
エドモンたちの島 作:福田卓郎(青春アドベンチャー)
大学で民俗学を学ぶ椎名淳之介は、研究室の教授の指示で、瀬戸内海に浮かぶ御名月島(みなづきじま)へと出かける。御名月島で年に1度行われる「千姫祭」で、教授の代理として講演を行うためだ。千姫とは戦国時代にこの地で勢力を持っていた内海水軍(うつみすいぐん)を率いた伝説の女性である。御名月島は内海水軍の財宝の隠し場所といわれ、島には千姫だけでなく浦島太郎など多くの伝承が残っているという。民俗学のフィールドワークの舞台としてはまさにうってつけの場所だ。椎名は、島に渡る船中で出会った女性・樋口愛子とともに、講演そっちのけで島の伝説を探っていくが、その過程でいくつかの奇妙な事件に巻き込まれていく。そして、この島にいたという「エドモン」(=江戸時代の者)と呼ばれる不思議な人々のことを耳にする。