- 作品 : 新釈・遠野物語
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : B
- 分類 : 伝奇(日本)
- 初出 : 2024年10月7日~10月11日
- 回数 : 全5回(各回15分)
- 原作 : 井上ひさし
- 脚色 : 大河内聡
- 演出 : 吉田浩樹
- 主演 : 加藤諒
東京の大学を休学して故郷・遠野に帰ってきたボク、山之上ひさし。
特別養護老人ホームの臨時職員として働き始めたが、そこでもなかなかうまくいかず、先輩の美桜(みお)さんから叱責を受ける日々。
役に立ちたいという一心のボクは、近所でトランペットを演奏する不思議な老人、犬伏さんから気化された遠野の昔話を特養ですることを思いつくが…
本オーディオドラマ「新釈・遠野物語」は昭和の名劇作家・小説家(直木賞作家)である井上ひさしさんの小説「新釈 遠野物語」を原作とする作品です。
遠野物語とは
いうまでもなく「遠野物語」は日本民族学の父・柳田国男さんの記念碑的な作品です。
柳田さん自身は兵庫県出身・茨城県育ちですが、岩手県遠野(とおの)地方に伝わる逸話や伝承などを記したこの「遠野物語」により「柳田国男」と「遠野」はその地位を確立しました。
今日、岩手県が日本の他の地方に見られない一種独特なファンタジックなイメージを持つに至ったのは宮沢賢治さんの架空世界「イーハトーブ」と並んで柳田さんの「遠野」の貢献が大きいと思います。
新釈 遠野物語とは
そしてのこの「遠野物語」に大きな影響を受け井上ひさしさん(岩手県釜石市出身)が書いたのが本作品の原作「新釈 遠野物語」です。
井上さんといえば軽妙な文体と、ある種ミステリー又はSF的でもある愉快な内容が特徴。
このブログで過去に紹介した井上さん原作作品としては「十二人の手紙」が前者の、「四捨五入殺人事件」が後者の色が好意作品でした。
本作品は遠野物語という、土俗的かつ奇天烈な内容を取り扱っている点で後者の要素が強いのですが、何分、元々が説話(≒昔話)ですので、内容はどこまでも牧歌的。
正直、これを青春アドベンチャーというエンタメドラマの枠でやることについては若干の疑問を感じざるを得ませんでした。
まあ青春アドベンチャーの広いリスナー層を考えると、こういうのが混じる混沌さも青春アドベンチャーに必要なのかも知れませんが。
各回のタイトル
さて本オーディオドラマは原作に収録されている9編の怪異譚のうち以下の5編が採用されています(本作品を気に入られた方は原作を読めばもう4編、読めますよ)。
- 鍋の中
- 雉子娘(きじむすめ)
- 川上の家
- 笛吹峠の話売り
- 狐穴
加藤諒さんと朝倉あきさん
作品の大きな流れは、加藤諒さんが演じる山之上ひさし(大学を休学して釜石の療養所で働いたことのある井上ひさしさんの分身なのでしょう)、朝倉あきさん演じる美桜先輩、そしての有福正司さん演じる施設の入居者・島田老人の3人のやりとりが全体の縦軸としてあり、山之内が特養で話す説話が各回ごとの具体的な内容になります。
加藤諒さんと朝倉あきさんは上記の2人の役に加え、各説話中のさまざまな役も担当されています。
おふたりとも声に特徴のある方で、何役もやるとこんがらがりかねないのですが、本作は内容が荒唐無稽な怪異譚で大げさな演技がハマることもあり違和感はありませんでした。
でも期待していまう
でもやっぱり加藤諒さんは「柳生非情剣」なんかのようなぶっ飛んだ内容の方が面白いな。
そして朝倉あきさんについては「灼熱のメイダン」(風の向こうへ駆け抜けろ3)を!
単行本化がタイミングなのかな。
いつまでも待っております。
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