夏への扉 原作:ロバート・A・ハインライン(青春アドベンチャー)
その頃、僕、ロボット技師で発明家のダニエル・ブーン・デイビス(ダン)は幸福の絶頂にいたんだ。
僕が開発した家事用ロボット“ハイアードガール”は世間の絶賛を浴び、親友マイルズと恋人のベルとの3人で切り盛りしている会社も順調。
“ハイアードガール”を大きく上回る性能をもつ新発明“フレキシブル・フランク”の開発も進んでいるし、ベルとは結婚の約束も取り付けた。
気になることと言えば、愛猫のピートや、マイルズの義理の娘でぼくとは仲良しのリッキーが、ベルに一向に懐かないこと。
そして、マイルズがしきりに会社を大きくしたがっていることくらい。
世間では新しく発明された冷凍睡眠(コールドスリープ)で未来に行くことを希望する人もいるようだが、僕には関係なかった。
だって仕事は忙しいし、プライベートも幸福だ。
今のままで十分じゃないか。
でも、僕の周りの人々は僕と同じようには考えていなかったんだ。