- 作品 : くびっ!
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : C+
- 分類 : 幻想(日本/ライト)
- 初出 : 2026年6月8日~6月12日
- 回数 : 全5回(各回15分)
- 作 : 黒瀬ゆか
- 音楽 : 森悠也
- 演出 : 木村明広
- 主演 : 朝倉あき
会社ではみなヒロコに気を使ってくれている。
半年前に病気で夫をなくした後、まとまった休みを取ることもなく健気に働き続けているから。
しかしやはりヒロコの心の中にはぽっかりと大きな穴が開いていた。
それを忘れるため、夫の思い出の地を巡る温泉旅行に週末ごとに行っていたのだが…
今週は急な台風で行けなくなってしまった。
どうしよう…考えた末に思い出したのは生前、夫と行った大手町にある平将門の首塚。
あそこから今からでも行くことができる。

本作品「くびっ!」はNHK-FMの青春アドベンチャーで放送されたオーディオドラマです。
原作のない番組のためのオリジナル脚本の作品は、近年の青春アドベンチャーではおおよそ全作品の半数を占め、本作品は2026年において「ブラックローズ」、「雪のスケッチブック」、「森のスケッチブック」の続く4作品目のオリジナル作品の新作です(スケッチブックシリーズはオムニバスなので長編としては2作品目)。
長編2作品目
ちなみに黒瀬ゆかさんのオリジナル脚本長編としては2024年の「リニューアル」に次いで2作品目。
前作のストーリーは正直、私自身はピンとこなかったのですがSF調のスケールの大きな作品。
初めての長編にSF風の作品を選んだ冒険心は買っていたのですが。
(ここから少し批判めいた内容になります。本作品のファンの方にはご容赦ください)
全5話はハンデだと思います
本作品は、心に傷を負った若い女性が不思議な体験を経て心の再生を果たすというストーリーだての作品です。
前作とは打って変わってスケール感は小さく、登場人物たちが激するような展開はなし。というか全体にコミカルかつライトに作られています。
これについては全5回という短さを考えるとやむを得ないとは思います。
しかし、あまりに予定調和な展開&結末ではありますまいか(イカン、渡辺いっけいさん演じる平将門の口調が映ってしまった)。
いや脚本家さんはそもそも本作品でそういった劇的な展開を狙ってはいないとは思うのですが…
うーん。なぜなんだろう。
でも…なぜ平将門?、なぜ「くび」っ?
確かに青春アドベンチャーはエンタメドラマの枠なので、ちょっと目を引く要素も必要だと思います。
それにしても…ちょっと戸惑っているうちに全5回が終わってしまったのが正直な印象でした。
考証なんて重要ではないけど
そもそも「メゾン・ド・関ケ原」(大谷吉継+小早川秀)とか「謙信サマは今日も気まぐれ」(上杉謙信)とか、歴史上の人物をライトに使いすぎるオリジナル作品はどうしてもどこか引っかかるところがあります(まあ「645~大化の改新・青春記」みたいに評価の高い作品もあるのですが)。
並木陽さんや中村小夜さんや吉田小夏さんの作品にように歴史上の人物や出来事への愛が溢れている(溢れすぎている)のあれば(作品自体の面白さはともかく)、それだけでもリスペクトできます。
本作品については、私の作品への入り方がいけなかったのだと思いますが、なぜ将門でないといけなかったのか?、なぜ「くび」でないといけなかったのか?、なぜ顔はめパネル?、なぜ急に仲居さんの身の上話に?、などお恥ずかしながら私の乏しい理解力ではよくわからないうちに終わってしまいました。
第4回でタイトルコールの前に長い時間をかけたり、モノローグが切り替わったり、凝った脚本だとは思うのですが。
あくまで個人の感想です。スミマセン。
ほんわか三人衆
でも作品全体の印象は全く悪くないのです。
スケールが大きい代償で駆け足になってしまうよりずっと良いと思います。
その要因として、主要な3つの役を演じる朝倉あきさん、渡辺いっけいさん、橋本淳さんの柔らかい雰囲気が役によくあっていることが挙げられると思います。
過去作も聞いて欲しい
今回本作の放送にあわせてこの3人が出演しているFMシアター(一部特集オーディオドラマ)の既存の作品、「水を運ぶ」、「ピンザの島」、「イジメの彼方」を紹介したのですが、どれも良作です。
「水を運ぶ」で30回に及ぶ「はい」というセリフだけで感情の移り変わりを表現した橋本さんの演技も、声を出すだけで誠実な人柄が浮かんでしまう「ピンザの島」での渡辺いっけいさんも、どこかコミカルながらしっかりした性格がにじみ出る「イジメの彼方」の朝倉さんの演技もさすがだと思います。
3人の演技は期待どおり
なお、どうでもよいことですがヒロコの夫ケンタ誠実な人柄が(演者は違うけど)「記憶を食む」の「ともさん」とダブってしまって、本作品が同じ朝倉あきさんが主演する「記憶を食む」の続きなのかと、一瞬錯覚してしまったのは内緒です。
本作品もこの朝倉さん、渡辺さん、橋本さんの共演というだけでも聞く価値はあると思います。
サブタイトル
なお、本作品の各回のサブタイトルは以下のとおりです。
- 大手町の奇跡
- 時をかける白い光
- 仲居さんはわかってくれない
- お風呂屋さんに進路をとれ
- バック・トゥ・ザ・平安時代
【朝倉あきさんの出演作品一覧】
みんな大好き、朝倉あきさんの出演作品に関する記事の一覧はこちらです。



コメント
くびっ!は私は思いきった作品にしたなと思いました。
黒瀬ゆかさんの前作リニューアルがリスナーを選ぶマニアックな作品だったので心配しましたが、今回は朝倉あきさんや渡辺いっけいさんを聞きたい方には大満足だった気がします。
この作品は朝倉あきさん、渡辺いっけさん(あるいは橋本淳さんも?)出演するのを前提として出演者を最大限生かす作品を作った気がし、私は、黒瀬ゆかさんが相当無理していないか心配したくらいです。
そう思ったから、これは朝倉あきさん、渡辺いっけさん、橋本淳さんを聞く作品だと思いました。細かいことは気にせず、3人を中心に聞けば、かなり面白いです。おそらくそういう作品を目指したと思います。3人は期待通りの演技でした。また、第5話のオープニングの青春アドベンチャーの声は朝倉あきさん、渡辺いっけさんで、演出もリスナーをかなり意識していると感じました。
ちなみに、朝倉あきさんが珍しくSNSで取り上げていたので楽しく演じられたのだろうと感じました。
追記
朝倉あきさんと渡辺いっけいさんの共演で放送前から期待が高まり、期待通りの演技にもかかわらず、管理さんのC評価はさすがです。
純粋にドラマとしての評価はそんなものかもしれません。
朝倉あきさんと渡辺いっけいさんを知らない方がどんな風に感じたか聞いてみたいと思います。
今回の共演は5話ものだからこそ実現したと思います。
それにしても、今回のドラマは二人の共演が先にあって、ドラマは後で付けた気すらしましたが、青春アドベンチャーでかってそのような作品はない気がします。
いずれにしろ、私はその意味で楽しめました。
匿名希望さま
このブログの一番最初の紹介記事が「北壁の死闘」である時点で渡辺いっけいさんへの愛着は隠しようもありません。最近では「温風男」も最高でした。
橋本淳さんの演技も「水を運ぶ」で評価したばかりですし、朝倉あきさんはいわずもがな。
脚本の出来をひっくり返すほどの演技も時にはあるとは思いますが、正直、オーディオドラマは演技より演出より、やっぱり脚本次第だと思った次第です。
追伸です。
青春アドベンチャーでも最近は並木陽さんの作品などを中心に、いわゆる「あて書き」もたくさんあるようです。
まあ舞台好きの藤井靖CP(当時)あってのことだったのかも知れませんが。
返信、ありがとうございます。
並木陽さんがあて書をなさることはこのサイトで知りました。
たくさんあるとは知りませんでしたが、脚本家からしたらどうなのかと考えたりします。
次の次の作品は「華氏451度」は今後の青春アドベンチャーを考える意味で
興味深いです。
5モノである点、高島礼子さんを含めオーディオドラマ未経験な出演者はいない点など
です。
今までの、脚本家に脚本を依頼し、出演者に出演を依頼することが困難になっているのではないかと思いました。
従来のように10話モノだと、おそらく収録に2日はかかり、2日も拘束されることに
出演者が出演したがらないのだと思います。
今までなら、井上早百合さんの役は未経験の方を当てていると思うのに、そうしていない点が制作者の苦労を感じます。
今後は5話モノが増えるように感じます。
「華氏451度」は調べたら長編小説が原作だそうです。
それをオーディオドラマ用にどうまとめるのか、脚本に注目だと思います。
匿名希望さま
制作側の事情について私は全く知識がないので、断定的なコメントはできないのですが、同じ出演者を使いまわすことはそれこそ30年以上前からよくあるので一過性のものではない気がします。
そもそも2週間しか放送されないごとにオーディションの手間もかけていられないでしょうし。
「華氏451度」は時々、古典をやりたがる青春アドベンチャーらし選択ではあると思います。
うまく現代にあった脚色ができるかがキモだと思います。
返信、ありがとうございます。
正直、脚本には問題が多く(そもそもクビだけとはいえ霊に重さがあるのか?など)、
考えると分からない点がありましたが、青春アドベンチャーファンが好きな朝倉あきさん、渡辺いっけいさんを味わうことのみに聞き方を変えたら、わりとすんなり聞けました。
脚本も含めて味わおうとしたら確かに厳しいと思います。
次回の新作は、「歌え!懐メロ少女隊」。
これはちょっと調べたら、既に某劇団が上演している作品を主要出演者の出演を含め、
オーディオドラマ化した作品らしいです。
オリジナル脚本らしいですが、リスナーにはあたりはずれがかなりあることと思います。
面白いと思いますが、おそらく制作費の削減、出演者の出演料の高騰などで、今までの
ような作品が作りづらくなっているのではないかと思った次第です。
意欲的な取り組みとは思います。
I
匿名希望さま
コメントありがとうございます。
「歌え!懐メロ少女隊」の舞台の件、知りませんでした。
舞台作品を出演者をそのまま青春アドベンチャー化した作品といえば「マドモアゼル・モーツァルト」や「旅猫リポート」があり、両方良作でしたので、今回も期待できそうですね。
返信、ありがとうございます。
久しぶりの新作なので、面白かろうがそうでなかろうが期待します。
どんな作品であり、新作はいつも楽しみにしています。
私は2年前から毎日青春アドベンチャーを聞いていますので、過去に舞台作品をそのまま青春アドベンチャーにした作品があったとは知りませんでした。
参考になりました。今回の内容もよければいいですね。
ありがとうございました。