折原みとの“夢みるように愛したい” (サウンド夢工房)

格付:AA
  • 作品 : 折原みとの“夢みるように愛したい”
  • 番組 : サウンド夢工房
  • 格付 : AA-
  • 分類 : 恋愛
  • 初出 : 1990年12月10日~12月14日
  • 回数 : 全5回(各回15分)
  • 原作 : 折原みと
  • 脚色 : 成田勝也
  • 演出 : 川口泰典
  • 主演 : 徳永廣美

桜子はふと目を覚ますと、真っ白な世界にいた。
確か、自分は軽井沢に行く途中で、しかも乗っていたバスは崖から転落したはず。
ということは自分は死んでしまったのか…
しかし、そばに浮いていた自称・天使のリョウによれば、彼女の魂はリョウのミスで体を離れてしまっただけで、今、桜子の魂は天界と下界の中間にある霊界にいるのだという。
体に戻してあげるというリョウについて、自分の体が運ばれた病院に行った桜子。
しかし彼女はそこで眠り続ける娘の前ですら、喧嘩を続けている両親の姿を見てしまう。
絶望した彼女は生き返ることを拒否するのだが…



作品タイトルが表しているように、折原みとさんの小説を原作とするラジオドラマです。
原作は講談社のX文庫(ティーンズハート)というレーベルから刊行されています。
つまりは、十代の少女向けの恋愛小説?青春小説?な訳です。
十代の少女向けのファンタジーなお話し、と聞くと、ゲッとなる向きもあると思いますが、さすが名手・川口泰典さんの演出。
確かに、かなり、あまーい話ですし、我儘娘の痛い暴走っぷりに、どうにも共感できないのですが、意外と聴かせる作品になっています。

天使シリーズ第1作

ちなみに折原みとさんは、小説家でありながら漫画家でもあるという異色の作家さんです。
この作品は小説家としての折原さんの代表的なシリーズ作品である、通称「天使シリーズ」(全6作品あるらしい)の第1作です。
本作品“夢みるように愛したい”の直後に連続してラジオドラマ化された「折原みとの“天使の降る夜”」は、本作品の直接の続編にあたります。

全5話でも侮れない

本作品はわずか5回の作品ですし、どういう訳か毎回、ドラマの終了後に歌が入って2~3分のロスがあるため、ボリューム的に物足りないのは確かですが、起承転結がハッキリしており、ストーリーが詰まった展開に隙のない作品です。
続編も控えているわけですが、本作品単体としても立派に完結しているストーリーです。
全5話の小品でも、題材を選び、ストーリーを整理して、上手に演出すれば、十分に聴かせる作品になる好例だと思います。

主演は徳永廣美さん

さて、何分、短い作品ですので、ストーリー紹介は冒頭だけで十分だと思いますので、出演者の紹介に移ります。
主役の桜子を演じているのは女優の徳永廣美(ひろみ)さんです。
少しハスキーな声質の方で、個人的には桜子は例えば(当時の)山下容里枝さんのように、もう少し女性っぽい声の方があっていると思います。
しかし、同時に本作品での徳永さんの熱演は声質の違和感を忘れさせるほどのものだとも感じました。

宮川一朗太さん、またしても相手役

一方、桜子の相手役である、要領の悪い天使・リョウは、NHK-FMのラジオドラマではお馴染みの宮川一朗太さんが演じています。
なぜか女性主人公の相手役という立ち位置(しかも微妙に不幸せ)が多い宮川さん。
青春アドベンチャーでは「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズの中沢博巳役(「僕らの夏」参照)や「ふたり」の神永哲也役が好例でしょうか。
そういえば先ほど山下容里枝さんの名前を出しましたが、山下・宮川のコンビだと、そのままアドベンチャーロード時代の「時はそよ風、時はつむじ風」になってしまいますね。
そうか私はこれをイメージして山下さんの名前を出したのですな。

サテンのマーメイド?

また、アドベンチャーロード時代といえば、本作のテーマ曲は、なぜかアドベンチャーロード時代の「サテンのマーメイド」(島田荘司さん原作)と全く同じなのです。
この系列の番組では作品ごとにオリジナルの音楽をつくることは少なく、既存の曲から選曲してテーマ曲にすることが多いのですが、選定したテーマ曲が複数の作品で被ることはあまりありません。

いくらなんでも

それが寄りによって、全然雰囲気の違う「サテンのマーメイド」と「夢みるように愛したい」が同じテーマ曲なのです。
何と言っても「サテンのマーメイド」は川谷拓三さん主演のハードボイルドなのです。
全然違う分野の作品の割には、両作品とも曲が雰囲気にあっています。
しかし、個人的には、本作品を聴く度に、どうしても先に聴いてた「サテンのマーメイド」を思い出してしまいます。
その他、脇役として、日本を代表する怪優の六平直政(むさか・なおまさ)さんが出演されているのも聴きどころ?だと思います。
声だけだとなかなか紳士な雰囲気で意外です。

【川口泰典演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
こちらをご覧ください。
傑作がたくさんありますよ。

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