- 作品 : カムイの剣 パート2
- 番組 : アドベンチャーロード
- 格付 : B
- 分類 : 伝奇(日本)
- 初出 : 1986年1月6日~1月17日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 原作 : 矢野徹
- 脚色 : 大野哲郎
- 音楽 : 天上昇
- 演出 : 上野友夫、保科義久
- 主演 : 志垣太郎
幕末の時代にアメリカ大陸に渡った抜忍・カムイ次郎は、幾多の冒険の末、宿敵・天海を倒し海賊キャプテン・キッドの財宝を手に入れた。
そして時は明治元年、初夏。
ジローム・カムイと名を変えた次郎は、貿易商「サムエル商会」の主として、日本の政財界に隠然たる影響力を確立。
プライベートでも生涯の伴侶を得て得意の絶頂にあった。
しかし、激動の時代はまだ彼に安穏な生活を許さない。
かつて天海の配下だった幕府直轄隠密集団の残党は次郎の命を狙い、戊辰戦争の行方もまた定かではない。
そうした中、次郎はある理由から、父祖の地、蝦夷へと旅立つことになるのだが。
1993年から四半世紀以上続くラジオドラマ(オーディオドラマ)番組である「青春アドベンチャー」ですが、その源流は1984年開始の「FMアドベンチャー」に遡ります(さらに言うならAMの「連続ラジオ小説」まで遡るとも考えられる)。
パート1とパート2
FMアドベンチャーは1年しか続かなかった番組ですが、その14番目の作品が「カムイの剣」でした。
そして番組が「アドベンチャーロード」に衣替えされて18番目の作品がこの「カムイ剣 パート2」。
FMアドベンチャーからアドベンチャーロードに引き継がれたシリーズはこれだけです。
両作品はもちろんストーリーは続いていますし、スタッフも概ね同じ(脚色が石山徹さんから大野哲郎さんに交代)。
キャストもヒロインのチコ(=ジュリー)役が島津冴子さんから東啓子さんに変わったものの、主人公・次郎役の志垣太郎さんとその股肱の部下サム役の冷泉公裕さんは変わらず。
それに何といってもナレーションの広川太一郎さんが続投していることが安心して聞ける最大の原因となっています。
各回のタイトル
さて、本作品は1回15分・全10回の作品ですが、各回のタイトルは以下のとおり。
- カムイの結婚
- 闇を走る影
- 栄光か死か(所有の音源がほぼ欠損しておりほとんど聞けません)
- ガルトネル農場の忍者
- 五稜郭落城
- 仕組まれた罠
- ボージス殺人事件
- 真夜中の訪問者
- ならず者軍団
- 影の参謀
前半の5回と後半の5回とで内容が明確に分かれており、前半は主に函館を舞台にした戊辰戦争の話。
そして後半はいわゆる「岩倉使節団」がアメリカへ向かう途上の船上での話になっています。
全15回の作品であった前作と比較すると放送回数は10回に減りましたが、1回あたりの放送時間は増えたため、トータルの放送時間は同じです。
スケール感・アクション性は…
ただ、前作が蝦夷地を出発点としてアメリカ大陸を駆けるアクション色が強い話であったのに対して、本作品は主に函館とアメリカ航路上が舞台で、スケールに欠ける感は否めません。
その分、前半は歴史ものの色彩が強く、西郷吉之助(=西郷隆盛、演:木下秀雄さん)、土方歳三(演:八木光生さん)、榎本武揚(演:須永宏さん)、伊藤博文(演:片岡弘貴さん(現:片岡弘鳳さん))といった歴史上の人物がたくさん登場するのが聞き所ではありますが、箱館戦争についてならばやはり「武揚伝」(2018年・青春アドベンチャー)くらいの時間は欲しいところ。
一方、後半は船上だけが舞台であり、密室ミステリーあるいはサスペンス的な趣があるものの、やはり中途半端と言わざるを得ません。
個人的にはやはりアクション色の強かった前作の方を推します。
本作品は最終回も何となく尻切れとんぼでしたしね。
上野組のスタッフ・キャストに加え…
さて、主な出演者は上記のとおりなのですが、これに加え羽佐間道夫さんや松阪隆子さんも出演されています。
そしてスタッフを見ると、脚色は大野哲郎さんで、音楽が天上昇さん。そして主題が菩提樹さん。
当時を知る人には明らかだと思うのですが、これは典型的な上野友夫さん演出作品のパターン。
いまにも明智小五郎や怪人二十面相がでてきそうですね。
ただ、本作品、後半の演出は実は保科義久さん。
青春アドベンチャーになってから多数の作品を演出される保科さんですが、今まで当ブログで紹介した作品の中では本作品が保科さんの最初期の演出作品になります。
【保科義久演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
名作、迷作、様々取りそろっています。
こちらを是非、ご覧ください。
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