- 作品 : 俵のねずみがマウスでチュー!
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : A-
- 分類 : コント
- 初出 : 2007年12月17日~12月21日
- 回数 : 全5回(各回15分)
- 作 : 藤井青銅
- 演出 : 真銅健嗣
- 主演 : 菊地美香、松尾貴史
この星の文明を監視するために、銀河連邦から派遣される監視員。
彼らは毎年12月末になると様々な動物に変装し地球にやってきて、前任の監視員と交代する。
交代に当たっては、前任の監視員から、その年にあった主な出来事のレクチャー受けるのが習わしだ。
さて、今年はイノシシに変装していた監視員から、来年のネズミに変装する監視員への引継ぎが行われる。
今年、2007年の日本は、宇宙人からはどのように見えていたのであろうか。
藤井青銅さんが1年の出来事を振り返る、恒例のオリジナル作品です。
SF仕立ての作品ですが、本ブログの分類では「コント」としています。
これは、当作品がちょっと皮肉の効いたお笑いで、1年の出来事を振り返るという趣旨の作品だからです。
干支シリーズとは
このシリーズは通称「干支シリーズ」と呼ばれ、長い間、青春アドベンチャー系番組の年末の恒例企画でした。
藤井青銅さんが最初に、このような年末の作品を担当したのは1991年の「考古学的考察による1991年」でした。
1993年には「我が輩は犬である」で、干支に絡めたシリーズになり、以降、2009年の「燃えよ虎の子」までの何と17年間も連続して放送されました。
最長のシリーズ?
そのため、ある意味、青春アドベンチャーで一番の長編作品と言えなくもないのですが、そもそもラジオドラマとは言いがたい作品ですし、出演者も2年で必ず入れ替えですので、「長編作品」の記事では集計対象外としています。
ちなみに、この17年のうちで、本作品の前作にあたる2006年の「イノシシ ボンバイエ!」のみが青春アドベンチャー枠から外れ、1日・1回の単発枠として放送されました。
それ以外は15分×5回のフォーマットで放送されています。
シリーズのフォーマット
各回の基本的な構成も毎年大体同じで、当年と来年の年男・年女がそれぞれの干支(に変装している宇宙人)として主役級で出演します。
これに、それ以外の役者さんを含めて、1回(15分)あたり大体、2~3個程度のネタでコントをします。
そして、その前後を主役のふたりのフリートークがつなぐ形です。
また、基本的に前年に「来年の干支」として出演した方が、次の年の「今年の干支」として再登場するのが定番です。
そのため、2人のうち一人が毎年入れ替わる形になります。
ちなみに、本作品のみ、前年度にイノシシ役をやった別府あゆみさんではなく、菊地美香さんがイノシシ役を演じました(監視員にもスペアがいるという設定)
各回の概要
コントのジャンルもだいたい毎回同じで、1回ごとに政治経済、スポーツ、社会的な出来事、芸能、文化的な出来事をテーマにして放送します。
本作品で取り上げている主な2007年のできごとは以下のとおりです。
政治経済
「安倍総理の政権投げだし」「防衛省の汚職事件」「消えた年金問題」
改めて考えてみると、わが国の憲政史上でも類を見ない、驚異の政権放棄を成し遂げた方が、この記事を書いている2013年現在、再度、政権を担当しているわけです。
確かに、失敗した過去がある人にも再チャンスがある社会であって欲しいと思いますが、日本人の辛抱強さ(あるいは忘れっぽさ)も相当なものだと思います。
件の総理の言動と(主として心の)健康は、慎重に見守っていく必要があると思います。
スポーツ
「ビリーズブートキャンプ」「朝青龍の仮病疑惑」「プロ野球のクライマックスシリーズ導入」
今ではすっかり定着したプロ野球のクライマックスシリーズですが、当時は相当の違和感があったことがわかります。
ちなみに朝青龍は二つのコントでネタにされています。
社会的な出来事
「消費期限の偽装」「東国原知事当選」「ミシュランガイド東京版発売」
そうか、これらの話ももう6年前なのですね。
忘れっぽいのは私も同じだなあ。
風化させてはいけない話もありますね。
そうそう、このコントでは、宮崎(東国原ブーム)と佐賀(がばいばあちゃんブーム)に挟まれて焦っている熊本ですが、2013年では、ゆるキャラ「くまもん」があたって一躍脚光を浴びています。
山あり谷ありですね。
芸能
「植木等さん逝去」「雑学王とお馬鹿女」「美人女優とお笑い芸人のカップル」
このコントで言及されている、藤原紀香さん、安達祐実さん、辺見えみりさんの全てが2013年現在、離婚しています。
芸能人は離婚するのがデフォルトだし、お笑い芸人は私生活自体がネタとはいえ、何とも言えないですね。
文化的な出来事
「地球温暖化対策」「KY」「阿久悠さん逝去」
最後は銀河連邦の監視員らしく、地球環境問題で占めています。
阿久悠さんに育てられた世代、というのは藤井青銅さんご自身の実感なのかも知れません。
藤井さんが「愛と青春のサンバイマン」で宇宙戦艦ヤマトネタをふんだんに使っていたのを思い出しました。
12年前のヒット曲
その他、このシリーズでは番組の終わりに、12年前のヒット曲を少しだけ流すのが恒例で、本作品では以下の曲が流れています。
- 「チェリー」スピッツ
- 「そばかす」JUDY AND MARY
- 「アジアの純真」パフィー
これが12年前(すなわちこの記事を書いている2013年から見ると18年前)というのが驚きです。
自分が歳を取っただけなのかも知れませんが。
出演者について
メインの出演者は、イノシシ役が女優の菊地美香さんで、ネズミ役がタレントの松尾貴史(キッチュ)さんです。
このシリーズの法則どおり、松尾さんは次年の「モー、ギュゥー!っとして」にも継続して出演されています。
【藤井青銅原作・脚本・脚色の他の作品】
青春アドベンチャーの長い歴史において、最も多くの脚本と最も多くの笑いを提供しているのが脚本家・藤井青銅さんです。
こちらに藤井青銅さん関連作の一覧を作成していますので、是非、ご覧ください。
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