- 作品 : イッセー尾形劇場・凡庸の極み
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : C
- 分類 : 日常
- 初出 : 1995年9月25日~10月6日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 作 : 近藤峰子、柴田喜幸
- 演出 : 角井佑好、吉田努
- 主演 : イッセー尾形
本作品「イッセー尾形劇場・凡庸の極み」はNHK-FM青春アドベンチャーで放送された「イッセー尾形」さんの名前を冠する3作品のひとつで、一番最初に放送された作品です。
全3作品のうち後に放送された2作品「イッセー尾形のたゆたう人々」(1996年)、「イッセー尾形のたまゆら日記」(1997年)はイッセー尾形さんの原作作品とされているのに対して、本作品のみ近藤峰子さん、柴田喜幸さんによるオリジナル脚本とされています。
ちなみに、本作品に先立つ1992年に単発のラジオドラマ枠で「特集オーディオドラマ 牛乳一合ココア入り」が同じ大阪局にて制作されていますので、すべてのスタートはこの「牛乳一合ココア入り」だったのかも知れません。
さて、イッセー尾形さんといえば日本における一人芝居の第一人者として、皆様ご存じのことと思います… って皆さんご存じでしたか?
恥ずかしながら、私はもともとコメディアンの方なのだと思っていました。
青島幸男さん主演の「意地悪ばあさん」での印象が強すぎましたし。
だから、2005年の映画「太陽」で昭和天皇を演じられたときも「面白い配役だなあ」などとピントのずれた感想を持ったことを覚えています。
イッセーさんの魅力たっぷり?
と言うわけでそのイッセー尾形さんの一人芝居の魅力が一杯に詰まったのがこの3作品です。
すべて1話15分完結のオムニバス形式。
イッセーさんは舞台では最低限の小道具と衣装だけで一人芝居をするそうですが、ラジオドラマはSEこそ使えるものの、声だけで映像がないという面でさらに最低限。
本作品は回によって一人芝居に近いものと、複数の演者と掛け合いをする通常の芝居に近いものと様々ですが、「死ぬまで青春、人生はアドベンチャー。人間は実に不可解な生き物であります。」というテーマのもと、日常生活に潜む数々のアドベンチャーをユーモアとペーソスを織り交ぜて、辿々しいマシンガントーク(←矛盾していますかね?)で展開する様は共通しています。
まさにイッセー節全開なのですが…
聴く人を選ぶ作品
…いかんせん地味、地味すぎる!
1994年は吉田秋生さん「BANANA・FISH PART3」(完結編)とか、ハインラインの「夏への扉」とか、「ランドオーヴァー」の1・2とか、ドナルド・D・ウェストレイクのドタバタもの(踊る黄金像)が放送されていた華やかな時期なのでなおさら。
伊佐治弥生さん脚本の「オーバー・ザ・ハポン ~空の彼方(かなた)へ」と並んで1994年の地味な作品2トップ!
これは人を選ぶ作品だなあ、というのが正直なところです。
タイトル紹介
各回のタイトルは以下のとおりです。
毎回ドラマ後に、イッセーさんが演じるタニワタリ教授と女性アナウンサーが進行する「心理学(サイキック)ワンポイント講座」がつきます。
- 電車はギリギリ
- 始末書
- 管理人
- 綾ちゃんと真理ちゃん
- 丸岡さんとショッピング
- 処置室
- リストラ旅行
- 真夜中のドライブ
- 焼き増し
- 社長のこめかみ
上記のとおり、本作品はイッセーさんによる一人芝居がメインの、イッセーさんのための番組なのですが、実は助演に1970年代に「お呼びでない? こりゃまた失礼致しました!」のギャグで一世を風靡したコメディアンの小松政夫さんが出演されています。
イッセーさんと小松さんはふたり芝居の活動などもされているそうですので、息はぴったりです。
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