折原みとの“天使の降る夜” (サウンド夢工房)

格付:AA
  • 作品 : 折原みとの“天使の降る夜”
  • 番組 : サウンド夢工房
  • 格付 : AA
  • 分類 : 恋愛
  • 初出 : 1990年12月17日~12月21日
  • 回数 : 全5回(各回15分)
  • 原作 : 折原みと
  • 脚色 : 成田勝也
  • 演出 : 川口泰典
  • 主演 : 徳永廣美

愛理はパパを早くに亡くし、今はママと二人暮らしの14歳の少女。
そのママに再婚話が持ち上がった。
相手の男性はとってもいい人だけど、再婚なんてパパへの裏切りだよ!
ショックを受けた愛理は、宝物の絵本 -パパがお話を書いてママが絵をつけた、世界でただ一冊の絵本- をもって、街にとびだす。
そして泣いていた愛理は、ふとした弾みで大事な絵本を風に飛ばされてしまう。
慌てて絵本を取ろうとして転落してしまう愛理。
ふと気がつくと、愛理は自分が天使と名乗るリョウという男性に助けられたことを知る。



折原みとさん原作の「天使シリーズ」の第2作目を原作とするラジオドラマです。
前作である「夢みるように愛したい」の9年後の世界が舞台になっており、NHK-FMでは前作の次の週に放送されました。

主人公は交代、主演は変わらず

主人公は、前作の桜子から愛理に変わりますが、桜子も重要な役で登場します。
ちなみに前作で桜子を演じた徳永廣美(ひろみ)さんは、本作品では「桜子とそっくり」という設定の愛理を演じており、25歳になった桜子は別の方が演じています。
また、天使であり普通の人間とは歳の取り方が違うリョウは、引き続き宮川一朗太さんが演じています。

脇役と音楽

そのほか、六平直政さんや、蘭このみさんといった脇役陣、脚本家の成田さんや演出家の川口さんといったスタッフも同一であり、印象的なテーマ曲も同じです。
そういえば「夢みるように愛したい」の記事で、このテーマ曲は「サテンのマーメイド」と同じ、と書きましたが、実はFMシアター枠で放送された「広くて素敵な宇宙じゃないか」も同じ曲を使っているんですよね。
この3作品、いずれも演出は川口泰典さん。
何かこの曲に思い入れがあるんでしょうかね?

蛇足?

何はともあれ「夢みるように愛したい」から、事実上、連続したストーリーとなっている本作品。
とはいえ、前作は前作だけできちんと完結した作品です。
一度、美しく完結した作品を掘り返して続編をつくるのはどうなのだろう、と私も思います。
しかし、本作品は、前作の内容を背景として消化したうえで、愛理とリョウの間の物語として単独で完結した物語になっています。

シリーズものとしても

そして同時に、桜子とリョウの物語も本作品をもってようやく完結したともいえる構成になっており、なかなかの出来映えです。
本作品の格付け“AA”は、本作品単体の格付けであるとともに、2作品がともに完結を迎えたという感慨を込めた格付けです。
例によって、毎回終了後に、なぜか辛島美登里さんの「夢をつないで」が流れたりして、純然たる作品時間はかなり短めなのですが、短いなりに好印象の作品です。
是非、前作を聴いたあとに聴いて頂きたい作品です。

しかし痛いなあ

さて、それにしても、前作の桜子に引き続き、本作の愛理の言動もかなり痛いものです。
おじさんとしては、素面では聴いていられないくらいです。
でも「屋上デモクラシー」や「リテイク・シックスティーン」などもそうでしたが、中高生の考えていることなんてイタくて当たり前です。
こういう作品は、そのイタさを楽しむものだと思います。

サウンド夢工房とは

個人的な感想ですが、「サウンド夢工房」時代の作品は、エッセイや女性向きの小説などを原作としている作品が多く、肌が合わない作品が多かった印象があります。
本作品も素材的には肌が合わない作品だと思いますが、上手く料理されており、食わず嫌いはいかんなあ、という思いを新たにしました。

数少ない成田勝也さん脚本作品

本作品の脚色は成田勝也さんで、演出は川口泰典さんです。
青春アドベンチャー系列の作品で、成田さんが脚色を担当されている作品は、私が把握している範囲で7作品だけです。
このうち「武蔵野蹴球団」以外は全て「サウンド夢工房」時代の作品なのが特徴です。

【川口泰典演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
こちらをご覧ください。
傑作がたくさんありますよ。

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格付:AA
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