三倉茉奈さん、三倉佳奈さんの姉妹を主役に据えた、1話完結形式のオリジナル脚本のラジオドラマです。
男女の恋愛がテーマの作品群で、舞台はすべて大阪、そして制作はNHK大阪放送局です。
青春アドベンチャーでは時々、地方局制作の作品が放送されます。
必ずしも、その地方局の所在する地域に関連した作品が制作されるわけではないのですが、やはりその地域に縁のある作品が多い傾向にあります。
大阪局であれば、2012年の「屋上デモクラシー」などが、関西弁バリバリの作品でした。
その他にも、2006年の「風になった男」(岡山局制作)、2007年の「尾張春風伝」(名古屋局制作)などが“ご当地もの”です。
古くは1989年の「ドラゴン・ジェット・ファイター」(福岡局)も九州が舞台の作品でした。
さて、本作品の主演は、三倉茉奈さん、三倉佳奈さんの、いわゆる「マナカナ」さんです。
ご存知のとおり、一卵性双生児の姉妹で、NHK連続テレビ小説の「ふたりっ子」で、ふたり揃って主人公の子ども時代を演じて、人気を集めました。
その後、今度は「だんだん」で、やはりふたり揃って、NHK連続テレビ小説の(大人の)主役を務められています。(青春アドベンチャーにおける連続テレビ小説の出演女優はこちらの記事参照)
ご出身が大阪だそうで、本作品では大阪弁で演技をされています。
なお、おふたりが主役といっても、本作品のドラマパートでは、基本的に各話ごとにどちらかお一方しか出演されておらず、ドラマの後のトークコーナーのみ毎回おふたりが一緒に登場する形式です。
ちなみに、本作品は10分強のドラマ編の後に、1分程度のトークコーナーがあり、最後に1~3分を使ってラブソングが流れます。
青春アドベンチャーでは、他にあまり例を見ない作品で、どちらかというと、民放のラジオドラマっぽい構成です。
なお、マナカナさん以外の出演者は、大物俳優の鶴見辰吾さんと、仮面ライダーアギト役でイケメン俳優として名を挙げた賀集利樹さんという何とも豪華な組み合わせです。
基本的に、先輩、先生といった年上の男性の役を鶴見辰吾さんが、後輩、元生徒などの年下の男性の役を賀集利樹さんが担当されています。
基本的にこの4人(マナカナさんは第10話以外はどちらかしかドラマパートには出演しないので実質的に3人)で、ストーリーは進みます。
実はマナカナさんはヒロインではあるのですが、どちらかというと男性陣2人を中心にストーリーが進行する回が多く、男性陣は標準語で台詞を話す(ちゃんと関西人ではないという設定になっている)話が多いため、大阪色はあまり強くありません。
賀集さんは尼崎のご出身なので関西弁はへっちゃらだと思いますが、鶴見さんは東京ご出身のはずです。
恐らく、脚本の制作上、少なくとも男性陣のうちのひとりは非関西人、という縛りがあったのだと思います。
脚本家はご苦労されたのではないでしょうか。
さて、本作品で放送される全10話の概要は以下のとおりです。
◆第1話 「恋のキューピッド」 (青山花累)
転勤する後輩と、大阪に残る先輩。恋愛の話というより友情の話。
◆第2話 「天の川さくら色」 (堀田りえこ)
いい話という扱いだけど、元教師の行動は現実には微妙だと思う。
◆第3話 「君を探し続けて」 (凪司工房)
死んだのはどっちか終盤までわからない展開。でもオチはコテコテ。
◆第4話 「婚活実習」 (益田昌)
花婿スクールのデート実習。設定は特異だがストーリーは平凡。
◆第5話 「たこ焼き焼けた」 (木山真太郎)
たこ焼き屋の娘に惚れた男が、たこ焼き屋に挑戦!というだけの話。
◆第6話 「大阪 LOVE ROAD」 (植澤紀子)
旧知のマラソン選手を応援する女。どう考えても無責任な応援。
◆第7話 「鈴虫が鳴く庭で」 (福井ちひろ)
結婚式から逃げてきた女。正論だが言うと喧嘩になるんだろうなあ。
◆第8話 「そして二人残った…」 (森本宇一郎)
木星の衛星エウロパで事故発生。オチは予想できるけど、まずまず。
◆第9話 「夏の迷子」 (掛川浩司)
カナの感想は“ザ・青春”。でも、これは父と娘の話では?
◆第10話 「二人いる」 (中村志保)
結婚直前のマヤはふたりに分裂してしまう。オチがよく分からない。
※「大阪LOVER」は毎回オープニングで流れる本作品全体のテーマ曲でもあります。
正直、ひとりずつ話されるとマナさんとカナさんの声の区別は付きませんし、ドラマ編ではほとんどの回でどちらかお一方しかご出演されないため、マナカナさんの起用が効果的であったか疑問はあります。
ただし、トークコーナーなど、ふたりが同時に出演される場面では、ステレオを上手く使って、両側から声が聞こえてくるので、混乱することなく聴くことが出来ます。
その点では安心です。
ステレオで聴いてみると、ふたりの声の高低が微妙に違うのが分かり面白いです。
なお、本作品が放送された翌年の2011年には、類似の企画である「マナカナの大阪WORKER」が放送されています。