他メディアのキャストをそのまま青春アドベンチャーに移植した作品4選

メディアミックス情報

「他メディアのキャストをそのまま移植」とは?

NHK-FM青春アドベンチャーで放送されているオーディオドラマのほぼ半数が小説や漫画などの原作があるものです。
これらの作品がドラマ、アニメ、舞台など、他の媒体でメディアミックスされることも多く、当ブログでも「メディアミックス情報」という記事カテゴリーを作っています。
ただNHKが音頭を取ってしかけることはほとんどない(結果的にメディアミックスになっているだけ)ので、そういった他メディアで放送された作品と青春アドベンチャーで制作された作品の出演者が同じということはほとんどありません。
しかしごく例外的に主要キャストが全く同じ作品があります。
今回はそれを紹介したいと思います。

ご紹介する4作品

といってもその殆どは青春アドベンチャーより先に舞台で上演されているものを青春アドベンチャー化した例です。
この場合でも、通常は違うキャストで制作されますが、例外的に主要キャストをそのまま移植するケースがあります。

マドモアゼル・モーツァルト(1992年)

もともとは1989年から1990年に「モーニング」に連載された福山庸治さんの漫画で、連載終了の翌年である1991年に音楽座によりミュージカル化されました。
さらにその翌年の1992年に青春アドベンチャー(特集コミックアドベンチャー)でオーディオドラマ化。
土居裕子さん、磯部勤さんなど、出演者が音楽座ミュージカルの初演時のキャストによるほか、音楽も小室哲哉さんによるミュージカル用のものを流用しています。

マドモアゼル・モーツァルト 原作:福山庸治(青春アドベンチャー)
高校で音楽教師をしている裕子のもとに、先輩の勤が、200年前のアメリカで音楽教師をしていたエリザベスという女性が書いたというオペラの譜面を持って現れた。オペラのタイトルは「マドモアゼル・モーツァルト」。それは、モーツァルトが女性であったという驚くべき物語だった。少女エリーザはなぜウォルフガング・アマデウス・モーツァルトと名乗ることとなるのか、どのような気持ちで音楽を作り、そしてどのような恋をしたのか。物語はこのオペラで語られている彼女の人生へと移っていく。

オズ(1993年)

樹なつみさんによる漫画を原作とする作品で、唯一のアニメ版と一致するケースです。
ただ一致するのは、主役のムトー役の松本保典さんとその同僚の傭兵ネイト少尉役の山寺宏一だけで、女性陣は青春アドベンチャーらしく宝塚出身の女優さんたちでした。
アニメでは広く活躍する山寺宏一さんですが、青春アドベンチャーでの出演は本作のみ。
キャストの移植という異例の事態と言い、なんらかの事情があったのかもしれません。

オズ 原作:樹なつみ(青春アドベンチャー)
近未来の地球。多くの人命を奪い、地球環境を激変させた世界大戦から30年を経過した後も、なお人類社会は元の姿を取り戻すには至っていなかった。ある日、無頼の傭兵・ムトーは、フィリシア・エプスタインと出会う。フィリシアは天才一家エプスタイン家の末娘で、自身も16歳ながら生体工学の科学者であった。フェリシアは、行方不明となった兄のリオン・エプスタインの行方を追ってスラム街へと赴くという。護衛としてフェリシアと行動を共にするムトー。しかし、スラム街にはリオンはおらず、ふたりは、大戦前に科学を結集してつくられた伝説のシェルター「OZ(オズ)」を探して旅をすることになるのだった。

旅猫リポート(2014年)

原作は有川浩さんの小説ですが、2013年に有川浩さんと阿部丈二さんの演劇ユニット・スカイロケットにて舞台化され、翌年、メインキャストをそのままに青春アドベンチャー化されました。
スカイロケットによる舞台化とはいえ出演者は演劇集団キャラメルボックスのメンバーで固められており、青春アドベンチャー版もそれを踏襲した形です。
ちなみに2018年には映画化もされていますが、これはキャストもスタッフも一新されています。

旅猫リポート 原作:有川浩(青春アドベンチャー)
僕の名前はナナ。6歳のオス猫だ。縁あってサトルのうちの猫になってから、もう随分と経った。サトルはいい飼い主だったし、僕だって結構いい猫だったと思う。サトルと暮らした毎日は楽しい思い出で一杯だ。でもそれもお終い。サトルが猫を飼えなくなってしまったんだ。でも暗くなっても仕方がない。新しい飼い主を探す旅、サトルと過ごす最後の旅を精一杯楽しまないとね。

歌え!懐メロ少女隊(2026年)

2025年に新しく旗揚げされた劇団「劇団♪唄タイム」の第1回公演として企画された「歌え!懐メロ少女隊 アイドルは介護施設をめざす」を2026年に青春アドベンチャー化した作品。
というかこの作品がこの記事を書くきっかけでした。
メインとなる「カイドル」役の3人、西浜詩織さん、宮坂桃奈さん、みたにあかねさんのほか、ほぼ全体が同一キャストのようです。
歌のある作品なので余人をもって代えがたいのかも知れませんね。

その他の類似の企画

1993年に放送された「サンタクロースが歌ってくれた」は演劇集団キャラメルボックスの成井豊さん原作で、舞台版が先行しています。
平井太郎(=江戸川乱歩)役の上川隆也さんが共通のキャストですが、基本的にはキャストは一新されている、というかキャラメルボックスの方に加え、劇団夢の遊眠社の渡辺いっけいさんや田山涼生さん、浅野和之さんなどを加えたむしろ豪華版のキャストでした。

サンタクロースが歌ってくれた 原作:成井豊(青春アドベンチャー)
大正5年9月。浅草十二階で出会った芥川龍之介と平井太郎(後の江戸川乱歩)。ふたりはコンビを組んで素人探偵となり、謎の大盗賊・黒とかげと対決することになる。スリルとサスペンス、愛と友情に満ちた物語の始まりだ!…これは、僕、高校教師で演劇部顧問の成井が、演劇部の高校生のために考えた新しい演劇のシナリオだ。自分としてはそれなりの傑作になる予感はある。でも、筆は一向に進まない。もう、年末のクリスマスイブだというのに完成したのはたったの4ページ。それでも気を取り直してワープロに向かっていると、突然、ワープロが不思議な動作を始めた。そして、どこからともなく聞こえてくる登場人物達の声。そんな馬鹿なと思っていたのもつかの間、突如、大音響とともに何かが爆発し、僕のシナリオの登場人物達が、目の前に現れた!

またFMシアターでオリジナル作品として放送された新井ますみさん脚本の「エンディング・カット」はその後、メインキャストの3人(芦田愛菜さん、佐藤健さん、広末涼子さん)をそのままにTVドラマになっています。
FMシアターなので番外ですがご紹介させていただきました。

エンディング・カット 作:新井まさみ(FMシアター)
この家には秘密がある。美容師をしている両親と中学生の私、どこにでもある普通の家族。でも最近、美容院にお客さんの姿を見かけなくなった。聞けば父は出張で散髪をしているという。それもご遺体に。「エンディング・カット」というらしい。正直、その仕事を気持ち悪く思う気持ちはある。でも秘密はそれだけではない。この家には秘密がある。パパもママも必死で隠しているけども。

他にもありましたらご教示ください

舞台がスタートの作品には他にも似たような例があるのではないかと思います。
ご存じの方がいらっしゃいましたらご教示ください。
宜しくお願い致します。

コメント

  1. 匿名希望 より:

    劇団の舞台作品をそのまま青春アドベンチャーにするのは初めてではないのですね。
    初めてだと思い、思い切ったことをすると思いました。
    来週の久しぶりの新作が楽しみです。

    しかし、その次回の新作「華氏451度」が1ヶ月後で5話であることを考えると、苦肉の策のように感じます。
    推測ですが、従来のように10話だとおそらく収録に2日は取られ、出演者の
    確保がしづらくなっていると思うのです。
     劇団の舞台作品を出演者ごと出演していただくと、そのような手間暇がかからず、
    効率的だと思います。
     今後はこのように10話モノはいわば劇団丸投げの作品や松浦さんの演出した「SとF」や
    FMシアターの「空想博覧会」のように劇団員の他流試合のような作品が増える気がします。

     どうなるにしろ、面白ければいいのですが。

    • Hirokazu Hirokazu より:

      匿名希望さま

      コメントありがとうございます。
      制作体制が縮小傾向なのは確かだと思います。
      そもそもこの2026年にオーディオドラマの制作体制がNHKに残っているのが奇跡であり、だからこそ今しなければいかないこともあると思っています(この辺の雑感についてはこちらの記事にて)。
      ただ同じ役者を使いまわすのは大昔からの傾向(作品発表ぺーずが早いのでやむを得ない)ですし、夏に休止期間があるのもいつものことなので、あしもとの状況が何によるものかは私には判断がつきません。

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