また逢う日のうた 作:東多江子(FMシアター)

格付:B
  • 作品 : また逢う日のうた
  • 番組 : FMシアター
  • 格付 : B
  • 分類 : 家族
  • 初出 : 2016年12月3日
  • 回数 : 全1回(50分)
  • 作  : 東多江子
  • 音楽 : 大島ミチル
  • 演出 : 小見山佳典
  • 主演 : 朝倉あき

天袋の奥の古い柳行李から母・千代の日記が出てきた。
不揃いのワラ半紙を麻ひもで綴じたその日記は、昭和19年10月25日、弟、隆造との別れから始まっていた。
昭和19年、韓国が日本の植民地だった頃。
京城(今のソウル)に住んていた姉は結婚を控えた21歳、学徒出陣した弟は京城帝国大学の学生だった。
別れ際に、弟の吹くハーモニカで敵性音楽の”My Blue Heaven”を歌い再会を誓った姉弟。
ごく普通の日本人姉弟が戦中・戦後にどのような青春時代を過ごしたのか、母の日記を通して息子は知ることになる。



本作品「また逢う日のうた」は2016年にNHK-FMのFMシアターで放送されたラジオドラマです。

FMシアターといえば真面目な作品

このブログで主に紹介している青春アドベンチャーが1回15分、10回連続の帯ドラマであるのに対して、FMシアターは毎回ストーリーが完結する50分の番組なのですが、こうした放送形態以上に両番組が異なるのは放送する作品のタイプです。
簡単に言って青春アドベンチャーはエンターテイメント色の強い作品を放送するのに対して、FMシアターは純文色の強い真面目な作品が中心です。
このブログは青春アドベンチャー系列の番組の作品を中心に紹介していますので、その評価(格付け)の基準はやはり「面白さ」になります。
そのため、たまにFMシアター系の番組を紹介する際にも「面白さ」を軸に格付けをして記事を書いています。
正直、「老人介護」とか「いじめ」とか「家族のもめ事」とか「身内の死」とか「若者の鬱屈した気持ち」とかいった深刻なテーマを扱うのは結構なのですが、脚本家の主張を深刻ぶったまま垂れ流すのではなく、少しは聴く人のことを考えてエンターテイメント(単純に楽しいという意味ではなく)に昇華して提供して欲しい。
そうすることは作り手の義務なのではないかという個人的な思いもあってこうしている面もあります。
あるのですが…

格付けは低くならざるを得ない

正直、本作品は楽しいとかいった次元の作品ではない。
というか、ここまで真面目な内容をまっとうに制作されると、当ブログ的にはお手上げです。
こういった庶民の姿を淡々と描くドラマってNHKしか作りようがない。だから、この作品が存在する必要性はわかります。
とはいえ、この作品のためにブログに別の評価軸を導入する気もありません。
エンタメ性で見るとどうしてもこのブログ的な評価は低くならざるを得ない。
これはもうこのブログの限界だと自覚しています。

これはこれであり

という訳で、本作品は普通の日本人の戦中・戦後の青春時代を丹念に描くもの。
特高警察の影やシベリア抑留、引揚者の苦労、労働運動の暗部的な部分もありますが、基本的には政治色もありませんし、「どちらか」を賛美する内容でも、社会批判的な内容でもない。
あくまで庶民の「思い」や「祈り」を丹念に描くだけの作品です。
これがいいか悪いかはともかく、The“NHK”ではあります。
その意味では、似たような戦後ものでありながら、ちゃんとエンタメ作品にしようとしている、現在再放送中の青春アドベンチャー「ニコイナ食堂」とは全く異なります。
このブログ的な評価はともかく、本作品の放送時間は所詮50分程度。
たまにはこういうものを真面目に聞くのもいいものだなあと思ったりもします。

松田洋治さんが朝倉あきさんの弟?!

さて、本作品の主役「ちいちゃん」こと千代を演じるのは女優の朝倉あきさん。
青春アドベンチャーでは「放課後はミステリーとともに」シリーズや、「風の向こうへ駆け抜けろ」シリーズでおなじみですし、FMシアターでも「思い出あずかります」や「紅いハンカチ」、「イジメの行方」など多くの作品に出演されています。
先ほども書きましたが本作品をこの時期に記事にしたのは朝倉あきさんが主演する「ニコイナ食堂」の再放送にあわせたから、というのが一つの理由です。
また、弟の「りゅうちゃん」こと隆造を演じるのは松田洋治さん。
こちらも「645~大化の改新青春期」や「オルガニスト」、「毒見師イレーナ」、「シュナの旅」など、すでに多くの出演作品を紹介済みです。
それにしても驚嘆すべきはこのおふたりの年齢、というか松田さんの年齢。
隆造は千代より「ほんの少しだけ年下の弟」という設定なのですが、本作品放送時、朝倉さんが25歳なのに対し、松田さんは49歳!
松田さんの声の「老けなさ」はもはや怪物レベルと言っても過言ではありません。

永遠の老人

そして本記事は後年の隆造を演じた久米明さんの追悼記事でもあります。
新型コロナウイルス感染症流行中の2020年4月23日に96歳で他界された久米さん。
何か出演作を紹介したいと思っていたのです。
なお、本作品出演時、久米さんは92歳だったのですが、私が物心ついたときにはもう老人役をやっていた気がします。
これはこれで怪物レベルですね(笑)。
本ブログでも「妖精作戦」、「失われた地平線」、「大黒屋光太夫」、「無頼船長トラップ」、「虹を操る少年」など、多くの出演作を紹介済みです。
謹んでご冥福をお祈りいたします。



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