
白狐魔記 源平の風 原作:斉藤洋(青春アドベンチャー)
狐を狩る一方で、狐に騙されることを恐れてもいる。そんな賢いと同時に愚かな、人間という不可思議な生物に興味を持ち、人間の言葉を覚えようと思い立った一匹の狐がいた。そして、彼は、ある若武者に出会う。崖を駆け下りていく鹿を指さし、「鹿も獣なら馬も獣。同じ崖を降りられないはずがない」と宣言し、自ら崖を騎馬で駆け下りていく、その若者の名は源義経。彼の作り出した凄惨な戦場を目の当たりにして、狐は再び考え込む。なぜ、彼は、そして彼ら人間は、そうまでして殺し合うのか。後に「白狐魔丸」(しらこま・まる)と名乗ることになるその狐は、人間という不思議な生き物への興味を募らせていくのだった。