【「今日は一日ラジオドラマ三昧」の放送内容紹介】第一部・その1

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【「今日は一日ラジオドラマ三昧」の放送内容紹介】第一部・その1

○第一部全体 :2015年9月23日午後0時15分~午後6時50分
○当記事紹介分:2015年9月23日午後0時15分~午後3時15分

ある特定のジャンルの音楽を一日たっぷり放送するNHK-FMの名物音楽番組「今日は一日○○三昧」。
2015年に9月23日に、この番組初の試みとして「今日は一日ラジオドラマ三昧」が放送されました。

まさか実現するとは

ラジオドラマファンの間では、願望として、あるいはネタとして語られていましたが、まさか実現するとは思っていませんでした。
だって「三昧」って音楽番組ですから。
これがOKなら、「今日は一日イージーリスニング三昧」(眠そう。)、「今日は一日ニュース三昧」(CNNか!)、「今日は一日天気予報三昧」(!!)だって可能なはず!
…って需要がありませんね。

3回に分けてご紹介

さて、この「今日は一日ラジオドラマ三昧」、10時間にも及ぶ超ロング番組ですので聴く方も大変ですが、ラジオドラマを取り扱っている当ブログとしては、もはや“祭り”といっても過言ではありません。
紹介しないわけにはいきません。
実際、放送前から何度も事前告知の記事をアップしてきた訳ですが、実際の放送を受けてまとめとして当日の放送内容を紹介したいと思います。
なお、当プログラムは、午後0時15分から午後6時50分までの第一部と、午後7時20分から午後10時45分までの第二部に分けて、合計10時間、放送されました。
とても長いので、このブログでは第一部を2回、第二部を1回の計3回に分けて記事にしたいと思います。

第一部(前半)

それでは第一部の紹介(その1)を始めます。
本番組では合計12本のラジオドラマが放送されました。
そしてその合間合間には、MCのトークや各ラジオドラマの背景の紹介、ゲストへのインタビューなどが放送されました。
もともと「三昧」が音楽番組である名残からか、ラジオドラマに縁のある曲も多く流されました。
全体の進行役を務めたのは、俳優の松田洋治さんと女優の長谷川真弓さん。
NHK-FMのラジオドラマではおなじみのおふたりであり、生放送された彼らのトークも本番組の聴き所でした。
大まかな時間配分と、各パートの内容を整理すると以下のとおりです。

時刻 分類 内容
12:15- トーク 松田さんと長谷川さんによる番組の概略紹介と自己紹介からスタート。松田さんは5歳から、長谷川さんは9歳から子役として活躍されている筋金入りの役者さんで、おふたりともNHK-FMのラジオドラマにも縁が深いが、ラジオドラマでの共演は初めてとのこと。
それにしても松田さんの声が若い!今でも「アルバイト探偵」(1989年)の続編が作れそうだ。
なお、80年代の音源はNHKにもあまり残っておらずアーカイブスへの協力を「大々的に募集中」とのこと。
「とんがり帽子」川田正子・コロムビアゆりかご会(「鐘の鳴る丘」より)
12:30- ドラマ 死ぬには手頃な日」(第6回)「陽のあたる大通り」(FMアドベンチャー)1985年2月
脚本:矢作俊彦、演出:音成正人(札幌局)
宇崎竜童さんと蜷川有紀さんのふたり芝居。5年ぶりに再会した大人の男女の機微を描いた作品で、矢作さんにしてはハードボイルドぽさは薄い。蜷川さんが色っぽい。
宇崎竜童さんは矢作俊作さんの才能を高く評価し、矢作さんの書き下ろし(同名の小説集とは別ストーリー)ということで出演を決めたとのこと。MCの松田さんによれば宇崎竜童さんは本当はとても穏やかな方で、その一面がよくでている作品とのこと。
演出の音成さんは当ブログでは役所広司さんが主演した「21世紀のユリシーズ」を紹介済み。
12:40- トーク 視聴者のコメント紹介から、ゲストのミッキー・カーチスさん登場。ミッキーさんは昨年、長谷川さんとTVドラマ「キャロリング」で共演されたとのこと。
とにかくミッキー・カーチスさんがしゃべるしゃべる!「当時のことはあんまり覚えていない」(50年前だから仕方がないか)などぶっちゃけばなしも炸裂!面白いおじさんだなあ。
12:50- ドラマ ぼくのまわりで楽しい音が」(こども劇場)1961年8月
脚本:前田武彦、音楽:服部克久
ミッキー・カーチスさんのひとり芝居。歌と効果音が満載で、音響効果がそのまま音楽にもなるミュージカル的要素もある作品。
後にテレビ・ラジオ・ドラマ等の音楽で名をはせる服部克久さんがパリ高等音楽院(コンセルヴァトワール)への留学から帰国して間もない時期に作られた作品とのこと。
13:10- トーク ふたたびミッキー・カーチスさん登場。引き続きしゃべるしゃべる。ドラマの収録当時の状況、前田武彦さんや服部克久さんとのエピソードなどを披露。
当時、ラジオが実験場的に様々な企画をやっていたとのことで、この作品も相当のリハーサルが必要な作品だったはずだか、でもやっぱり収録についての記憶はないらしい。
13:20- ドラマ 十円玉」(ラジオ小劇場)1963年7月
脚本:谷川俊太郎、音楽:湯浅譲二、演出:小林猛
伊藤幸子さん演じる少女が、ベテランの男優さんと次々と会話していく。台詞回しや言葉の重ね方がまるで詩の様だが、それもそのはず本作品は詩人の谷川俊太郎さんのオリジナル脚本。
10円だけ持っていた少女がわらしべ長者のように3000円まで増やして、またなくす。筋はそれだけ。
後に刑事コロンボで有名になる小池朝雄さんの声が心地よい。声質はもっさりとしているのに台詞回しには全くよどみがない。プロの仕事。
13:40- トーク 事前に谷川俊太郎さん宅を訪ねた松田洋治さんのインタビューの放送とそれを受けてのトーク。
当時やはりテレビの黎明期でラジオは実験的な作品を多く作っていたとの話は前パート同じ。同じと言えば、谷川俊太郎さんも「基本的に生活費稼ぎでやっていた」とぶっちゃけトーク。しかし、大げさな芝居はいやだったこと、詩とドラマの違い、寺山修司さんとの関係、多読的なものの模索、朗読との関係、谷川さんの作品制作についての受動的なスタンスなど、さすがに聞き応えがある話。
14:15- トーク メッセージの紹介。その後、後の時間で放送されるサラウンド番組(カムイ外伝、シュナの旅)の視聴準備について注意喚起。リクエストは下記の曲だが、「悲しみの時計少女」で印象的なのは同じ谷山浩子さんの「銀河通信」だと思う。
「悲しみの時計少女」谷山浩子
14:30-15:15 ドラマ 優しさごっこ」(ラジオ劇場)1979年8月
原作:今江祥智、脚色:川崎洋、音楽:林光、演出:斎明寺以玖子
第一部では唯一の原作がある作品。夫婦の離婚により父子家庭になった父と小学生の娘の日々を綴った作品。
弱い…このブログでは何度も書いているが、私はこの手の作品に弱すぎる。特にこの作品は、父をさりげなく気遣う娘が健気すぎる。そしてぶっきらぼうだが底抜けに優しい父親・原田芳雄さんの演技も素晴らしい。テレビや映画で見る原田芳雄さんとはまた違った魅力。
恐らくかなり長いであろう原作を45分にまとめた作品だが、音楽を担当した林光さん自らが演奏し歌う「弾き歌いナレーション」が不思議なアクセントとなってダイジェスト感はあまりないのも好印象。脚色の勝利かも知れない。ちなみに、脚色は本ブログでは「交響詩・うるんだ美女~四万十川をさかのぼる」を紹介済みの詩人の川崎洋さん。

今日は一日ラジオドラマ三昧(第一部)~その2~」へ続く。

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