- 作品 : i²-アイノジジョウ
- 番組 : FMシアター
- 格付 : A
- 分類 : 少年(中高)
- 初出 : 2021年10月16日
- 回数 : 全1回(50分)
- 作 : さわだみきお
- 演出 : 井上浩樹
- 主演 : 鈴木梨央
中学まではよかった。数学で躓きが始まったのは、あの虚数という得体のしれない数が登場してからだ。
だけどわが家は経済的に国公立しか選択肢がない。だから数学を捨てるという選択肢もない。
仕方なく塾の先生に相談したところ「高校数学 よくわかる虚数 躓き問題の傾向と対策そして攻略四十八手」というマニアックな参考書を推薦されたが、マニアックすぎて図書館や本屋に滅多においていない。
ようやく本屋で見つけたものの1冊しかないためおじさんと奪い合いになってしまった。
数学の参考書を読むなんて変なおじさんだと思ったけど…?…おじさんの胸元と袖口から見えるのは…入れ墨!?
本作品「i²-アイノジジョウ」は「さわだみきお」さん脚本のオーディオドラマで、NHK高松局が制作、NHK-FMのFMシアターで放送されました。
数学ものが流行中?
上記のとおりこのブログでのジャンルは「少年(中高)」としましたが、ストーリーは高校3年の女子高生・春香と図書館の清掃人・西岡が数学を通じて交流し、それぞれの人生の課題に向きあっていくといったもの。
最近、数学漫画というべきジャンルの作品が結構出ていまして、思いついたものだけでも「数字であそぼ。」、「数学ガール」、「数学ゴールデン」、「はじめアルゴリズム」など枚挙にいとまがありません。
数学は(私を含め)特定の人々にとってはコンプレックスを刺激してやまない題材なのですが、それだけにフィクションのネタになりやすいのかもしれません。
数学要素は薄め
NHK-FMでも「きりしたん算用記」(2017年・青春アドベンチャー)、「素数と雨音」(2023年・FMシアター)などの作品がありますが、その中で比較すると本作品は数学要素はやや薄め。
なにせ主人公が文系の少女で、相手役の男性も「勉強には中1でついていけなくなった」人物ですので、マニアックな方向には行きようがありません。
数学というより春香の受験を縦糸に、西岡の家族との関係を横糸に、彼らの決断を描いていく内容です。
もちろんドラマである以上、作中で多少の出来事は起こるのですが、あくまで日常生活の範囲内。
そしてあくまで明るく爽やかに描かれるため聞いていて苦しくなるようなシーンも少なく気持ちよく聞くことができました。
上手いですよね、鈴木梨央さん
気持ちよく聞くことができたもうひとつの理由はやはり主演の鈴木梨央さんの演技です。
鈴木梨央さんは2005年生まれですので本作品放送時16歳。
名子役としてならした方で、青春アドベンチャーのファンの方なら「さよなら、田中さん」(2018年)の主役の小学生・花実ちゃんといえば「ああ、あの!」とその名演技を思い出していただけるのではないでしょうか。
その後、2022年の「滅びの前のシャングリラ」で高校生役を演じていて「いつの間に!」とビビりましたが、この2つの作品の間の時期に制作されたのが本作品です。
なお当ブログ主催の2021年FMシアターリスナーアンケートの出演者編で鈴木梨央さんは第2位の得票でした。
年上を演じる
…と書いて気が付いたのですが、鈴木さん2005年2月生まれなので本作品放送は高校2年生。
ということは高2で高3(大学受験生)の役をやったということになります。
さすがですね。
コメント