二の悲劇 原作:法月綸太郎(青春アドベンチャー)

格付:AA
  • 作品 : 二の悲劇
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : AA
  • 分類 : 推理
  • 初出 : 2000年5月29日~6月9日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
  • 原作 : 法月綸太郎
  • 脚色 : 清水亜希子
  • 演出 : 松浦禎久
  • 主演 : 山西惇

推理作家の法月綸太郎は、警視庁の警部を父に持ち、難解な事件の捜査を手伝っている素人探偵である。
今回の事件は、若い女性が痴情のもつれから同居していた親友を殺害したというもの。
死体の顔を潰すという残虐な犯行の割には動機が不十分な印象は残ったが、ごく単純な事件と思われた。
しかし倫太郎は、捜査本部で使われている被疑者と被害者の名前が、卒業アルバムではひっくりかえって書かれていることに気がつく。
この事件は名前と顔をなくしたふたりの女性とふたりの男性を中心とする複雑な事件だったのだ。



青春アドベンチャーとしては珍しい本格的な推理ミステリーの作品です。
本格ミステリーでも、最近放送された「放課後はミステリーとともに」と異なり聞いていて楽しいライトな展開は全くなく、探偵役が殺人事件の謎に挑む純粋な推理ものです。

複雑・難解

展開は複雑で、探偵役の法月が最初に立てた推論は序盤で覆され、その後立てた推論もまた崩れます。
その後、6・7話くらいで概ね謎解きが終わったように見えるのですが、終盤、新たな要素がわかりさらに一転します。
また、放送の形式にも難解な部分がありました。
作品中に時々、二人称(他人に呼びかける形)の台詞が挟まれるのですが、これが独特で、聞いていてもあまり謎解きのヒントにはならず、最初に聞いたときは誰が誰に呼びかけているのかすらわかりませんでした。

ただしトリック重視ではない

内容的に見ると、本作は殺人事件を題材にした推理ものですが、本作の謎解きは密室トリックのような殺人方法を解き明かすものではなく、事件の動機・背景を洗い出していくものです。
事件の背景には登場人物たちが高校時代から抱き続ける「思い」があり、本作は犯罪の物語というより、その思いの物語です。
法月の探偵役としての成果も序盤に日記の存在に気づくことくらいで、あとは日記を検証してその思いをたどっていくだけと言っても過言ではありません。

ラジオドラマのため一層難解に

しかし、多くの登場人物たちが嘘をついたり誤解したりしているため、小説のように読み返しができないというラジオドラマの特性もあり、中々難解な話になっています。
ただし、技巧的なトリックに重きを置いていないので、「放課後はミステリーとともに」のように一瞬聞き逃しただけで話がわからなくなってしまうようなことはありません。

山西惇さん主演作

主役の法月役は山西惇さん。
山西さんはテレビドラマ「相棒」で、飄々とした課長役を演じているのをお見かけしますが、声だけ聞くと同じ人とはわかりませんでした。
青春アドベンチャーでは「精神分析ゲーム」でも主演されていますが、実は山西さんご本人のツイートによればNHK-FMの帯ドラマに参加したのは1984年の「フンボルト海流」。
この作品の16年も前から出演していたことになります。


なお、2019年3月3日の「今日は一日”ありがとうFM50″三昧~オーディオドラマ編」に山西惇さんが出演された際に、この「アンカー巻き上げ用意!」の一言が放送されるという椿事がありました。

ヒロイン、制作局

ヒロイン?の清原奈津美役は小川範子さん。
アイドルとしての印象が強いのですが、実は青春アドベンチャーでは、随分昔に「星虫」に出演するなど、数作の出演経験があります。

製作は大阪局です。
銀河番外地、運び屋サム」や「有頂天家族」の名古屋局をはじめとして、地方局の作品は冒険的な作品が多い印象です。

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