおばば | 海から生まれたような男・ケビン(田宮英晃) | おばばの昔話を聞く現代っ子のカンジ(阪本浩之) |
2 | 流れ着いた銀河 | 海洋考古学者でもあるマーク(銀河万丈) | ハワイに留学中のマサミ(高橋理恵子) |
3 | シャッター・アンド・ライド | 突然コンテストに出るのをやめた元天才少年ジャック(天宮良) | ジャックの写真撮るためにデザイン事務所を辞めてハワイにきたカスミ(中野若葉) |
4 | やさしい水 | 日本人と結婚するためにハワイを離れたキャシー(松永玲子) | 娘と一緒に村の民宿にやってきた中村(小原雅人) |
5 | 波の上のメネフネ | 20年間近く無敗を立った伝説の男・レジェンドレイ(菅生隆之) | サーフィンで家族を見返すためにハワイにやってきたカズ(萩野崇) |
6 | ブラックバード | サーファーであると同時にライフガードとしても一流だった日系人・堅太郎(???) | ポリネシアン以上にハワイの風習を大事にする久美子(野間洋子) |
7~10 | 千の波 | ??? | 堅太郎の娘でサーフィンを嫌っている千波(???) |
各回のつながり
さて、このように紹介すると、本作品はサーフィンをテーマにした連作短編集と思われるでしょう。
実際、各物語がつながりそうでつながらない状態が続いたこともあり、第5話あたりまでは私もそう思いながら聴いていたのですが、そうではないのです。
第6話から急に話がつながり始め、そのまま連続する形で第7話から始まる中編に突入します。
そしてこの第7話以降の千波の物語に、前半の要素が集約されて、最終話に向かって話が収束していきます。
枠の放送形態にあっている
この原作を見つけてきたのは、「封神演義」や「光の島」、「垂直の記憶」など、独特な作品が多い演出の真銅健嗣さんでしょうか?
それともその他のスタッフなのでしょうか?
青春アドベンチャーの放送形態にあった作品で、なかなかナイスな作品選択です。
また、本作品は原作の選択が良いだけではなく、ラジオドラマとしても凝った構成をしています。
まず、第1話からナレーションをしている、ささきいさおさんと平栗あつみさんですが、なぜこのおふたりがナレーターだったのかは、第7話あたりからわかるようになっています。
脚色も凝っている
また、気になって原作もパラパラとみたのですが、原作では第1話・第2話・第4話・第6話の主人公たちは「私」や「僕」と自称するのみで、名前がない役です。
しかし、このラジオドラマではすべてちゃんと名前が設定されており、音のメディアであるラジオドラマ向けにわかりやすくしようとする意図を感じます。
そもそも、原作の前半部分はかなりボリュームの薄い内容なのですが、このラジオドラマではそれぞれ15分に対応した1本の短編並みの作品に再構成されています。
それでいながら、原作第2章の「波と書」とそれに関係するサーファー神谷の話はバッサリとカットしてます。
本作品の脚色は「渚にて」や「ザ・ワンダーボーイ」の井出真理さんですが、この放送枠になれている井出さんならではの出来だと思います。
期待以上だと特に嬉しい
正直、私は幻想系や日常系の作品、児童文学原作の作品、オリジナル脚本の作品などは、いまひとつ肌に合わない作品が多く、あまり期待しないで聴いています。
しかし、時々うれしい方向で期待を裏切られることもあります。
本作品はそのひとつです。
こういうことがあるから青春アドベンチャーを聴くのはやめられませんね。
※2015/2/8追記
某YouTubeの動画の紹介文にこの文章がパクられていること気が付きました。
こちらの文章がオリジナルであることと、例の動画の投稿者とこのブログの管理人は一切関係がないことを、ここに宣言します。
それにしても、どうせパクるならもっと良い文章があるでしょうに、なぜ私の駄文を…
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