家族

格付:B

産後途中下車 作:池谷雅夫(FMシアター)

こんなはずじゃなかった。 確かに産休前にはこういったわ。 「私は子育てが楽しみ。育休中は専業主婦、頑張るからね。ちゃんと良いママになってこの子に愛情を注ぎたいんだ。もちろん安夫の奥さんもしっかりやるわよ。」 でもあなただって言ってくれたじゃない。 「がんばり過ぎないで。洋子は頑張り屋だから仕事も家事もよくやっているけど。全部何でも一人でやろうとするからさ。僕もやるときはやるからさ、言ってよ。」 それなのに、靴下を洗濯かごに入れて欲しいと言うことになんでこんなに気を使わないといけないの。 確かに言ったわよ、「うちのことは私に任せて、お仕事頑張って。」って… だけど。
格付:B

また逢う日のうた 作:東多江子(FMシアター)

天袋の奥の古い柳行李から母・千代の日記が出てきた。 不揃いのワラ半紙を麻ひもで綴じたその日記は、昭和19年10月25日、弟、隆造との別れから始まっていた。 昭和19年、韓国が日本の植民地だった頃。 京城(今のソウル)に住んていた姉は結婚を控えた21歳、学徒出陣した弟は京城帝国大学の学生だった。 別れ際に、弟の吹くハーモニカで敵性音楽の"My Blue Heaven"を歌い再会を誓った姉弟。 ごく普通の日本人姉弟が戦中・戦後にどのような青春時代を過ごしたのか、母の日記を通して息子は知ることになる。
格付:AA

エンディング・カット 作:新井まさみ(FMシアター)

この家には秘密がある。 美容師をしている両親と中学生の私、どこにでもある普通の家族。 でも最近、美容院にお客さんの姿を見かけなくなった。 聞けば父は出張で散髪をしているという。それもご遺体に。 「エンディング・カット」というらしい。 正直、その仕事を気持ち悪く思う気持ちはある。 でも秘密はそれだけではない。 この家には秘密がある。 パパもママも必死で隠しているけども。
格付:B

老婆の休日 作:伴一彦(FMシアター)

明治元年創業の老舗・うなぎ屋「橋本屋」の女三代、祖母・母・娘。 3人そろって「ローマの休日」が大好き。 どのくらい好きって、娘に「大鳥」(オードリー)なんてドキュンな名前をつけようとしてしまうくらいだ。 うなぎ屋の大女将と女将、そして食品会社のOL。 立場は違えど、いずれも毎日忙しい3人が一緒に海外旅行に行くのは初めて。 となると行き先は当然決まっている。ローマだ。 ローマで「ローマの休日」の聖地を巡るのが今回の旅のメインテーマ。 …ということになっているのだけど… 3人の中に何か企んでいる人間がいるようだ。
格付:B

ソラノムスメ 作:江口美喜男(FMシアター)

姉が死んでから半年。 今でも母は4人目の食事の準備をしてしまうことがある。 母はまだ姉の死を受け入れられない。 でも、姉の死に囚われたままなのは僕も同じだ。 亡くなった姉宛に届いた夏フェスのチケット。 姉は誰とフェスに行くつもりだったのだろうか。 そして、ようやく開くことの出来た姉のスマホのスケジューラーに入力された“BF”の文字。 姉はあの事故のあった日、なぜ家ともバイト先とも違う方向に向かったのだろうか。
格付:B

どこかで家族 作:木皿泉(FMシアター)

多分、神様からのバチが当たったのだと思う。 あんなことを思ったからだ、こんなくそ面白くない場所、全部なくなれって。 まさか本当になくなってしまうなんて思っていなかった。 2020年夏。 なくなってしまったのは僕の故郷。そして家族の絆。 あれから9年になる。 久しぶりに会う「家族」にどんな顔をして会えばよいのだろう…
格付:B

春を待つ音 作:葉月けめこ(FMシアター)

母の遺品の中から見つかった1枚の写真。 「糸島にて家族写真」とメモされたその写真には、亡き母と3歳の私、そして見知らぬ男性が写っていた。 父は私が生まれる前に死んだ、母からそう教えられてきた。 そういえば体調を崩した母が唯一行きたがっていたのは福岡県の糸島だった。 そこに何があるというのだろうか。
格付:A

レールバイク 作:福原光則(FMシアター)

郁夫は、千葉県のローカル鉄道小向鉄道の保線員。 同年配の仲間たち3人とともに、レール上を走るエンジン付きのバイク -レールバイク- にって線路を移動、延々と続く枕木の交換作業に従事している。 ある日、郁夫のチームに38歳の新人保線員・山本が配置されてきた。 また、雑誌取材という触れ込みで、杉山という若い女性も顔を出すようになる。 どことなく人付き合いを避ける山本と、保線員を応援しているとはしゃぐ杉本。 日々単調に続いていた郁夫の人生に波風が立ち始める。
格付:C

もう一度、夫婦で 作:中澤香織(FMシアター)

40年前はバスだった… あの頃、宮崎は新婚旅行先として空前のブームの最中だった。 しかし、66歳になった仁史が妻の裕子と降り立った宮崎ブーゲンビリア空港は、すっかりくすんで見えた。 いや、くすんでしまったのは自分たち夫婦なのかもしれない。 今回の旅を企画したのは私だ。 もう一度、夫婦として生きていくことはできるのだろうか。
格付:B

遥かなり、ニュータウン 作:伊佐治弥生(FMシアター)

妻の七回忌に、42歳になる息子がわが家に帰ってきた。 子どもたちと足並みを揃えるように成長していった夢の街。 しかし今、この街に子どもたちの声はなく、戻ってきた息子もしょぼくれたおじさんになっていた… 40年前、昭和40年代にニュータウンの一角に建てられたわが家で、父と息子の共同生活が始まる。
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