- 作品 : 武蔵野蹴球団
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : C+
- 分類 : スポーツ
- 初出 :1993年9月20日~10月1日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 原作 : 木根尚登
- 脚色 : 成田勝也
- 演出 : 千葉守
- 主演 : 中村繁之
1993年5月。
元・井の頭西高・サッカー部の面々は、Jリーグの開幕試合を利用した同窓会で久しぶりに顔を合わせた。
高校卒業後、ある者は大学に進学し、ある者は家業の手伝いをしている。
しかし、エースだった杉浦恒平(22歳)だけは、何をやっても長続きせず、プー太郎をしていた。
そんな彼にも変化の時が訪れる。
一人の女性との出逢いと、商店街を揺るがす地上げ事件を切っ掛けとして。
本作品「武蔵野蹴球団」は、TMネットワークのギタリスト・木根尚登さんの同名の原作小説(その後、改題して「いつか見た遠い空 武蔵野蹴球団」)をラジオドラマ化した作品です。
サウンド夢工房から青春アドベンチャーにかけて
木根さんは、青春アドベンチャーでは本作品のほか、「P」と「夢の木」、サウンド夢工房で「ユンカース・カム・ヒア」と「ユンカース・カム・ヒアⅡ」がラジオドラマ化されているほか、単発ドラマとして「CAROL」もNHK-FMで取り上げられています。
1990年代前半にNHK-FMで採用された代表的な作家さんといえると思います。
ちなみに木根さんの原作作品だからTMネットワークの曲が使われる…ということはなく、むしろRCサクセションの「スローバラード」が効果的に使われています。
放送当時のリアルな日本が舞台
さて、青春アドベンチャーでラジオドラマ化された他の2作品、「P」と「夢の木」がファンタジー要素の強い作品であるのに対して、本作品は非科学的な要素は一切ない作品です。
作品の舞台も、現代の日本、それも東京都武蔵野市・三鷹市の吉祥寺駅周辺であることが明確にされています。
井の頭西高校こそ架空の学校ですが、固有名詞を避ける傾向があるNHKでありながら「井の頭自然文化園」などはそのまま作中に出てきます。
また、作品が放送されたのが、実際にJリーグがスタートした1993年でありカズやアルシンドなどのサッカー選手の名前も登場します。
サッカー要素
ところで敢えてJリーグ開幕の年に放送されたことからもわかるとおり、この作品はサッカーが重要な要素になっています。
そのため、本ブログでのジャンルも一応、「スポーツ」としたのですが、残念ながらサッカーという競技の特性を生かした設定や展開やキャラクターの性格付けは皆無。
アマレスを扱った「フルネルソン」などと同じように、スポーツはあくまで小道具扱いです。
その割には、かのドイツの強豪プロサッカーチーム「バイエルンミュンヘン」がストーリーに絡んでくるなどいささかご都合主義に過ぎるようにも感じます。
もう少し効果的に
本作品、冒頭3話程度を聴いただけだと、この作品は主人公たちがサッカーをする話なのか、子供たちにサッカーを教える話なのか、はたまたサッカーとはあまり関係のない恋愛ものなのかもわからないのですが、実はそこまでに出ていた「地上げ」や「商店街」がちゃんと伏線となっていて、後の話に違和感なくつながるなど、良いところもあったので、何とかもう少し効果的にサッカーを絡ませて欲しかったと思います。
地上げを理解していない?
なお、確かに1993年ではまだまだバブル期の地上げの印象が強烈だったのだとは思いますが、本作品で描かれている地上げはいくらなんでもステレオタイプすぎです。
そもそも、今の人たちって「地上げ」が何かもわからないかもしれませんが。
アイドルコンビ
話を出演者に移しますと、本ラジオドラマで主役の杉浦恒平を演じているのは元ジャニーズ所属で俳優の中村繁之さん。
NHK-FMでは1989年・1990年の「西遊妖猿伝」、「続・西遊妖猿伝」にも出演されています。
正直、恒平の、どうにも心のこもっていない(ように感じられる)発言や、思いつきで突っ走る安易な行動は、あまり好きにはなれないのですが、中村さんの演技には「西遊妖猿伝」の時以上に違和感はありません。
ちなみに、「西遊妖猿伝」では少年隊の錦織一清さんと一緒に「男性アイドルコンビ」での出演でしたが、本作品ではヒロイン朋音(ともね)役のアイドル佐藤忍さんと併せて「男女アイドルペア」でのご出演です。
この辺、NHKも意外とミーハーです。
タッチつながり
また、地上げ屋の子分の役で、アニメ「タッチ」の上杉和也役の難波圭一さんが出演されています。
「王女アストライヤ」に出演された三ツ矢雄二さん(上杉達也役)、「魔術師」のナレーションを担当した林家正蔵(こぶ平)さん(松平役)と併せて、「タッチ」トリオの形成ですが、こうなるとやはり「タッチ」のヒロイン・朝倉南役の日高のり子さんが出演したNHK-FMのラジオドラマが見当たらないのがさびしいですね。
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