- 作品 : ごくらくちんみ
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : C+
- 分類 : 旅とグルメ
- 初出 : 2009年6月15日~6月19日
- 回数 : 全5回(各回15分)
- 原作 : 杉浦日向子
- 脚色 : 井出真理
- 演出 : 真銅健嗣
- 主演 : 川上麻衣子ほか
青春アドベンチャーはひとつの話を通常15分×10回程度で放送する場合が多いのですが、1話完結の短編で構成される作品もあります。
このブログでは短編集は積極的には紹介しない方針としているのですが、同時に近年(2011年・2012年)放送された作品は早期に取り上げたいとも思っており、今回は短編集である本作品を取り上げることとしました。
本作は漫画家・江戸風俗研究家であった杉浦日向子さん原作の全5回の短編集です。
毎回、女性の主人公(各話ごとに異なる)の生老病死を、以下の珍味(酒肴)と絡めて語る内容で、単なるフィクションというよりグルメ薀蓄を交えたエッセイ風の雰囲気を持つ作品です。
取り上げられている珍味
各話で取り上げられている珍味は以下のとおりです。
- たたみいわし
- じゅんさい
- このこ
- からすみ
- 鮭の酒びたし
2005年に46歳で早世した杉浦さんの晩年の作品だからか、大部分の話で”死の匂い”がする気がします。
とはいえ基本的には酒のつまみの話ですし、作品のトーンは全般に軽妙で、15分で聴き切るのにちょうど良い内容だと思います。
何となく感じる違和感
ただ、娯楽作品としては中途半端な印象を受けました。
このようなグルメをネタにしている作品は、ネタにしている料理と作者が言いたいことが上手く結びつなかいと単なるグルメ薀蓄になってしまうと思います。
この作品に関しては、たたみいわしを*児(ネタばれ防止のため伏字にしました)に例えてそれを食べちゃったり、からすみの食感を**症に例えたり、私が男性だからかも知れませんが、どうにも付いていけず、上手く作品に入り込むことができませんでした。
比較は失礼かもしれないけど
例えば同じグルメものでも、現在テレビで放送中の「孤独のグルメ」(久住昌之・谷口ジロー原作)における原作者からメッセージである「時間や社会にとらわれず、幸福に空腹を満たす時、彼はつかの間自分勝手になり、自由になる。孤独のグルメ-。それは、誰にも邪魔されず、 気を使わずものを食べるという孤高の行為だ。 そして、この行為こそが現代人に平等に与えられた、 最高の癒しといえるのである。」は、以前から私が何となく思っていたことを上手く言い表していると感じられ、素直に共感できました。
共感できるか否か
根底に作者の思いへの共感があるからこそ、食というものが本質的に有する可笑しさ・滑稽さを素直に受け入れて楽しく視聴できているのだと感じてます。
その点で「ごくらくちんみ」については作者の思いと上手くシンクロすることが出来ず、話のタネに使っているグルメも何か無理矢理こじつけているような違和感を感じてしまいました。
単に私が死というものを本当に身近に感じていないからかも知れませんが。
出演者について
主演は川上麻衣子さんなど、毎回異なる女優さんが勤めており、その他のキャストも女性が中心です。
男性で目立つのはナレーションの銀河万丈さん。
銀河万丈さんについてはアドベンチャーロード時代の「A-10奪還チーム出動せよ」のウイルスン役のようなダミ声が印象的なのですが、あのダミ声は地声ではないんですね。
今回のように普通に話すととても素敵な声だと思いました。
なお、本作には2011年に制作された第2シリーズがあります。
別記事で紹介しています。
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