ハムスターになった男 原作:高橋光子(カフェテラスのふたり)

格付:C
  • 作品 : ハムスターになった男
  • 番組 : カフェテラスのふたり
  • 格付 : C
  • 分類 : 幻想(日本/ライト)
  • 初出 : 1985年9月16日~9月27日
  • 回数 : 全10回(各回10分)
  • 原作 : 高橋光子
  • 脚色 : 内田史子
  • 演出 : 和田浩明
  • 主演 : 吉田日出子、小日向文世

部屋で突然倒れたリョウは、ヒロコが目を離したすきに服だけを残していなくなってしまった。
やがてリョウのワイシャツの下から現れたのは1匹のハムスター。
ハムスターなのでもちろん言葉は話せない。
しかし、ヒロコはそのハムスターの雰囲気と挙動から彼が今そこにいることを悟った。
こうしてヒロコとリョウ(ハムスター)の共同生活が始まった。


本作品「ハムスターになった男」は高橋光子さん原作の小説を元にしたラジオドラマです。
高橋光子さんは芥川賞の候補にもなった純文学の作家さんですが、上条由紀の名義で集英社コバルト文庫などで少女小説も書かれていたのだそうです。

「変身」リスペクト?

さて、「ハムスターになった男」と聞いてどんな内容の作品なのだろうと聞いてみてびっくり。
男がハムスターになる話です。そのまんまやんけ!
男がある日突然別の生命体になる、という点ではカフカの「変身」系とでもいえましょうか。
そういえば青春アドベンチャーでいえば2021年の「当面の間、変身します」も同じ趣向でしたね。
本作品についていうと男がダメ人間なのがカフカの「変身」と共通しています。

かわいい変身?

しかし、「変身」の主人公グレゴール・ザムザが人付き合いの苦手な不平屋なのに対して、本作品のリョウは年上の彼女の家に転がり込んで平気な顔で暮らしている割と適当な人間。
また、「変身」でザムザは見にくい毒虫になるのに対して本作品でリョウがなるのはかわいいハムスター。
結局、彼も彼を取り巻く人々もあまり深刻になることなく物語は進行していきます。

わかったような…

基本的にリョウはハムスターであることから発声ができないため、リョウが一方的にヒロコの言っていることがわかるだけです。
この状態でヒロコはハムスターをよくリョウだと認識できたものですが、実際、ちゃんとしたコミュニケーションはとれていないのがこの物語のミソ。
すれ違いが過去の二人の関係と絡んで徐々に物語はシリアスな方向に向かうのですが…
でも結局、何が言いたかったのかよくわからない。
本家の「変身」も解釈は読者に任されている作品ですが、本作品もその点では同様。
想像力の貧困な私にとっては正直、わかったようなわからないような話でした。

脚本家紹介

本作品を脚色されたのは脚本家の内田史子さん。
1983年「囚われの町」にてNHK大阪放送局の主催するBKラジオドラマ脚本賞を受賞された方で、当ブログでは脚色作として「魔弾の射手」や「ガール・ミーツ・ボーイ」、「マドモアゼル・モーツァルト」、「おしまいの日」などを紹介済です。
なかなか振り幅の広いラインナップですね。

出演者紹介

また本作品の出演者は吉田日出子さんと小日向文世さんの「オンシアター自由劇場」コンビ。
番組名どおりおふたりで全ての役を演じ分ける形式ですが、ヒロコとリョウのセリフが大半を占めます。
小日向さんといえば今は名バイプレイヤーとして知られていますが本作品が放送されたころはまだ一般的な知名度は低く、TVドラマに良く出演するようになるのは2001年に放送された木村拓哉さん主演のTVドラマ「HERO」にご出演されてからになります。



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