脱獄山脈 原作:太田蘭三(アドベンチャーロード)

格付:AA
  • 作品 : 脱獄山脈
  • 番組 : アドベンチャーロード
  • 格付 : AA
  • 分類 : 冒険(山岳海洋)
  • 初出 : 1985年5月6日~5月17日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
  • 原作 : 太田蘭三
  • 脚色 : 竹内日出男
  • 演出 : 笹原紀昭
  • 主演 : 津嘉山正種

妹が殺されたのは私のせいだ。
元警官でありながら殺人の汚名を着せられた私の無実を妹は信じてくれた。
そうだ、妹は私の無実の罪を晴らそうとして逆に殺されたのだ。
犯人はヤツだ。証拠はないが私にはわかっている。
このまま刑務所にいるわけにはいかない。
刑務所を脱獄して北へ向かう。
ヤツと対決しなければならない。
どんなに困難であろうとも。



本ラジオドラマ「脱獄山脈」は、青春アドベンチャーの前々身番組であるアドベンチャーロード時代に放送された作品です。
アドベンチャーロードはこのような大人向け(オヤジ向け?)のハードなエンターテイメント作品の多い番組でした。

ミステリーというより山岳冒険もの

元警官の一刀猛(いっとうたけし)、ヤクザの岩田、オカマの金井、詐欺師のおっさんの4人の脱獄犯に加えて、途中から自殺未遂の「ゆうこ」を加えた5人が、警察に追われながら北アルプスを縦走していきます。
殺人事件が絡んでいる話ですが、謎解きの要素は少なく、最終の第10話で突然事件が解決するため、ややオチが弱いという印象はあります。
しかし、雄大な自然と過酷な山行の中で、それぞれスネや心に傷を持つ彼らの心が浄化され、絆が強くなっていく姿が印象的です。
それにしても私は登山の趣味は全くないのですが、「北壁の死闘」にしろ、この作品にしろ、山岳冒険モノには強くひきつけられてしまいます。
なぜなんでしょうね。

どこかで見たような…?

ところでこの記事を書くにあたり改めて本ラジオドラマを聞いていると、何だか似たような話をどこかで見たような気がしてなりません。
それもなぜか俳優の佐藤浩市さんの顔が思い浮かびます。
そういえば微かな記憶ですが佐藤さんが出演されていて、山を舞台にしたテレビドラマを見たような気が…

TVドラマ版が存在した

調べてみるとこの脱獄山脈、テレビドラマ化されていることに気が付きました。
主演はやはり佐藤浩一さん。
私、これを見ていたのですね。
調べるまで同じ作品だと気が付きませんでした。
ヒロインを演じられた水島かおりさんのブログ(外部リンク)にもたどり着きました。
そうか、かわいい方がヒロインだった微かな覚えがありますが、水島さんという方だったのですね。
ブログを拝見すると撮影が大変だったらしい。
そりゃそうだ。

段田安則さんのイメージが…

それとオカマの金井の役が段田安則さんだったらしい、全然覚えがないけど。
アドベンチャーロード的にいうと段田安則さんといえば「西風の戦記」のレオン・パラミデュース。
笑っちゃうくらい違う役ですね。

こんな声に生まれたかった

さて、話をこのラジオドラマに戻すと主役の一刀を演じられたのが津嘉山正種さん。
アドベンチャーロードや初期の青春アドベンチャーを聞いていた方であれば、すぐ後の時間にやっていた名番組「クロスオーバーイレブン」のパーソナリティの方といえばすぐにわかるのでは。
俳優として、洋画の吹き替え声優として、多数の名演技が思い出される方ですが、「カイジ」の兵藤和尊、「Fate/Zero」の間桐臓硯など、強烈な悪役として今でも現役です。
それにしても、何と渋くカッコイイ声。
こういう声に生まれたかった。

大塚周夫さんもいいなあ

脇役も渋いです。
岩田役の大塚周夫さんも悪役の似合う超ベテランの俳優(声優)。
チャールズ・ブロンソンやねずみ男(ゲゲゲの鬼太郎)といえば誰もが声を思い浮かべられると思います。
個人的にはやはりアドベンチャーロードの名作「A-10奪還チーム出動せよ」のシュタッヘル役。
このようなくせのある役をやらせたら天下一品です。
津嘉山さんや大塚さんのようなベテランが健在なのを見ると本当に嬉しいです。

その他の出演陣も懐かしい

その他、一刀の親友で、一刀を追うことになる相馬刑事役は「世紀の大冒険レース~アムンゼンとスコット」のアムンゼン役が印象深い草野大悟さん。
残念ながら、草野さんは1989年に51歳という若さでなくなられているそうです。
その他にも八木光生さん、須永宏さん、関根信昭さん、三田松五郎さんなどの東京放送劇団出身の方や宮川洋一さん(イカロスの誕生日)など、アドベンチャーロード時代や初期の青春アドベンチャー時代の名脇役の方々が多数出演されています。
懐かしいなあ。

【笹原紀昭演出の他の作品】
アドベンチャーロード期を中心に多くの傑作アクション作品を演出された笹原紀昭さん。
演出作品はこちらに一覧を作っています。


※ 原作者の太田蘭三さんが2012年10月22日に亡くなられていたそうです。
この記事をアップしたのは2012年11月18日。全然知りませんでした。
ご冥福を祈ります。

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