不思議屋貿易商 作:山本むつみ他(青春アドベンチャー)

格付:B
  • 作品 : 不思議屋貿易商
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : B-
  • 分類 : 多ジャンル(競作)
  • 初出 : 2005年2月14日~2月25日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
  • 作  : (下表のとおり)
  • 演出 : 大久保篤
  • 主演 : 尾美としのり、奥貫薫

青春アドベンチャーを代表する脚本家競作のオリジナル短編集作品シリーズ「不思議屋」シリーズ
本作品「不思議屋貿易商」は、全部で8作品制作された不思議屋シリーズの6作品目にあたり2005年に放送されました。

多分もう新作はない

最後の不思議屋シリーズである「不思議屋料理店」(2007年)が制作されてからすでに8年以上が経過していますが、案内役としてこの作品の看板であった永井一郎さんが昨年急逝されていますので、おそらく不思議屋シリーズの新作が制作されることはないと思われます。

尾美としのりさんと奥貫薫さん

さて、不思議屋シリーズは、永井一郎さんのほか男女一組の主演者が、1回毎に全く異なった物語を演じる作品です。
本作品「不思議屋貿易商」では、永井一郎さんに加えて、大林宣彦監督映画の常連だった俳優の尾美としのりさんと女優の奥貫薫さんの3人で全ての役を分担しています。
尾美さんは「不思議屋博物館」の一部作品でも主演されていましたね。

全般的にマンネリ気味?

さて、本作品の各回のタイトル、担当した脚本家さん、ジャンル、格付け、概要及び一言は以下のとおりです。
この不思議屋シリーズ、その名のとおり、ちょっと不思議なもの(涙とか記憶とか)を取引する話がやたらと多く、はっきりいってマンネリ気味のシリーズでした。

各回の紹介

本作品でも第3回や第6回はそんな感じなのですが、一方で、第5話・第6話など、オチにひとひねりある作品もありました(両作品とも永井一郎さんのブラック気味な演技が心地よい)。
10回もあるとどうしても辛めの評価の回も出てきてしまい、平均すると他の不思議屋シリーズと大差ない格付けになっているのですが、全体的な印象はなかなか良い作品です。

◆第1話 「水上の都より来たる」 (山本むつみ)

分類 : ホラー
格付 : C+
珍しいものばかり扱う不思議屋貿易商。なぜそのようなものが仕入れられるのか?


過剰にファンタジックな話と思いきや終盤はホラー風に締めている分、+評価。

◆第2話 「どこかの戦場」 (森顕一朗)

分類 : コメディ
格付 : C+
あっちゃこっちゃ砦に大軍が迫る!ガッツで踏み止まるか?武器商人に頼るか?


この回の不思議屋貿易商は武器商人!永井さんの熱演は買うがコメディとしては微妙。

◆第3話 「オーロラの光」 (井上美穂)

分類 : 幻想(日本)
格付 : B
涙にはお金より価値があるものがある。涙と引き替えに兄が頼んだものとは?


素直に、病床の妹の病気を治せる薬を頼んじゃえば良いのでは?

◆第4話 「温泉ショック」 (金杉弘子)

分類 : 職業
格付 : B-
日本中の温泉が出なくなった。温泉の買付けという難題を任された女子社員だが…


尾美さんと奥貫さんが不思議屋貿易商で、永井さんが客という珍しい役割分担。

◆第5話 「黒と白」 (塩塚夢)

分類 : サスペンス
格付 : A+
元陸上部のカップル。しかし男は何かを隠している様子。白い粉?引き金?「バラす」?


オチが予想外の良作品だったが、緊張感が今ひとつ足りないのが残念。

◆第6話 「記憶貿易」 (前原一磨)

分類 : SF(その他)
格付 : A
臓器移植用につくられたクローン達が一番欲しがるものは「記憶」だというのだが。


予想とは少し違うがうすうす感じていたとおりかなりブラックなオチ。だがそれが良い。

◆第7話 「予言してチョンマゲ」 (橋本信之)

分類 : コメディ
格付 : C
時は寛政十年。長屋を追い出された熊さん夫婦は不思議屋貿易商に転がり込むが…


重層構造の凝ったお話だが。あまり面白くない。

◆第8話 「海を越えて」 (渥美珠巳)

分類 : 幻想(日本)
格付 : C+
船便を配達する毎日。ある日持ち上げると不思議な音がする荷物を預かったのだが…


一種の「職業もの」だが幻想要素も強い。内容はありきたりと言わざるを得ない。

◆第9話 「ヴィンテージ・ジーンズ」 (浜田秀哉)

分類 : 職業
格付 : B
モノを大事にしているというアメリカの片田舎の町に古着を買い付けに来た若者。


どうという内容ではないが気持ちの良い話。ラストも悪くない。

◆第10話 「雨の庭」 (北阪昌人)

分類 : 幻想(日本)
格付 : C+
廃業を考えていた建築家。老人から「砂の庭」の制作を依頼され貿易商を訪ねるが…


異常な出来事は起こらないがとても幻想色が強い。たまには良いのではないでしょうか。

【不思議屋シリーズ作品一覧】
全部で8作品制作された不思議屋シリーズの作品一覧はこちらです。
是非、他の作品の記事もご覧ください。

コメント

  1. コン より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    6話の「ブラックはオチ」は「ブラックなオチ」ではないでしょうか?
    このラジオドラマで一番面白かったのは「温泉ショック」でした。演技も良かったし、結末も良かった作品でした。

  2. Hirokazu より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コンさま

    ご指摘ありがとうございます。
    早速直しておきますね。

  3. Hirokazu より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ご指摘ありがとうございます。
    修正しておきます。

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