歴史時代(日本)

格付:B

罵詈雑言忠臣蔵 作:池谷雅夫(FMシアター)

時は元禄15年12月15日…の翌日。赤穂浪士が討ち入って本懐を遂げた吉良邸にまたしても討ち入りの鬨の声が鳴り響く。吉良は悪者!吉良は嫌い!世間で巻き起こる轟轟たる赤穂浪士同情論、吉良悪玉論を背景に新たな討ち入りが決行されたのだ。まあつまり便乗討ち入りだ。この時、上野介の孫である吉良義周の首を求める暴徒の前に敢然と立ちふさがったのが上野介の妻、吉良富子。あるいは脅し、あるいは宥め、証明書を発行し、家財を提供し、硬軟両面から暴徒に対する富子だが。
格付:B

さざ波のみち 作:相良敦子(特集オーディオドラマ)

1300年ほど昔の奈良時代。安芸国(あきのくに)佐伯郡(さえきのこおり)の瀬戸内海に面する海辺の里に、街道を行く早馬(はゆま)のための駅家(うまや)が設置されていた。少女トトメは駅家の長の娘である。ある日、街道が崩れた影響で泥だらけになった一団を独断で駅家にかくまうことを決める。その一団は肥後国からやってきた力士とそれを引率する大伴クマゴリなる青年の一団だった。
格付:C

春麻呂の夢 作:相良敦子(特集オーディオドラマ)

天平の時代。今の京都、木津川のほとりでは新しい都の造営が始まっていた。後に恭仁京(くにきょう)と呼ばれることになるその都は、平城京で起こった様々な悪しき事による祟りを恐れて遷都するためのものだが、貧しい庶民にとっては生活を圧迫するものでしかなかった。その造営の普請場に春麻呂という少年がいた。親方にこき使われる毎日に反発の気持ちを強めて春麻呂だが、ある日、鳥の糞と共に堕ちてきた一枚のお札のようなものを入手する。驚くべきことにそのお札はしゃべることができたのだ。
格付:B

青き風吹く 作:相良敦子(特集オーディオドラマ)

奈良時代、能登半島は羽咋の浜。当時、能登は大陸の国家・渤海との交易の窓口であった。ある日、素潜り漁で生計を立てる少年ヒコナの前で、異国の船が難破する。ようやく助け出した異国の老人キュロスはひとつの瑠璃の壺を大事に抱えていた。彼は大陸で出会った日本人の友人にこれを届けるために日本に来たという。それが人生最後の望みだという老人に請われたヒコナはともに都へと旅立つのだが…
格付:B

天保北越雪譜異聞 作:小林克彰(FMシアター)

銀座で煙草道具屋を営む相四郎は山東京山(さんとう・きょうざん)のペンネームを持つ戯作作家でもある。浮世絵師であり大作家でもあった山東京伝(さんとう・きょうでん)の弟だが、流行作家としては兄に比肩すること叶わず、有り体にいって鳴かず飛ばず。なんとか作家として名を残そうと考えた相四郎は、越後塩沢の縮緬問屋、鈴木儀三治がかつて書いて兄のもとに持ち込んだノンフェクション文学『北越雪譜』(ほくえつせっぷ)のことを思い出した。江戸の人たちには思いもよらない豪雪地帯の生活を克明に描いたこの作品であれば必ずヒットするはず。これの編者、あわよく作者として歴史に名を残せないものか。しかし『北越雪譜』の原稿は今や流行作家である曲亭馬琴が預かっている。彼とは因縁浅からぬ中なのだが…
格付:AAA

襲大鳳 羽州ぼろ鳶組 原作:今村翔吾(青春アドベンチャー)

親父は冴えない火消だった。二つ名は「鉄鯢(てつけい)」。「鉄」で「鯢(さんしょううお)」だなんて鈍くさい親父にお似合いだ。それに引き換え、あの人、伊神甚兵衛様はまぶしかった。「大物喰い」「鳳(おおとり)」「日ノ本一の火消」。初めは大げさと思われた「炎聖」の称号でさえもやがて誰もが相応しいと認めるようになった。それなのに最後の最後、救ったのは親父、救われたのは伊神様だった。火付犯に堕ちた伊神様の心を救い、業火の中、最後まで命を救うことを諦めなかった親父。「火消はどんな命でも救う。」「己より優れた火消がいれば任す。」ふたりの死後、頭になった自分の口から出るセリフはいつしか親父と寸分たがわぬものになっていた。しかし、今また起こる怪火。そして死んだはずの伊神様の影。伊神様は生きているのか、そして再び復讐を始めたというのか。だとしたら親父の犠牲は何だったのか。いや、俺は親父を信じる。伊神様を信じる。人の強さを信じる。親父の最期の言葉はこうだったではないか。「人の強さは人の弱さを知ることだ。それを喰らって人は強くなる。行け源吾、決して諦めるな。」
作品紹介の補足

「襲大鳳」補完計画!オーディオドラマでパスされたぼろ鳶組の要素を補足する

2018年「火喰鳥 羽州ぼろ鳶組」から始まった今村翔吾さん原作のシリーズのオーディオドラマ化。2024年、遂に前半の集大成ともいえる第7弾「襲大鳳 羽州ぼろ鳶組」にたどり着きます。ただし「襲大鳳」は原作では第11巻(上)及び12巻(下)。つまりここまで4作品がオーディオドラマ化から漏れていることになります。
格付:B

幕末の絵師 田崎早雲 作:小林克彰(FMシアター)

天保年間、江戸は今戸の裏長屋。乱暴者「あばれ梅渓」と呼ばれた絵師・田崎早雲(たざき・そううん)は今日も妻から絵のダメ出しを受けていた。妻の菊(きく)は絵の善し悪しに妥協を許さない。それは早雲の才能を信じ、彼を大成させたいがためであることを知っているからこそ、北辰一刀流の達人である巨漢も妻には頭が上がらなかった。しかし、ある日、絵の修行に出た早雲は浦賀で黒船を見てしまった。早雲は迷う。今やるべき事は絵を描くことなのか、それとも…時代に荒波にもまれた絵師夫婦の人生を描く。
格付:AA

肥後の石工 原作:今西祐行(アドベンチャーロード)

天保10年(1839年)秋深く。石工頭、岩永三五郎は薩摩藩に依頼された石橋を無事に完成させ、故郷・肥後への帰途にあった。しかし、事件は工事が終わってから始まった。ひたひたと追跡してくる怪しい影。自分は命を狙われているのか。心当たりは…ある。完成させた橋には中央の石をひとつ取り外すだけで簡単に崩壊させることができる特殊な仕掛けを施してある。当然、戦になった場合を想定してのものだ。追っ手を差し向けたのは秘密を守りたい薩摩藩か。死にたくない。しかし道を外れ山を越えて一安心したのもつかの間、追跡してきた侍は大胆にも直接、宿の部屋に三五郎を訪ねてきた。覚悟を決めるしかないのか。
格付:AA

玉麒麟 羽州ぼろ鳶組 原作:今村翔吾(青春アドベンチャー)

「あーあ、また深雪さまにしかられてしまう」頭取の愛妻の能面のような顔を思い浮かべ鳥越新之助は苦笑した。しかしつぶやくや否や、新之助の心中に浮かんだ深雪の顔は笑顔に変わった。「新之助さんがそんなことをするはずがないですよ」そう、組のみなは決して私のことを疑わないだろう。お頭も、先生も、武蔵さんも、寅次郎さんも、彦弥さんも、みな力になってくれるだろう。それでも…今は逃げなければならない。小さな命と真実を守るために。江戸の全てを敵にまわしたとしても。
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