五つの魔法の物語 作:島田満(カフェテラスのふたり)

格付:C
  • 作品 : 五つの魔法の物語
  • 番組 : カフェテラスのふたり
  • 格付 : C
  • 分類 : 幻想(その他)
  • 初出 : 1987年11月23日~11月27日
  • 回数 : 全5回(各回15分)
  • 作  : 島田満
  • 演出 : (不明)
  • 主演 : 早瀬優香子、篠塚勝

あなたは魔法を使うことができますか。
魔法はおとぎ話に出てくる古めかしい呪文のことではなく、サーカスの少女の赤いステッキのことでもなくて、あなたの胸に眠っている夢見る翼のことなのですから。
(当作品のナレーションより)


NHK-FMの「カフェテラスのふたり」という番組で放送された島田満さん作のオリジナル脚本のラジオドラマです。
NHK-FMの帯ドラマの系譜についてはこちらの記事で説明していますが、「カフェテラスのふたり」は「ふたりの部屋」の後番組であり、本ブログでは青春アドベンチャー系列の番組のひとつとして整理しています。

リリカルな作品が多いイメージ

しかし実際に「カフェテラスのふたり」で放送された作品を取り上げるのは今回が初めてです。
というのも、「カフェテラスのふたり」は、寺山修司さん原作の童話「赤糸で縫いとじられた物語」を取り上げた前番組である「ふたりの部屋」以上に、本ブログで分類するところの「日常系」やファンタジー色の強い「幻想系」の作品が多い番組でした。
そのため、実際、私もあまり聴いていませんでしたし、今から調べても取り上げたいと思う作品がとても少ないため、ここまで1作品も取りあえげていなかった訳です。
ちなみに、同時期にNHK-FMで別に放送されていた「アドベンチャーロード」は冒険小説・SF小説等を原作とした派手な作品が多く、明らかに作品傾向が違う番組でした。

舞台自体が曖昧

今回紹介する「五つの魔法の物語」も、いかにも「カフェテラスのふたり」らしい幻想的な作品です。
本作品は1回10分×5回の構成ですが、1回ごとにストーリーが完結する短編集のスタイルです。
作品の舞台は、どの話も、いつの時代ともどこの場所とも知れない、おとぎ話的な箱庭世界です。
そしてその世界で魔法に関わる何らかの出来事が起き、それの顛末が語られます。

各回ごとの感想

個人的な感想としては第1話の「幸せを売る旅商人の話」はなかなか気の利いたオチが付く話で小品ながら楽しめました。
第5話の「シリウスと呼ばれる星占い師の話」も、まあ論理的な話ではありませんが、それなりの結末で面白かったと思います。
ただ、番組が10分一本勝負の構成なので仕方がないとは思いますが、第2話と第4話は起承転結もあるのかないのかよく分からない韻文的な作品でした。
なにせ、バラの花が語り掛けてくるような話ですから…

◆第1話:幸せを売る旅商人の話

その旅商人の売る商品は「幸せ」。
不幸な人たちにその人にあった形の「幸せ」を売り歩いている。
お代は後払い。
しかし幸せになった人々は商人に感謝することを忘れてしまい、商人はなかなか報われない。
どこかに商人自身のための「幸せ」はあるのだろうか。

◆第2話:灰色の街に住む少年の話

(未聴-正確には昔、聴いたかも知れないが忘れてしまった)

◆第3話:水色の森のフェニーネの話

水色の森にすむフェニーネは記憶がなく、ただ心のままに歌う毎日だった。
しかし、ある日、手に入れた笛を吹いたところ、自分の人生を少しずつ思い出し始めた。

◆第4話:ジェリナと魔法の話

お転婆ジェリナ。
毎日、男の子と遊んでいた彼女は、ある日拾った笛を吹き始めてから少しずつ変わっていく。
もう男の子と一緒には遊ばない。

◆第5話:シリウスと呼ばれる星占い師の話

シリウスと呼ばれる星占い師がいた。
彼は、自分の未来が知りたいと望む者があれば、たちどころにそれを解き明かし、例えそれが悪い未来であっても傲然と本人に伝え続けた。
そのような日々が繰り返される内に、彼は自分が他人の運命を司っているかのように勘違いをするようになっていったのだが…

魔法使いつながり

正直言いまして、今回この作品を取り上げたのは2013年放送の「世界の終わりの魔法使い」の紹介をする前にタイトルで引っかけてみただけです。
このような作品が好きな方には申し訳ないのですが、作品形態も作品内容もあまり趣味には合わないので適切な紹介が出来たか自信がありません。
ただ、つまらない、出来が悪いとは思いませんので、気軽にBGM的に聞くには良い作品だと思います。

出演者はふたりだけ

出演者は番組名のとおり二人だけであり、女性の登場人物全員を女優・歌手の早瀬優香子さんが、男性の登場人物全員を俳優の篠塚勝さんが演じていらっしゃいます。
この「出演者が二人だけ」というスタイルは、前番組である「ふたりの部屋」から踏襲されているものです。
ただし、「ふたりの部屋」には多数の出演者が登場するラジオドラマらしい構成の作品もありましたが、「カフェテラスのふたり」は1話あたり10分という制約があったからか(「ふたりの部屋」も当初10分番組でしたが、その後15分番組の昇格)、そのような作品は少なかったように記憶してます。
そもそもあまり聴いていなかったので適当ではありますが。

島田満さん脚本

さて、本作品は、昔の作品らしくスタッフの詳細が分からないのですが、「作」(脚本)を担当しているのは女性脚本家である島田満さんです。
1980年代から「Dr.スランプアラレちゃん」、「ドラゴンボール」、「めぞん一刻」などのTVアニメの脚本を多く手がけられた方のようです。
小説として執筆した「ぼくらのペレランディア」は、もうひとつのラジオドラマ番組であったアドベンチャーロードの方でラジオドラマ化されています。

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