- 作品 : もう一度、夫婦で
- 番組 : FMシアター
- 格付 : C
- 分類 : 家族
- 初出 : 2015年2月14日
- 回数 : 全1回(50分)
- 作 : 中澤香織
- 演出 : 北野拓
- 主演 : あがた森魚
40年前はバスだった…
あの頃、宮崎は新婚旅行先として空前のブームの最中だった。
しかし、66歳になった仁史が妻の裕子と降り立った宮崎ブーゲンビリア空港は、すっかりくすんで見えた。
いや、くすんでしまったのは自分たち夫婦なのかもしれない。
今回の旅を企画したのは私だ。
もう一度、夫婦として生きていくことはできるのだろうか。
本ラジオドラマ「もう一度、夫婦で」は2015年にFMシアターで放送された作品です。
脚本を書かれたのは、当ブログ主催の「2016年FMシアター・特集オーディオドラマ人気投票」で見事に第1位となった「ミラーボール」を書かれた中澤香織さん。
ちなみに、「ミラーボール」は若者の話でしたが、本作品はFMシアターお得意の老人もの?です。
NHK宮崎局制作
さて、本作品を制作したのは、作品の舞台からもわかるとおりNHKの宮崎局であり、本作品はいわばご当地ものです。
出演者は、あがた森魚さん、市毛良枝さん、城戸愛莉さん、崎本大海さんの4人のみ。
このうち、城戸愛莉さんが宮崎県出身であるほか、あがた森魚さんの母親が宮崎県高鍋町出身、崎本大海さんは宮崎県が舞台となったNHKの連続テレビ小説「わかば」にご出演歴があるなど、キャスト面でも宮崎色が強い作品です。
ただし、市毛さん(「謀殺の弾丸特急」の頃は若かった)だけは宮崎とは縁がないようですが。
FMシアターにありがちな話?
なお、この4人は二組の夫婦を演じており、あがた森魚さん(68歳)と市毛良枝さん(66歳)が40年ぶりに宮崎に旅行に来た老夫婦(仁史・裕子)を、城戸愛莉さん(23歳)と崎本大海さん(31歳)が宮崎在住の若夫婦(夏海・源)を演じています。
物語は、仁史が老後の夫婦のあり方を模索するために企画した旅の途中で、離婚の危機にある若夫婦に出会い、自分たちの今後についても見つめ直す、という、まあ、ありがちな話ではあります。
女性陣の言動が不条理
ただ、この作品を聞いた後に残る微妙な不快感は何なのでしょう。
私が男性だからかも知れませんが、まず、若夫婦のうち、妻の夏海の言動に何となく苛ついてしまう。
一見、低姿勢でイノセントなのですが、言っていることはチグハグ。
「変わりたい」と言っている夫に対して「あなたには変わって欲しくない」といいつつ、「自分も変われない」といって、結局は自分の主張を丸呑みすることしか相手に許さない傲慢さ。
自己憐憫と自己陶酔。
源さん、分かれた方が正解ではないか?
何より作中で、夏海には別の男がいると仄めかされているのに、そのことはうやむやにしたまま終わってしまう展開も納得できません。
また、チグハグといえば「あなたの言葉であなたの話をして」といいつつ、仁史の言葉を聞こうとしない裕子もなんだかチグハグ。
仁史の奮闘も報われません。
男性陣の行動も意味不明
そして、この仁史が最後に主催する「離婚式」の風景も何だか寒気がします。
こんなことやらないといけないのか。
無理矢理参加させられた源がいい迷惑にしか見えませんでした。
まあ、源もキレるのがちょっと早すぎだとは思いますが。
もしかしてわざと?
という訳で登場人物4人が全員、気色が悪いこの作品。
もしかしてわざとやっているのか。
改めて考えると、この作品の脚本を書いた中澤香織さんは、2016年の青春アドベンチャー「あなたに似た自画像」の中の1編「あの人のカナリア」で、素晴らしく気持ちの悪い(褒めいています!)作品を書かれた方。
登場人物たちに、敢えてリスナーの胸がざわざわするような言動をさせているのかも知れないとも感じました。
■中澤香織さん関連作■
日常的な舞台でもチクチクするセリフが魅力的。
中澤香織さんの脚本、脚色作品の一覧はこちらです。
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