格付別一覧

格付:C

レオナルド・ダ・ヴィンチの恋人 作:竹山洋(FMシアター)

なんて馬鹿なんだろう。軽蔑だわ。結婚なんかしなればよかった。あなた、いつになったら仕事が来るの。いつになったらお金が入ってくるの。貧乏の呪いよ。あぁ洋服が欲しい。死んでほしい。うんざりだわ…結婚して40年になる頼子と秀治の夫婦。秀治は作家だが、コロナ以降仕事がなく家でぶらぶらする毎日。お金もないのに何事に対してもお気楽ですぐにはしゃぐ秀治に、頼子はイライラしてならない。そんな中、頼子は近所のイタリア料理店の若きシェフ中村に心惹かれるのだが。
格付:B

逆光のシチリア 作:並木陽(青春アドベンチャー)

1859年。貧しい身分から身を起こし弁護士として大貴族に取り入ることに成功。美しい令嬢ペトロニラの関心も得、自分の立身出世のチェックメイトも近づいている。アウレリオは得意の絶頂にあった。しかし、公爵の別荘で過ごすペトロニラとのひと夏に2人の男女と出会ったことにより彼の運命は変わりだす。ひとりは公爵の農地管理人の息子ベネデット。もうひとりは英国から来たインゲストル子爵夫人アリス。激動のシチリアで彼らの運命はいかに。
格付:A

バスタイム 作:中澤香織(FMシアター)

中学の頃、好きなものの話が長くてしつこいと言われた。だからなんなん?ってイラっとされた。そんな私だから高校に入学しても親しい友人はできなかった。でも東京から来た転校生、深瀬さんは突然話しかけてきたのだ。「森さんのお家って銭湯なの?かっこいいね!」すぐに親友になった私達。あたしの言うことに笑ってくれる人は初めてだった。人に秘密を打ち明けられるのも初めてだった。心地いい関係。でも2年の夏に少し変化が生じたのだ。
格付:B

近未来物語 原作:筒井康隆(ふたりの部屋)

本作品「近未来物語」は筒井康隆さんの短編小説から5編を選んでラジオドラマ化した作品で、NHK-FMの「ふたりの部屋」で放送されました。選択は「10年から20年すればこんな世界になるのではないか」という視点からなされているそうで、いわば「近未来」を舞台にしたディストピア的な設定の作品群です。ただ本作品放送時から40年経過しているこの記事の執筆時点からみると未来予想としては全くあっていませんでしたね。なお5作品のうち「ワースト・コンタクト」は短編集「宇宙衞生博覽會」に、それ以外の4作品は短編集「心狸学・社怪学」に収録されています。
格付:B

風のスケッチブック 作:日比谷祐希ほか(青春アドベンチャー)

本作品「風のスケッチブック」はNHK-FM青春アドベンチャーで放送されたオーディオドラマで、1回15分完結の独立したショートストーリー5篇から構成されるオムニバス作品です。「○○のスケッチブック」というタイトルの作品は2021年の「ソラのスケッチブック」に次いで2作品目ですが、これをNHKがシリーズとして扱っているかは微妙なところ。また、最近、青春アドベンチャーで5作品制作されている「ストーリーボックスシリーズ」とどう棲み分けているのかもよくわかりません。かつて併存していた「不思議やシリーズ」と「ライフシリーズ」は、制作局が分かれていたほか、内容面の傾向も違っていました。この辺は今後明確になっていくのかも知れません。
格付:B

さざ波のみち 作:相良敦子(特集オーディオドラマ)

1300年ほど昔の奈良時代。安芸国(あきのくに)佐伯郡(さえきのこおり)の瀬戸内海に面する海辺の里に、街道を行く早馬(はゆま)のための駅家(うまや)が設置されていた。少女トトメは駅家の長の娘である。ある日、街道が崩れた影響で泥だらけになった一団を独断で駅家にかくまうことを決める。その一団は肥後国からやってきた力士とそれを引率する大伴クマゴリなる青年の一団だった。
格付:C

春麻呂の夢 作:相良敦子(特集オーディオドラマ)

天平の時代。今の京都、木津川のほとりでは新しい都の造営が始まっていた。後に恭仁京(くにきょう)と呼ばれることになるその都は、平城京で起こった様々な悪しき事による祟りを恐れて遷都するためのものだが、貧しい庶民にとっては生活を圧迫するものでしかなかった。その造営の普請場に春麻呂という少年がいた。親方にこき使われる毎日に反発の気持ちを強めて春麻呂だが、ある日、鳥の糞と共に堕ちてきた一枚のお札のようなものを入手する。驚くべきことにそのお札はしゃべることができたのだ。
格付:B

青き風吹く 作:相良敦子(特集オーディオドラマ)

奈良時代、能登半島は羽咋の浜。当時、能登は大陸の国家・渤海との交易の窓口であった。ある日、素潜り漁で生計を立てる少年ヒコナの前で、異国の船が難破する。ようやく助け出した異国の老人キュロスはひとつの瑠璃の壺を大事に抱えていた。彼は大陸で出会った日本人の友人にこれを届けるために日本に来たという。それが人生最後の望みだという老人に請われたヒコナはともに都へと旅立つのだが…
格付:B

天保北越雪譜異聞 作:小林克彰(FMシアター)

銀座で煙草道具屋を営む相四郎は山東京山(さんとう・きょうざん)のペンネームを持つ戯作作家でもある。浮世絵師であり大作家でもあった山東京伝(さんとう・きょうでん)の弟だが、流行作家としては兄に比肩すること叶わず、有り体にいって鳴かず飛ばず。なんとか作家として名を残そうと考えた相四郎は、越後塩沢の縮緬問屋、鈴木儀三治がかつて書いて兄のもとに持ち込んだノンフェクション文学『北越雪譜』(ほくえつせっぷ)のことを思い出した。江戸の人たちには思いもよらない豪雪地帯の生活を克明に描いたこの作品であれば必ずヒットするはず。これの編者、あわよく作者として歴史に名を残せないものか。しかし『北越雪譜』の原稿は今や流行作家である曲亭馬琴が預かっている。彼とは因縁浅からぬ中なのだが…
格付:A

琥珀(こはく)のひと 作:新井まさみ(FMシアター)

極寒の奥日光にもまた春がやってくる。ただ、このあたりには観光するものはなにもない。地元の人間ですらめったに通らない山道を若い女性が歩いているのはやはり不審だ。そう考えてモーリーこと矢部吉森は彼女に声を掛けたが、彼女は自分に会いに来たという。確かに国産メープルシロップは珍しい。ふもとで聞けばこの山に行けば会えると言われるのも確かだろう。しかし、若い女性がメープルシロップの製造現場を見るためだけに、老人がひとりで暮らす雪深い山中まで来るものだろうか。
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