サウンドミュージカル 雪色オルゴール 作:まきりか(特集オーディオドラマ)

格付:A
  • 作品 : サウンドミュージカル 雪色オルゴール
  • 番組 : 特集オーディオドラマ
  • 格付 : A-
  • 分類 : 幻想(日本/ライト)
  • 初出 : 2019年1月2日
  • 回数 : 全1回(60分)
  • 作  : まきりか
  • 音楽 : まきりか
  • 演出 : 藤井靖
  • 主演 : 昆夏美

アスカは自分に自信が持てない高校2年生。
アスカにとって、世界的なジュエリーデザイナーである母ユリもコンプレックスの対象でしかなかった。
しかし、そんなキラキラした母にも一点、影が差すことがある。
自分の出身地、北海道・室蘭の話を一切しないのだ。
それにもまた自分のルーツを否定されたように感じてしまうアスカは、ある日小遣いを叩いて室蘭に母のルーツを探す旅に出る。
そこで待っていたのは鉱物の精霊たちとともに過去をめぐる不思議な旅だった。


最近、渋谷圭一郎さんの漫画「瑠璃の宝石」を読んでいて突然思い出したのです。
私、子供のころ、新聞の折り込みで入っている近所の宝石屋さんのチラシが大好きだったことに。

キラキラしていたからだけではなく

小学校中学年以降は宝石に対する興味を全く失ってしまったので、それが好きだったこと自体をもう長いこと忘れていました。
でも、男の子の定番である恐竜の化石や、歴史を勉強し始めてから気になり始めた縄文式土器などを好きになる下地として、きっとあの宝石屋さんのチラシがあったのではないかと急に思い始めました。
単に綺麗だということではなく、なんとなく不思議だったんですよね、ああいう鉱物のもつ存在感というものが。
本作品「サウンドミュージカル 雪色オルゴール」に出てくる鉄鉱石の精霊、石炭の精霊などを聞いていてふとそう思いました。
まあ私は鉱物の声は聴けませんでしたが。

「うた絵巻」につながる第1作

さて、いきなり個人的な感想から入ってしまいましたが、この記事をアップする2025年1月に「時めがね金沢うた絵巻」を再放送しているのにあわせて、同じ「まきりか」さんのミュージカル風オーディオドラマである本作品を紹介させていただいております。
まきりかさんは青春アドベンチャーにて「時めがね金沢うた絵巻」(2020年)、「輪廻転Payうた絵巻」(2021年)という「うた絵巻シリーズ」ともいうべきミュージカル風ドラマを作られて(脚本+音楽を担当されて)いますが、その原点になったのが2019年の本作品「サウンドミュージカル 雪色オルゴール」です。

中身は昭和!

「うた絵巻シリーズ」は2作とも元気な大学生を主人公とした作品で、タイムスリップや陽気な天使が登場するエンタメ色の強い作品でした。
本作品も「サウンドミュージカル 雪色オルゴール」というタイトルから明るく楽しい歌満載のファンタジーミュージカルに違いない!と思わせるのですが…
これがなんと実質的な中身は、不器用な北海道男のシングルファーザー一代記なのです。
ミュージカル劇なので随所で歌が入り明るい雰囲気ではあるのですが、ストーリーの湿度の高さと言ったらまさに昭和!
なんでこんなことになったのだろう、まるでFMシアターだよ!と思ったら…FMシアターでした(正確には特集オーディオドラマだけど)。

いわれてみればそのとおり

そうかシングルファーザーが血のつながらない娘を育てる、しかも報われない、なんていかにもFMシアター(正確には特集オーディオドラマだけど)でありそうな内容ではあります。番組にあっていたのか。
一見したミュージカル風の演出に私が混乱していただけでした…
なお、なんで北海島なんだろうと思いましたが実はまきりかさんが北海道出身。
ついでにまきりかさんは「時めがね金沢うた絵巻」の舞台でもある金沢大学のご出身でもあります。

父娘ものには弱い

さてなんだかよくわからない紹介になってしまいましたが、という訳でミュージカル劇の皮を被った浪花節という不思議な組み合わせと言わざるを得ない本作品。
ただまあ父娘ものに弱い私としてはやっぱり少し響くものもあるわけです。
思えばミュージカル風であることにより、一見明るくなったのも悪くなかった気もします。
意外とお気に入りです。

なぜなんだろう

さて、主役のアスカを演じたのがミュージカル俳優の昆夏美さん。
2年後に「輪廻転Payうた絵巻」でも再度主演されることになります。
本作品でも圧倒的な歌唱力を披露されています。
ただ、あくまで個人的な感想で昆さんをくさす意図は全くないのですが、昆さんの声が高校生に聞こえないのはなぜなのだろう。
演技自体は若者なのにどうしても高校生には聞こえない。
声質なのか、発声法なのか…そういえば「輪廻転Payうた絵巻」でも大学生ぽくはなかったな。
不思議です。

その他の出演者も

その他もミュージカル「レ・ミゼラブル」でジャン・バルジャンを演じた経験のある福井晶一さん、元宝塚トップスターの香織寿たつきさん、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」のジュリエットで女優デビューしたフランク莉奈さんなど、子役含めて歌える出演者がずらり。
その面では贅沢な作品です。

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