- 作品 : ロゼットの朝
- 番組 : FMシアター
- 格付 : A+
- 分類 : 日常
- 初出 : 2023年2月11日
- 回数 : 全1回(50分)
- 作 : 飯野陽子
- 音楽 : 菅谷昌弘
- 演出 : 木村明広
- 主演 : 山中崇
3人だけの職場、社史編纂係。
役職から外れ子会社への出向という身分。
職場も東京から高速で1時間ほどかかる旧物流倉庫内のプレハブ事務所。
つまり左遷だ。
しかし仕事は仕事。
どんな仕事でもきちんと成果を出さないといけない。この2人とともに。
本作品「ロゼットの朝」は2023年2月11日、NHK-FMのFMシアターで放送されたオーディオドラマです。
脚本は脚本家の飯野陽子さん。
本ブログでは同じFMシアターで放送された「蛍の光 窓に雨」のほか、脚色として「時間泥棒」と「鏡の偽乙女~薄紅雪華紋様~」をご紹介済みです。
多分、「時間泥棒」はキャリアのかなり初期のお仕事なのではないかと思います。
オーディオドラマの意味ある?
さて、本作品は登場人物が3人だけ、場面もほとんどが事務所の中というミニマムなドラマです。
オーディオドラマである意味がないじゃないか、というご意見もあろうかと思いますが、例えば、冒頭の鳥の声が自然豊かだけど物寂しい郊外の事務所を的確に表現している、蛇口をひねる音が(おそらく意図的に)耳に突き刺さりアクセントになっているなど、音響が雰囲気づくりに大きな影響を与えていると感じられる場面が多々あり、これはこれでオーディオドラマの意味がある作品だと感じました。
そして、何より3人の会話だけで話が進む作品ですので、映像等の余計な情報がない分、役者さんの演技をじっくり聞くことができることもオーディオドラマだからこその効果だと感じます。
これはこれでオーディオドラマである意味があるひとつの形態だと感じました。
スカッと気持ち良い作品ではないが
また、ストーリーは3人だけの職場で淡々と社史編纂の仕事が続く中、少しづつ人間関係が変化していく、そして次第に隠されていた各人の事情が明かされていく…といったもの。
日常を淡々と描いて終わるわけではなく、終盤にはいくつかの出来事が起きはするのですが、最終的にすっきりとした大団円を迎えるわけではなく、人生の苦さをかみしめ、受け入れて進むだけの、まあ地味な話です。
ただ、ちょっとした音響効果でサポートするほかは、役者さんの演技、セリフに全振りのつくりは聞かせるものになっています。
基本的ににぎやかなエンタメ作品を推している当ブログですがたまにはこのような静謐な作品も良いものだと感じました。
出演者
登場人物が3人だけであることにあわせて出演者も3人だけ。
主役の西野役の山中崇さん、加賀役の水橋研二さん、奈緒役の天野はなさん(いずれも役名の漢字がこれでよいかは不明)。
いずれもこのブログで紹介するのは初めて…と思ったのですが、確認したところ、山中崇さんは「婚礼、祭礼、その他」で、水橋研二さんは「レッドレイン」で、天野はなさんは「人工心臓」で出演作を紹介済みでした。
失礼いたしました。
【2023年リスナー人気投票上位作品】
当ブログ主催の2023年FMシアター/特集オーディオドラマ・人気アンケートで、当作品が第1位の得票を得ました(コクハラ、クジラの歌を聴かせてあげると同率首位)。
詳しくは別記事をご参照ください。
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