- 作品 : 新・夢十夜
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : C+
- 分類 : 多ジャンル(競作)
- 初出 : 1996年2月19日~3月1日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 作 : (以下のとおり)
- 演出 : 佐藤譲、角岡正美
- 主演 : 片岡礼子、佃典彦
名古屋局のオムニバス
青春アドベンチャーは1992年から続く長寿のラジオドラマ番組で、主に小説等の原作のある作品を1作品=15分×10回を基本として放送しています。
ただし、時には全く違う形態で放送することもあり、10人の脚本家による1話完結のオリジナル脚本ドラマを、10作ひとかたまりで放送するシリーズは数多く制作されています。
青春アドベンチャーにおけるこの形態の作品の第1号だったのが、今回ご紹介する「新・夢十夜」です。
青春アドベンチャーの3シリーズ
制作したのはNHK名古屋局で、名古屋局はその後も継続してこのような短編集作品(十人作家シリーズ又は名古屋脚本家競作シリーズ)を制作していくことになりますし、後にNHK本局主導の「不思議屋シリーズ」や、大阪局主導の「ライフシリーズ」にもつながっていくことになります。
何が「新」なの?
さて、本作品「新・夢十夜」で放送された10本のドラマの詳細は以下のとおりです。
2013年に放送された「新・動物園物語」と同様に、何が「新」なのか今ひとつわかりませんが、NHK-FMでラジオドラマ化されている「青春デンデケデケデケ」で有名な芦原すなおさんの同名小説とは全く関係ないようです。
夢十夜、いろいろ
ちなみに青春アドベンチャー系のラジオドラマ番組では、本作品の他にも、サウンド夢工房時代に「電脳獏・夢十夜」(1990年)、ふたりの部屋時代に「サムとデコの夢十夜」(1982年)と「祭・夢十夜」(1984年)、カフェテラスのふたりでは「愛十夜・中島みゆきのように」(1987年)という、似たようなタイトルの作品が制作されています。
これらはすべて夏目漱石の「夢十夜」を意識しているのかも知れません。
各話概要
◆第1話 「ロフトで」 (二木美希子)
格付 : B-
高校時代憧れていた佐野さんが、僕の部屋に突然転がり込んできた。「私をずっと眠らせてくれる?」
「恋愛もの」というほど情熱的な作品ではない。視聴後感は悪くないがよくわからない。
◆第2話 「見られている男」 (富永智紀)
格付 : C+
なぜか周りの人間が同時に私のことを夢に見た。村の言い伝えによれば、それは…
特別に怖いわけではなく、ホラーといってよいかはわからない。
◆第3話 「砂時計」 (伊佐治弥生)
格付 : C+
運び屋の男と運ばれる少女。何日歩いているのだろう、終わりのない砂漠を。
片岡玲子さんと佃典彦さんの二人芝居。世界が止まってしまう?さっぱりわからない。
◆第4話 「青い犬」 (一尾直樹)
格付 : C
何か夢を見た。たいしたことじゃないんだけど思い出せない。真っ青な犬。
映画監督一尾直樹さんの脚本。全編韻文調で、言ってみればほぼ「詩」。よくわからない。
◆第5話 「二十五夜」 (高橋里実)
格付 : B-
突然家に帰ったら彼女の秘密を知ってしまった。彼女は実は髭が伸びるというのだ。
髭を伸ばして剃る話。それだけといえばそれだけ。何が言いたいのかよくわからない。
◆第6話 「夢の地図」 (近藤峰子)
格付 : C
夢の地図を持ちさまよう男と、色々な人の夢の中を歩く女。これは誰の夢?
第3話・第4話と並ぶ全編不思議な寓話のような話。さっぱりわからない。
◆第7話 「霞は晴れて」 (物部俊之)
格付 : B-
夢の世界で生きることを決め眠り続ける霞(かすみ)。もう一人の霞が説得に向かう。
夢の世界からの脱出行。もう一人の霞の位置づけがわかったようなわからないような。
◆第8話 「ハロー!ベイビー」 (山根由美子)
格付 : C
妊娠したとたんお腹の子と話せるようになった、夢の中で。
胎児に会話させる必要性が不明。もうちょっと工夫があっても良いのではないか。
◆第9話 「帰り道」 (田島秀樹)
格付 : B-
今日こそ早く帰って娘とクリスマスをする。そのためには山道を近道するしかない…
ほんのりホラー風味。テーマはあまりよくわからないがホラーにテーマなんてないか。
◆第10話 「駄菓子屋さん」 (大道珠貴)
格付 : C
新婚2カ月で突然失踪した妻から手紙が来た。妻は自分の意志で消えたというのだが。
妻の言動がわけわからない、というか胸糞悪い。でも印象的な内容ではある。
テーマは?
「新・夢十夜」というタイトルからわかるとおり、各作品に共通するテーマは「夢」…のはずですが、第5話「二十五夜」などあまり夢に関係ない話も。
いずれにせよ、淡々としていてテーマがわかりづらいか、幻想的だったり難解だったりしてそもそもストーリー自体が良くわからない作品が多数。
これは「10人作家シリーズ」に共通の作品傾向なのですが、こうしてみるとこのシリーズの傾向は最初の作品である本作品「新・夢十夜」の時点から始まっていたことがわかります。
脚本家が出演
出演は女優の片岡礼子さんと、劇作家・演出家・俳優の佃典彦さん。
佃さんは「新・動物園物語」で1話脚本を書かれているほか、アドベンチャーロード時代にはライトな雰囲気の長編「ロスト・タイム」のオリジナル脚本を書かれています。
その他の出演者として、やはり脚本家の北村想さん(「怪人二十面相・伝」)もコールされており、脚本家の出演が多い作品です。
【10人作家シリーズ(名古屋脚本家競作シリーズ)作品一覧】
その難解さとアンニョイさで青春アドベンチャーでも異彩を放つ、名古屋局制作のオムニバス作品シリーズの一覧は、こちらです。
本作品以外の作品の記事もご覧ください。
コメント
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○田○んさん(非公開希望のようですので伏字にしました)から間違いのご指摘をいただきました。
ありがとうございました。
ご指摘は修正しています。