- 作品 : あたふたオペラ きんつば姫とリゴレ糖
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : A-
- 分類 : コメディ
- 初出 : 2024年8月5日~8月9日
- 回数 : 全5回(各回15分)
- 作 : 萩田頌豊与
- 演出 : 藤﨑謙
- 主演 : 入江雅人
江戸の和菓子屋・富嶺堂(ふれいどう)の若旦那は店の唯一の商品である「きんつば」の売れ行きを占うために占い師のもとを訪れる。
占い師の指示により、怪しい甘味料・リゴレ糖をきんつばの原料に使うとともに、きんつばを宣伝してもらうために人気芸妓・美折太夫(びおれたゆう)のもとを訪れる富嶺堂の若旦那。
しかし、美折太夫はすでに別の和菓子屋・鳥羽万の宣伝担当であり、自分の店「吉原」に鳥羽万の最中を供していたのだ。
2022年、2023年と2年連続でやからしてしまった、あの「あたふたオペラ」が今年も帰ってきました。
今年はベルディだ!
今年も本職の声楽家さんが、全力の美声でくだらない替え歌を大疲労…ではなくて大披露!
2022年のビゼーの「カルメン」、2023年のプッチーニの「トゥーランドット」などに引き続き、今年はジュゼッペ・ベルディの「椿姫」と「リゴレット」。
これらの名曲に乗せるのは、またしてもどうでもいい内容の替え歌。
毎日午後9時半から声楽家が大真面目に「おいしい」とか「食べる」とか「あんこ」とか「最中」とか「きんつば」とか叫ぶ、異様な15分が今年も現出しました。
オペラ調だけど時代劇
しかも今年は時代劇!
2024年の青春アドベンチャーでは二度目の江戸城討ち入りです!(一度目はこちら)
…って訳わかりませんね。
で…内容ですが…
今年は例年に増して意味が分からない。
作中で登場人物が「15分のうち歌が6分でただでさえ(ストーリーを進める)時間がない」とメタ発言をしちゃっていますが、ストーリーはないというか意味不明というか。
主人公が誰かわかりづらい
もともとストーリを進める時間がないことに加え、特に今年はメインとなる男性オペラ歌手の出演者が3人もいることが混乱に拍車をかけているように感じます。
富嶺堂の若旦那役の山本耕平さん、鳥羽万の若旦那役の岡本泰寛さん、一応主人公らしい幇間の里五郎の父親(治右衛門)役の増原英也さんです。
これに加えて、出演者順のトップに記載されている俳優の入江雅人さんや長屋の大家役の街裏ぴんくさん、謎の占い師役の玉川太福さんなどの多く登場人物の役割が整理しきれていないように感じました。
流れもわかりづらい
また、第1作「からめん」が毎回冒頭に今までのあらすじを整理する形をとっていたこと、第2作「からふる物語」が毎回ほぼ同じようなフォーマットをとることによってわかりやすくしていたことと比較すると、今回はストーリーが普通に流れていくので、頭を整理するチャンスが少ないことも理解を妨げているように感じます。
漫談家の玉川太福さん演じる占い師がストーリー展開のハブになっているのだと思うのですが、残念ながら第1作「からめん」で街裏ぴんくさんが演じた医者ほど機能していないと思います。
ちなみに本年R-1 グランプリ王者となった街裏ぴんくも凱旋出演されていますが、本作では残念ながらちょい役でした。
凄すぎる歌
また、オペラ調の楽曲部分のセリフが分かりづらいという欠点は相変わらず。
個人的には今までの2作品を支えてきた守谷由香さん(美折太夫役)、鵜木絵里さん(あずき役)に主役に近い形でスポットが当たるのはうれしかったのですが、女性の高音は正直、聞き取りづらいですね。
というわけで今回もオペラ歌手の皆様が歌った歌詞のすべてを公式が公表してくれています。
視聴にあたってご参照下さい(以下外部リンク)。
- あたふたオペラ「きんつば姫とリゴレ糖」第1回 歌唱曲紹介
- あたふたオペラ「きんつば姫とリゴレ糖」第2回 歌唱曲紹介
- あたふたオペラ「きんつば姫とリゴレ糖」第3回 歌唱曲紹介
- あたふたオペラ「きんつば姫とリゴレ糖」第4回 歌唱曲紹介
- あたふたオペラ「きんつば姫とリゴレ糖」最終回 歌唱曲紹介
3年間の奇跡
正直なところ最初に「からめん」を聞いた時のような衝撃は薄れてきたと感じます。
思えば方向性は全く違いますが、異常な地味さで青春アドベンチャー四半世紀の歴史でも異彩を放っている「イッセー尾形シリーズ」も3作品で終わりました。
このシリーズが今後も続くかは何とも言えないのですが、実際聞いていると本気の美声を聞いているだけでなんだが顔がほころんでしまうのも事実。
声楽家さんにとって体は使用期限のある楽器。
その大事な楽器を使って、このくだらない企画に3年間も(多分)全力の美声で答えてくれたことをまずは感謝したいと思います。
「霊長目ヒト科」って全員やん
ところで番組最後に出演者とスタッフが全員自分の声で肩書(例:声楽家など)と名前挨拶する形の自己紹介は今回も健在。
今回の「○○家」はいつもの声楽家や漫談家に加えて「演出家」「浪費家」「オカメインコ愛好家」、「霊長目ヒト科」が加わっています。
どれがどの出演者さんかは聞いてのお楽しみです。
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