謀殺の弾丸特急 原作:山田正紀(アドベンチャーロード)
1987年2月、東南アジアの小国アンダカムの首都プノンダンを1本の列車が旅立つ。列車をひくのは“貴婦人”と呼ばれる汽車C57。二等客車がなく一等客車と5両の貨車だけの異様な編成のその列車は、プノンダンからタイへと向かう日本人の観光客向けの特別列車だった。この列車に乗り込むのは、ツアーコンダクター吉岡晶子のほか、6人のツアー客。恋人であるアンダカム陸軍のティヴ大佐との別れを予感していた晶子にとっては、今回は特別の気持ちで迎えた出国だった。しかし、列車が乗せていたものはこのツアー一行の7人だけではなかった。及川という名の現地ホテルに勤めていた日本人、そしてアンダカムの政権を揺るがす、ある重要物件が撮影されたフィルム...国家機密を巡る陰謀に巻き込まれた素人の日本人8人。国軍やゲリラを相手にした決死の逃避行が始まる。