- 作品 : イッセー尾形のたまゆら日記
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : C+
- 分類 : 日常
- 初出 : 1997年9月22日~10月3日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 原作 : イッセー尾形
- 作 : 柴田善幸
- 脚色 : 近藤峰子
- 演出 : 吉田努
- 主演 : イッセー尾形
1995年から3年に亘り1作品ずつ制作された青春アドベンチャーの「イッセー尾形シリーズ」。
1995年の「イッセー尾形劇場 凡庸の極み」、1996年の「イッセー尾形のたゆたう人々」に続く、最終作がこの「イッセー尾形のたまゆら日記」でした。
渋すぎる…
スノッブさと不条理さで有名な名古屋局の脚本家競作シリーズ(十人作家シリーズ)など、青春アドベンチャーには「なぜ若年層向きのエンタメドラマ枠で放送しちゃったのだろう」と思われる、オーパーツのような作品がときどきあるのですが、その究極の姿の一つがこのイッセー尾形シリーズだと思います。
何といっても(主に)中年男の冴えない日常生活を淡々と描くという地獄のような作風が異彩を放っています。
まさに青春アドベンチャー史上、最シブ。
イッセー尾形ファンしか狙っていない
コメディ的な演技でも有名なイッセー尾形さんが主演していますので、せめて笑えるシーンでもあればよいのですが、この作品で笑えるのはかなりのイッセー尾形上級者だけだと思います。私には無理でした。
第7回の「缶コーヒーの恩」、第8回の「地平線のシルエット」など割と明るい雰囲気の回が悪くないのは救いなのですが、第1回「ヨーコに呼ばれて」、第4回「北欧の裏街」などで描かれた海外で暮らす日本人のしみったれた姿などは聞くに堪えないです。
ただまあ、これを放送しちゃったというのはある意味快挙であり、青春アドベンチャーの一つの歴史として語り継ぐべき偉業でもあるのでしょう。
そもそも「たまゆら」とは「勾玉同士が触れあってたてるかすかな音」が原義だそうですので、(がさつな私には良く分からないのですが)そのような繊細な感情の機微を描く作品があってもよいのでしょう。
そういう意味では結構評価している作品です。
後半は意外といけた
あと、社会人をしていると共感できてしまう第7回・第9回、数少ない先が気になる意外な展開の第8回、穏やかなストーリー展開が心地いい(ほめ過ぎ?)第10回など、後半に聞きやすい作品多かったことも作品全体として良い印象を残すことに寄与していると思います。
本当、序盤を聞いていた時はどうなることかと…おっと言い過ぎました。
この作品のファンの方、ごめんなさい。
あくまで個人的な感想ですのでご容赦を。
各回のタイトルと原作
さて、最後に各回のタイトルの一覧を記載します。
本作品も「たゆたう人々」と同様に、イッセー尾形さんご自身による単行本「いつか、スパゲティ」が原作になっています。
ただ、他の回は「近藤峰子、脚色」であるのに対して、第7回と第9回はよく聴くと「柴田喜幸、作」となっていますので、この2回のみ番組オリジナル脚本なのだと思います。
この辺を含め、いつか単行本「いつか、スパゲティ」で確認してみたいと思います。
- ヨーコに呼ばれて
- 山あいに陽は落ちる
- 割り箸に花びらが
- 北欧の占い
- ひやかしの金魚たち
- 急坂が九の字に
- 缶コーヒーの恩
- 地平線のシルエット
- ハ・ヒ・フの日
- 父の彗星
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