星へ行く船 原作:新井素子(カフェテラスのふたり)

格付:AA
  • 作品 : 星へ行く船
  • 番組 : カフェテラスのふたり
  • 格付 : AA-
  • 分類 : SF(宇宙)
  • 初出 : 1986年4月21日~5月2日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
  • 原作 : 新井素子
  • 脚色 : 湯本香樹実
  • 演出 : (不明)
  • 主演 : 小林聡美

私、森村あゆみは、訳あって兄・森村拓の名を借りて宇宙船に乗り込んだ…といえば聞こえは良いが、要は家出だ。
短大卒業を間近に控え、急に、自分が普通に結婚して普通に子供を産むことにリアルなイメージを持つことが出来なくなってしまったのだ。
そして思い出したのが、子供の頃に持っていた夢。
どこか遠くに、そう、宇宙に行きたい。
しかし、未成年のため宇宙に行くためのパスポートは取れない。
だから兄のパスポートを拝借し、兄に変装することにした。
そして、ばれないように、貯金をはたいて宇宙船の個室も取った。
順調に始まったはずの私の家出。
しかし、予約したはずの個室には先客がいた。
信じられないことだが、宇宙船側がダブルブッキングをしたらしいのだ。
そしてこれが惑星メディの王位継承を巡るトラブルに巻き込まれていくきっかけだったのだ。



新井素子さんの初期の代表作を原作とするラジオドラマです。
原作は、本作品を含む第1巻「星へ行く船」のほか、全5巻のシリーズものになっていますが、このラジオドラマはあくまで第1巻・第1話の「星へ行く船」部分のみのラジオドラマです。

各所でオーディオドラマ化されているが…

ちなみに本作品はこのNHK-FM版のほか、文化放送でもラジオドラマ化されているほか、集英社のカセット文庫でもオーディオドラマ化されています。
TBSラジオでは第2巻「通りすがりのレイディ」もラジオドラマ化されているようですが、全体として原作のわずかの部分しかオーディオドラマ化されていません。
原作をお読みの方はご存知かと思いますが、第2話以降、シリーズはどんどんスケールアップし、主役のあゆみも大きく成長していきます。
本作品はライトノベルの元祖とも言われる若年層向きの作品ですが、エンターテイメント性が高いだけでなく、少女の成長を良く描いており、とても気持ちの良い作品だったと記憶します。
どこかで一度、全体をラジオドラマ化して欲しいものです。

NHK-FMで多数放送

さて、新井素子さん原作の作品は既に3作品を紹介しています。
1993年に「青春アドベンチャー」で放送された「おしまいの日」と、1983年と1985年に「ふたりの部屋」で放送された「二分勝幽霊綺譚」と「グリーン・レクイエム」。
その他に未紹介ですが「ふたりの部屋」では1979年から1985年にかけて4作品と、大量の作品がラジオドラマ化されています。

「ふたり」じゃない?

「ふたりの部屋」や本作品が放送された「カフェテラスのふたり」は、基本的に男女ひと組の出演者さんだけで演じられる番組だったのですが、新井さんの作品はこの原則から外れ、基本的に多数の出演者がそれぞれの役を演じる通常のラジオドラマ形式で放送されることが通常でした。
しかし、本作品は「ふたり」系の番組の原則どおり、小林聡美さんと山田康雄さんのふたりだけで演じられています。
おふたりともとても上手いので演技に不満はないのですが、やはり本格的なラジオドラマとは趣が違ってしまうのは致し方ないところです。
特に山田さんが主要な役を5役(山崎・大沢・黒木・ケヴィ老人)も演じ分けなければいけなかった第7話は、さすがに名優山田さんにも荷が重かったようです。
本作品では各回の冒頭と最後に出演者のトークが入るのですが、第7回の最後と第8回の冒頭ではその演じ分けの大変さをネタにしたトークが入っていました。

あんなに早く亡くなられるとは

また、第10話のトークにはハレー彗星が取り上げられています。
本作品が放送された1986年はハレー彗星が接近した年だったのですが、次回の接近(2061年)について山田さんが「仮に自分が生きていなくても」と言っているのを聞くと何だかしんみりしてしまいます。
もちろん山田さんの年齢を考えると2061年まで生きているはずがないのですが、実際に山田さんが亡くなったのはこの放送のわずか9年後(62歳)でした。

小林聡美さんブレイク前夜

また、あゆみを演じた女優の小林聡美さんは、当時あゆみとほぼ同年代の20歳。
大林宣彦さん監督の「転校生」(1982年)で脚光あびて、フジテレビの伝説的深夜ドラマで三谷幸喜さん脚本の「やっぱり猫が好き」(1988年)で再ブレイクする間の時期にあたります。
トーク部分を含めてとても元気が良く、軽快に演じていらっしゃいます。

やはり良作。続編希望。

本作品はライトなSFで、ボリュームも小さい(「カフェテラスのふたり」は10分番組で同じあり、同じ10回シリーズでも青春アドベンチャーなどよりボリュームは小さい)のですが、アクションあり、推理ありで、SF要素も良い味付けになっており、原作の力を感じます。
返す返すも残念なのが役者さん二人だけで演じる簡易な形式のドラマであること。
冒頭でも書きましたが、是非、フルスペックのラジオドラマとしてシリーズ全体を放送して欲しいものです。
そんな期待も込めて(さすがに原作が古すぎるかな)の格付け“AA-”です。

【新井素子原作の他の作品】

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