迷宮百年の睡魔 原作:森博嗣(青春アドベンチャー)

格付:A
  • 作品 : 迷宮百年の睡魔
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : A-
  • 分類 : SF(その他)
  • 初出 : 2005年7月18日~7月29日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
  • 原作 : 森博嗣
  • 脚色 : 富永智紀
  • 演出 : 大久保篤
  • 主演 : 高山みなみ

エネルギー問題が解決された22世紀。
世界中どこへ行っても夢のように穏やかな世界になってしまった地球。
ジャーナリストのサエバ・ミチルは相棒のウォーカロン(アンドロイド)ロイディと伴に、一夜にして周囲が海になったという伝説の城塞都市イル・サン・ジャックへと赴いた。
閉鎖的な島として知られるイル・サン・ジャックからなぜか取材の許可が下りたのだ。
島についてすぐに宮殿モン・ロゼに通されたミチルだが、そこで以前訪れた「ルナティック・シティ」で出会ったのとそっくりの女性に出会う。
そして「ルナティック・シティ」を訪れたときと同様に、殺人事件に巻き込まれてしまうのだった。
多くの謎を秘めたこの島で、ミチルの謎解きが始まる。



作家・森博嗣さんの小説シリーズである「百年シリーズ」の第2作「迷宮百年の睡魔」を原作とするラジオドラマです。
2003年に放送された第1作「女王の百年密室」に次いで同じ青春アドベンチャーでラジオドラマ化されました。

スタッフ・キャスト続投

ちなみに、脚色の富永智紀さんや演出の大久保篤さんといったスタッフはそのまま同じ、出演者も主人公のサエバ・ミチルを演じる高山みなみさん(名探偵コナン役で有名。青春アドベンチャーでは「小惑星美術館」も。)とパートナー・ロイディを演じる高戸靖広さんが続投しています。
また、前作でヒロインであるデボウ・スホを演じた島本須美さん(ナウシカ役で有名)も引き続き出演されていますが、どういう役かを書くとネタバレにつながるので省略します。

前作以上に声優色強し

その他、TVアニメ「SLAM DUNK」の桜木花道役などで有名な草尾毅さん(シャルル・ド・リー役。青春アドベンチャーでは他に「太陽の簒奪者」)や、「宇宙戦艦ヤマト」の真田志郎役や「ちびまる子ちゃん」のさくら友蔵役(2代目)で有名な青野武さん(「トリガー」にもご出演)なども出演されており、声優色の強いキャスティングです。

マネージャー・林あかり

出演者といえば気になるのが、ジャンネ役の林あかりさん。
声で判別できるほど詳しくないので確信は持てないのですが、本作品の声優さんのキャスティングの多さからすると、恐らく「KiraKira☆メロディ学園」なるアイドル声優ユニットで活動されていた林あかりさんだと思われます。
この林あかりさん、その後芸能活動からは引退され、現在は俳優・タレントの金子貴俊さんのマネージャーをされているそうです。
というか日本テレビのバラエティ番組「世界の果てまでイッテQ!」では、「必要もないのに金子の海外ロケに同行したがる元芸能人の美人マネージャー林」として、出演者並みに弄られるキャラとして定着しています。

金子貴俊さんの出演作

金子貴俊さんも青春アドベンチャーへの出演経験がある(しゃばけしゃばけ2)のですが、差が付いたような付かないようなふたりの人生。
人間、どう転ぶかわからないものですね。
そういえばこの「林あかり」という名前、何となく他の作品でも聞いたことがあるような…
検索するとFMシアターの「ビンテージでいこう」(安形眞司さん作)にはご出演のようですが、もっと昔だったような…
気のせいかも知れませんが、見つけたら追記しますね。

独特の雰囲気

さて、内容とは全く関係ない方向に脱線していましたが、そろそろ本筋に戻ります。
舞台は「イル・サン・ジャック」なる不思議な城塞都市。
イメージはやはり「モン・サン・ミシェル」でしょうか。
ただ、青野武さん演じる僧侶クラウド・ライツが砂で曼荼羅を書いていたりもするので、単純に西洋的とは言い切れない独特の雰囲気のある作品です。

音楽・脚本も好印象

それを補強するのが品の良い音響効果と印象的なテーマ曲。
スピリット・リング」や「風神秘抄」も脚色されている富永智紀さんの脚本もいつもながら聴きやすいですし、高山みなみさんを始めとする出演陣の演技もアニメらしい外連味のある演技ですが、なかなかのもの。
ミステリー風の味付とはいえ硬派な本格的な謎解きではありませんが、それを期待するような作品ではないでしょう。
全体的に欠点のない、よくできた作品だと思う…のですが…

なぜか私にとっては…

「女王の百年密室」もそうなのですが、なぜだか私にはあまり合いませんでした。
嫌いなわけではないのですが、何となく…何というか…寝てしまう…
このような幻想的でありながら落ち着いていて理知的な作品、好きな人は好きなんだろうなあと思いつつ、あくまで個人的な感想としては上記の格付けとさせて頂きました。
ファンの皆様、お許しください。

理系作家の面目躍如

ところで理知的と言えば、作中における私の好きなセリフとして「科学的に説明できないものは実在しない。不思議とは将来の理解への予感のようなもの。」というものがあります。
実はこれは主人公のミチルはの主張ではないのですが、「作者の本当の主張は、ある程度まともなことをしゃべらさざるを得ない主人公の口からではなく、悪役がしゃべることが多い」とも聞いたことがあります。
本作でこのセリフをしゃべるのは悪役ではありませんが、これが作者の本当の主張だとすると、理系作家の先駆けである森博嗣さんの面目躍如とも感じます。


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