- 作品 : 青の時間
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : A
- 分類 : サスペンス
- 初出 : 1996年7月15日~7月26日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 原作 : 薄井ゆうじ
- 脚色 : じんのひろあき
- 演出 : 川口泰典、松浦禎久
- 主演 : 古澤徹
自由の女神像を消すなど、あまりにも大胆かつ大掛かりなマジックで世界的な名声を有するマジシャン「ブルー」。
今回の仕事はブルーを日本に呼ぶことだが、フリーの興行師である主人公にも上手くいく自信が全くない。
というのもブルーの正体は誰も知らないのだ。
しかし、途方にくれている主人公の下になぜかブルー側から招待状が届く。
ブルーの正体は誰なのか。
ブルーはなぜ主人公に特別な好意を見せるのか。
ブルーが富士山麓で行うという10万人を消滅させるマジックの目的は何なのか。
分類するジャンルに困る作品です。
誰かが探偵役になって事件を推理する「推理系」でもなく、特別なアクションシーンがある訳でもないので「冒険系」にも馴染まず。
超自然現象を扱っているわけでもないので「幻想系」でもありません。
このような作品のために「サスペンス系」という消去法的な曖昧なジャンルを作ってみました。
ミステリー要素
さて、作品内容についてですが、前半はブルーの正体は誰かということ、後半はブルーが日本で何をやろうとしているのかということが、謎の中心になります。
実は本作のキモになっている「ある事象」については、海外原作の別の青春アドベンチャー作品(←ネタばれになるのでクリックはご注意ください)でも取り上げられているのですが、その作品と比較するとネタばれになってしまいますので、断念せざるを得ません。残念。
結末がわかりづらい?
個人的に少し引っかかったのは結末の部分。
作者がブルーのマジックを通して人々に伝えたいことは、ブルーが第7話で言っている「未来は危険で不安だけど楽しくなければならない」とか、繰り返し示されている「未来に選択肢はたくさんあるが、どれも正解である」ということだと思います。
しかし、それと最後のブルーの行動とがどう結びつくのか、私にはあまり理解できませんでした。
私の想像力が足りないだけで、皆さんはすっきりと受け入れられたのでしょうか。
個人的には何だか聞き終えた後にモヤモヤが残ってしまい、もう少しすっきりしたわかり安い結末の方が好みだったと感じました。
とはいえ、この作品は、設定されたミステリーをどきどきしながら味わうだけでも面白い作品だとは思います。
プロローグとエピローグ
脚本は「じんのひろあき」さん。
「北壁の死闘」と同じようにプロローグとエピローグに時間をたっぷり使っていることが作品の深みを与えていると思います。
一方、プロローグ及びエピローグにほぼ2話分を使っているので、本編はかなり窮屈になっているはずです。
原作を未読なので比較できないのですが、同じじんのさん脚本の「北壁の死闘」や「わたしは真悟」などと同様に、本編は必要部分と不要部分を慎重に選り分けて必要部分に集中しているのだと思います。
いつもながら素晴らしい
素人が論評するのは大変僭越なのですが、じんのさんは、いつも原作を上手く消化してラジオドラマとして完成度が高いシナリオをつくられる方だと感じます。
同じ薄井さん原作の「星の感触」も、じんのさんの脚本です。こちらも無駄をそぎ落としたなかなかの脚本だと思います。
出演者について
主演は古澤徹さん、ブルー役は橋本さとしさん。
古澤さんは青春アドベンチャーの常連で、安心して聞けます。
【じんのひろあき脚本の他の作品】
スピーディーな展開、的を絞った見せ場。
青春アドベンチャー初期の名脚色家・じんのひろあきさんの担当作品一覧はこちらです。
【川口泰典演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
こちらをご覧ください。
傑作がたくさんありますよ。
コメント
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面白かったです!ラジオドラマで表現するのにはやっぱりサスペンス系が持って来いだと思います。ダミーヘッドで臨場感もありました!原作も読んでみたいですね。やっぱりアクションとかだとサウンドだけじゃ表現するのに限界もあるだろうし、リスナーからしてもシーンを想像するのは難しいと思います。だからこういうミステリアスな作品にはラジオドラマで聴いても物足りなさはあんまり感じられないでしょうね。
古澤徹さんのいい声に癒されました。今まで青春アドベンチャーを聴いてて一番お芝居が上手な方だと感じました。古澤徹さんが出演された作品をもっと聴きたいと思います。ちなみにナナ役のちひろあいさんが出演された作品ご存知ですか?検索しても彼女の情報が一個も出て来なくて困っています。
96年の作品ですが、名作は時が経っても色褪せないですね。
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コンさま
コメント、ありがとうございます。
青春アドベンチャー初期に名作をたくさん残された川口泰典さんの作品ですね。
川口作品の常連出演者さんたちは今でも交流があるようです。
https://ameblo.jp/rorotomiharuno123/entry-12311714276.html
(上段左から2番目が古澤さんだと思います)
残念ながら千紘あいさんは写っていませんが。