- 作品 : エンディング・カット
- 番組 : FMシアター
- 格付 : AA
- 分類 : 家族
- 初出 : 2019年2月2日
- 回数 : 全1回(50分)
- 作 : 新井まさみ
- 音楽 : 池永正二
- 演出 : 原英輔
- 主演 : 芦田愛菜
この家には秘密がある。
美容師をしている両親と中学生の私、どこにでもある普通の家族。
でも最近、美容院にお客さんの姿を見かけなくなった。
聞けば父は出張で散髪をしているという。それもご遺体に。
「エンディング・カット」というらしい。
正直、その仕事を気持ち悪く思う気持ちはある。
でも秘密はそれだけではない。
この家には秘密がある。
パパもママも必死で隠しているけども。
当ラジオドラマ「エンディング・カット」はNHK津局が制作したラジオドラマで、2019年2月にFMシアターで放送されました。
本ブログで実施したリスナーによるFMシアター人気投票で2019年の第3位だったほか、令和元年度第74回文化庁芸術祭ラジオドラマ部門の大賞を受賞するなど、定評のある作品で、2020年4月には再放送されています。
「エンディング・カット」って?
テーマである「エンディング・カット」は、美容師が、遺族や生前の本人の希望に沿って亡くなった方の「最後の調髪」をするサービスで、津に実在する「㈱あっとほーむ エンディングCut ピュア」のサービスをモチーフにしているようです。
体液の除去、薬液の注入や傷の修復等を行う「エンバーミング」となると遺族側の敷居が高い。
確かに散髪や染髪ならばやってみようかなと思います。いいサービスですね。
家族3人の物語
さて、本作品は上記のとおり「エンディング・カット」という職業に焦点を当てた作品です。
ただ同時に、家族の絆を扱った作品でもあります。
本ブログにおけるジャンルを「職業」にすべきか「家族」にすべきか迷いましたが、エンディング・カットというネタをうまく使っているものの、本質的には親子の姿を描いた作品と判断しました。
出演者の面でも、この作品はその親子3人の配役にとても力の入った作品です。
主演、芦田愛菜
まずは主役の女子中学生・迫田結を演じたのが芦田愛菜さん。
子役時代からそのプロっぷりには定評があったわけですが…
確かにうまいですよね。
私生活でも、多忙な中、慶応義塾中等部に合格したとか(女子学院中にも合格したが辞退したとの噂も)。
完璧すぎる。
本作品でも、序盤の意識的に子供っぽくしているときの演技とその後の本音を吐き出し始めて以降の演技。
両方ともそれっぽいのはさすが。
ラジオドラマ初挑戦だったのに、広末涼子さんが絶賛した(外部リンク)というのも頷けます。
広末涼子さんと佐藤隆太さんが両親役
そしてその母親・奈々未役を演じた広末涼子さんですが、なんとなく既視感があると思ったら広末さんって、本木雅弘さんが納棺師を演じた映画「おくりびと」に出演されていましたよね。そのせいか…
ただし、広末さんが演じる役のこの仕事への受け止め方は真逆ですけどね。
なお、ストーリー構成の都合上、広末さんの出番は前半に偏っているのですが、ストーリーが終わった直後のキャスト紹介が広末さんの声でして、それを聞いた瞬間にちょっとドキっとしてしまいました。
最後に、結の父でエンディング・カットを営んでいる和俊を演じたのは俳優の佐藤隆太さん。
2008年のTVドラマ「ROOKERS」でブレイクした、これまた人気俳優さんですね。
FMシアターでは2005年の「マウンド」に出演経験があります。
王道のストーリー
本作品、他にも5名ほどの出演者さんがいらっしゃるのですが、基本的には芦田さん、広末さん、佐藤さんの3人の掛け合いで話は進んでいきます。
ストーリーも過去の場面を挟んだり現在に戻ったりを繰り返しますが、基本的にはすっきりしたストーリーで、「本作品のストーリーを300字以内で要約せよ」という問題が出たら、芦田さんなら3~4段落できれいにまとめられそうです。
全体で50分の作品ですし、「家族の秘密」はさすがにネタバレなので書く訳にいかないし、もうこれ以上、このブログでストーリー紹介はできません。
いずれにせよ、あまりにコテコテの内容と言えばそうなのですが、ここまでストレートに王道で制作されると、これはこれでいいなと思わざるを得ない作品でした。
本作品のTVドラマ化が発表されました。
芦田愛菜さん、佐藤健さん、広末涼子さんはFMシアターから引き続きのご出演です。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
本作品は当ブログで実施した「2019年・FMシアター/特集オーディオドラマ人気アンケート」で3位の得票を得た作品です。
くわしくはこちらをご覧ください。
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