格付:B

格付:B

カナコと加奈子のやり直し 原作:額賀澪(青春アドベンチャー)

高校三年の1月、教師を目指していた俺は教室のベランダで目の前を真っ逆さまに女子生徒が落ちていくのを見た。あれから10年、俺は母校で教鞭をとっている。だが、あの頃の情熱はいつしかなくなっていた。「教師に言って欲しいこと、して欲しいこと」を上手に演じているだけ。虚無。それが今の俺だ。しかし、ある日、俺はあの時死んだ女子生徒 -石井加奈子- の伝説を知る。石井加奈子は幽霊となって夜、校舎を徘徊しているというのだ。そしてその出会いは突然訪れた。「ぱんぱかぱーん!おめでとうございます。菅野先生はめでたくイシイカナコの『人生やり直し事業』の対象者に選ばれましたぁ!」
格付:B

鷗外 青春診療録控 千住に吹く風 原作:山崎光夫(青春アドベンチャー)

小説・詩・戯曲など自ら文学史に残る多くの著作を残した一方、積極的に啓蒙活動を行い多くの後進を見出した日本近代文学の祖のひとり。あるいは陸軍の軍医として主要なポストを歴任し、最後には軍医総監(中将相当)にまで昇りつめた謹厳な軍官僚。しかし、その男、森鷗外にも青春時代はあった。小説「舞姫」へと昇華されたドイツ留学中の出来事?いやいや鷗外は留学前に“若先生”として父の医院を手伝っていた時代があるのだ。この物語は、まだ何者でもなかった若き“森林太郎”の町医者としての日々の記録である。
格付:B

ワンさんは働き者 作:三井隆(FMシアター)

名古屋でラーメン屋を営む初老の夫婦の元に、日本語の怪しいアルバイト希望の若者が転がり込んできた。少しでも赤字を減らしたい妻の提案で受け入れることを決めた店主だが、彼のやることはどこかおかしい。夜中に“太陽系音頭”を大声で歌うわ、大量の放射性廃棄物を一般ゴミに出すわ。耐えきれなくなった店主は、どこから来たのか彼に問いただすが帰ってきたのは奇妙な音ばかり。その若者“ワンさん”曰く「私の故郷の名前、地球上で発音すると超音波になってしまう」。そう彼は宇宙人だったのだ。
格付:B

今年の梅は 作:伊佐治弥生(FMシアター)

世の中には“便利屋”という仕事に不信感を持つ人間もいる。確かに家庭内の仕事を手伝うという性格上、その家庭のナイーブな側面に触れざるを得ない面はある。ましてお客が老人の場合、なぜ他人である便利屋に頼むのか、老人の弱みに付け込んで金をとっているのではないかと、依頼人の家族に思われることもある。しかし、それにしても突然現れた倫子さんの大学生だという孫の言い方は失礼過ぎる。これまで倫子さんとは適当な距離を保ち楽しくやってきたのだ。それに私にだって事情はある。女ひとりで便利屋を切り盛りすることはそんなに楽なことではないのだ。
格付:B

これは、私の落とし噺 作:本田誠人(FMシアター)

「母さん落語する。やってもいい?」母が突然、落語家になりたいと言い出した。若かりしあのころの夢にもう一度挑戦したいというのはわかる。若いころオードリー・ヘップバーンに憧れていたのもわかる。でも、なぜ落語?恥ずかしい、絶対やめて欲しい…って言いたかったけど。いつからだろう、相手の顔色を窺って感情を表に出さなくなったのは。目立つな、騒ぐな、叩かれるな。それが私の絶対条件、3箇条。
格付:B

ぼくらの七日間戦争 原作:宗田理(アドベンチャーロード)

7月20日、中学1年1学期の修了式の日。クラスの男子全員21名が学校から帰ってこなかった。親や教師が集団誘拐かと大騒ぎをする中、「午後7時からFM放送を行う。ダイアルを88MHzにあわせろ。」という不審な電話がかかってくる。大人たちが慌ててラジオのダイアルをあわせると、アントニオ猪木の入場テーマ「炎のファイター」に合わせて放送が始まった。「皆さん、こんばんは。ただいまより解放区放送をお届けします。センコーの説教も親父の小言もお袋の愚痴も今日は休みだぜ。テストも宿題もついでに塾も今日は休みだぜ。それからテレビも漫画もおやつもビタミン剤も今日は休みだぜ。休んで何をするかって?…」
格付:B

世界から猫が消えたなら 原作:川村元気(FMシアター)

突然世界がひっくり返り目の前が真っ暗になった。脳腫瘍。いつ死んでもおかしくないらしい。絶望の中、目を覚ますと目の前に“僕”がいた。正確には顔が僕そっくりで派手なアロハを着たハイテンション男。彼は言う「私、あなたを助けに来たんです~この世界からひとつだけ何かを消す、その代わりあなたは一日の命を得る。簡単でしょ?うまくやれば永遠の命を手に入れられますよ~」そう彼は“悪魔”なのだ。
格付:B

世界から歌が消える前に 作:今井雅子(青春アドベンチャー)

私の名前はペイトン・ジョイス。かつては100万人のフォロワーがいる歌い手だったけど、ライブ配信の度に視聴者数が減っていくプレッシャーに耐え切れず活動を停止。今は、私を追い落としたデゼール・プロジェクのデリバリースタッフとして働いている。私だけじゃない。食事や歌、映画から何から何まで、今はデゼール・プロジェクのプロダクツが世界を席巻している。合い言葉は「もう迷わない、悩まない」「みんなと同じなら間違えない」。でも、歌を口ずさんでいる私を見て、ある子どもが発した言葉に私は衝撃を受けた。「ねえ、それなあに?今のが歌?人間も歌うの?」
格付:B

ロビン・フッドの冒険 原作:ハワード・パイル(青春アドベンチャー)

12世紀後半、ヘンリー2世の時代。ノッチンガムに近いシャーウッドの森にひとりの男がやってきた。彼の名はロビン。森役人といざこざを起こし故郷にいられなくなった彼は、森に住むお尋ね者の集団に仲間入りしようと思ってやってきたのだ。これが後の世で「シャーウッドの森」という言葉だけで想起される黄金時代、「梁山泊」と並び称されるアウトローたちの自由の楽園の始まりだったのだ。
格付:B

黒十字の魔女 ヴィクトリア朝怪奇冒険譚外伝 原案:田中芳樹、脚本:菊地百恵(青春アドベンチャー)

1858年秋、大英帝国の首都ロンドン。クリミア戦争から帰還して2年、数々の怪奇事件に巻き込まれ多事多難な日々を送ってきたエドモンド・ニーダムとその姪のメープル・コンウェイにもようやく落ち着いた日々がやってきた。しかし、またしても死体が集団で移動するという怪しい噂を聞きつけてきてしまう。しかも、移動する死体の首には奇妙な形の痣のようなものがあったという。知り合った医師のグレイはそれは感染症の発疹ではないかという。確かにこの街の環境は相変わらず劣悪で感染症の危険とは常に隣り合わせ。コレラで家族を失っているニーダムとメープルには頷ける話ではある。しかし、やがてふたりはこの痣と同じ形を他でも見かけることになるのだった。
タイトルとURLをコピーしました