青春アドベンチャーは1992年から続く長寿のラジオドラマ番組で、主に小説等の原作のある作品を1作品=15分×10回を基本として放送しています。
ただし、時には全く違う形態で放送することもあり、10人の脚本家による1話完結のオリジナル脚本ドラマを、10作ひとかたまりで放送するシリーズは数多く制作されています。
青春アドベンチャーにおけるこの形態の作品の第1号だったのが、今回ご紹介する「新・夢十夜」です。
制作したのはNHK名古屋局で、名古屋局はその後も継続してこのような短編集作品(十人作家シリーズ又は名古屋脚本家競作シリーズ)を制作していくことになりますし、後にNHK本局主導の「不思議屋シリーズ」や、大阪局主導の「ライフシリーズ」にもつながっていくことになります。
さて、本作品「新・夢十夜」で放送された10本のドラマの詳細は以下のとおりです。
2013年に放送された「新・動物園物語」と同様に、何が「新」なのか今ひとつわかりませんが、NHK-FMでラジオドラマ化されている「青春デンデケデケデケ」で有名な芦原すなおさんの同名小説とは全く関係ないようです。
ちなみに青春アドベンチャー系のラジオドラマ番組では、本作品の他にも、サウンド夢工房時代に「電脳獏・夢十夜」(1990年)、ふたりの部屋時代に「サムとデコの夢十夜」(1982年)と「祭・夢十夜」(1984年)、カフェテラスのふたりでは「愛十夜・中島みゆきのように」(1987年)という、似たようなタイトルの作品が制作されています。
これらはすべて夏目漱石の「夢十夜」を意識しているのかも知れません。
◆第1話 「ロフトで」 (二木美希子)
「恋愛もの」というほど情熱的な作品ではない。視聴後感は悪くないがよくわからない。
◆第2話 「見られている男」 (富永智紀)
特別に怖いわけではなく、ホラーといってよいかはわからない。
◆第3話 「砂時計」 (伊佐治弥生)
片岡玲子さんと佃典彦さんの二人芝居。世界が止まってしまう?さっぱりわからない。
◆第4話 「青い犬」 (一尾直樹)
映画監督一尾直樹さんの脚本。全編韻文調で、言ってみればほぼ「詩」。よくわからない。
◆第5話 「二十五夜」 (高橋里実)
髭を伸ばして剃る話。それだけといえばそれだけ。何が言いたいのかよくわからない。
◆第6話 「夢の地図」 (近藤峰子)
第3話・第4話と並ぶ全編不思議な寓話のような話。さっぱりわからない。
◆第7話 「霞は晴れて」 (物部俊之)
夢の世界からの脱出行。もう一人の霞の位置づけがわかったようなわからないような。
◆第8話 「ハロー!ベイビー」 (山根由美子)
胎児に会話させる必要性が不明。もうちょっと工夫があっても良いのではないか。
◆第9話 「帰り道」 (田島秀樹)
ほんのりホラー風味。テーマはあまりよくわからないがホラーにテーマなんてないか。
◆第10話 「駄菓子屋さん」 (大道珠貴)
妻の言動がわけわからない、というか胸糞悪い。でも印象的な内容ではある。
「新・夢十夜」というタイトルからわかるとおり、各作品に共通するテーマは「夢」…のはずですが、第5話「二十五夜」などあまり夢に関係ない話も。
いずれにせよ、淡々としていてテーマがわかりづらいか、幻想的だったり難解だったりしてそもそもストーリー自体が良くわからない作品が多数。
これは「10人作家シリーズ」に共通の作品傾向なのですが、こうしてみるとこのシリーズの傾向は最初の作品である本作品「新・夢十夜」の時点から始まっていたことがわかります。
出演は女優の片岡礼子さんと、劇作家・演出家・俳優の佃典彦さん。
佃さんは「新・動物園物語」で1話脚本を書かれているほか、アドベンチャーロード時代にはライトな雰囲気の長編「ロスト・タイム」のオリジナル脚本を書かれています。
その他の出演者として、やはり脚本家の北村想さん(「怪人二十面相・伝」)もコールされており、脚本家の出演が多い作品です。
【10人作家シリーズ(名古屋脚本家競作シリーズ)作品一覧】
その難解さとアンニョイさで青春アドベンチャーでも異彩を放つ、名古屋局制作のオムニバス作品シリーズの一覧は、こちらです。
本作品以外の作品の記事もご覧ください。
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○田○んさん(非公開希望のようですので伏字にしました)から間違いのご指摘をいただきました。
ありがとうございました。
ご指摘は修正しています。