怪事件が多すぎる パート2 原作:清水義範(アドベンチャーロード)

格付:B
  • 作品 : 怪事件が多すぎる パート2
  • 番組 : アドベンチャーロード
  • 格付 : B+
  • 分類 : スラップスティック
  • 初出 : 1987年11月9日~11月13日
  • 回数 : 全5回(各回15分)
  • 原作 : 清水義範
  • 脚色 : 吉村ゆう
  • 演出 : 保科義久
  • 主演 : 花王おさむ

前作で出会った宇宙人少女ライララ(日本名:知代)の力により、ミステリーフェロモン(ミステリアスな事件で悩んでいる人が自然と相談したくなる能力)を得た三四郎は、大学時代の友人・真下の誘いに乗って探偵事務所を開いた。
しかし、殺人事件を推理で解決する正真正銘の探偵舎を目指す真下の思いとは裏腹に、どうもまともな依頼が来ない。
来る依頼と言えば、悪魔払いの依頼や、お化けが出たとかいうとんでもないものばかり。
どうしてなんだ、知代?
「それはそうよ。ミステリーって神秘、不思議、秘密、怪奇でしょ?お客様には不自由しません!」
なにぃ?まさかのミステリー違いなのか!?
これは本格ミステリー専門の探偵を気取る真下にはいえない…
体力自慢、活劇担当の俺がやるしかないか…



清水義範さんの小説シリーズ「幻想探偵社シリーズ」を原作とするラジオドラマの第2弾がこの「怪事件が多すぎる パート2」です。

実質的に2つで1作品?

第1弾「怪事件が多すぎる」が放送されたのが本作品と同じ1987年の5月。
本作品の作中では「お便りが一杯来た」と言っていますが、前作が全3回の小品で導入部に過ぎなかったこと、わずか半年後にこのパート2が放送されていることから、事実上一体で企画された作品なのではないかと思います。
似たようなパターンとしては1989年1月に全3回で放送され、その半年後に全5回+全5回で続編が制作された「アルバイト探偵」があります。
なお、残念ながら私は第1弾「怪事件が多すぎる」の音源を全く持っていないため、今回はいきなりのパート2からの紹介になります。
もし第1弾の音源をお持ちの方がいらっしゃいましたら是非。

原作第2弾からのラジオドラマ化

さて、本作品の原作シリーズは以下の4作品が発刊されています。

  1. 怪事件が多すぎる-幻想探偵社シリーズ<1>(1984年9月・ソノラマ文庫)
  2. ABO殺人事件-幻想探偵社シリーズ<2>(1984年12月・ソノラマ文庫)
  3. 不透明人間の挑戦-幻想探偵社シリーズ<3> (1987年1月・(ソノラマ文庫)
  4. 新・幻想探偵社(1992年6月・ソノラマノベルズ)

このうち本作品は「不透明人間の挑戦」に収録されてる4篇のうちから「エイリアン右往左往」と「不透明人間の挑戦」をラジオドラマ化した作品です。

探偵ものではなくSF?

シリーズタイトルで「探偵社」と謳っていますがいますがいわゆるミステリー(推理もの)ではありません。
しかも作品名やソノラマ文庫ということから推測できるかも知れませんが、かなりコメディ色が強いライトな作品です。
とはいえ「エイリアン右往左往」はウラシマ効果、「不透明人間の挑戦」は透明人間ではないけど人の目に映らない能力(?)を扱っています。
また、あくまで非科学的事件であり、いわゆる本格的な名探偵が解決するようなトリックはありませんが、一応、上記のSF要素を使ったオチもあり割とSF的ではあります。
とはいえ、基本的に登場キャラクターも人を喰ったような連中ばかりですし(主人公の三四郎はまとも)、ストーリー展開も荒唐無稽なので、本ブログでのジャンルは「スラップスティック」(ドタバタ)にしました。

箸休めも必要

「アドベンチャーロード」という番組は現在の「青春アドベンチャー」の2代前の番組で、少し前に紹介した「山猫の夏」や「長く孤独な狙撃」のようにハードな作風の作品も多かったのですが、本作品のようなボリューム的にも小さく(全5話以下)、内容的にも軽い作品も多かったように思います。
後者の具体例を挙げると「スターライト・だんでい」(1987年)、「少女探偵に明日はない」・「ハートでジャンプ!」(1988年)、「赤川次郎の天使と悪魔」(1989年)など。
いずれも凄く印象に残る作品ではないのですが気軽聴ける楽しい作品でした。
考えてみるとハードな作品だけだと息が詰まりますし、箸休めとして意図的にこのような作品を挟む構成にしていたのかも知れません。

東京ヴォードヴィルショー

本作品の主役・三四郎を演じるのは俳優の花王おさむさんで、ヒロインの知代(ライララ)を演じるのはあめくみちこさん。
その他、真下役の坂本あきらさん、黒川役の山口良一さんを含め「劇団東京ヴォードヴィルショー」の方々が主要なキャスト占めている配役です(佐藤B作さんはいないけど)。

騒々しいけど嫌な感じはない

苦労性の三四郎を良い方向で脱力感がある風に演じている花王おさむさんの演技と、よく考えると自分の以外の種族が全滅という相当悲惨な境遇である知代の微妙にズレていながら健気感がある(マルフーンを使えば鍵なんていつでもあけられるのに開けていいかちゃんと聞いてくるあたり単なる暴走系ヒロインではない)あめくみちこさんの演技が、作品全体を良い雰囲気にしていると感じました。

【保科義久演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
名作、迷作、様々取りそろっています。
こちらを是非、ご覧ください。



コメント

タイトルとURLをコピーしました