2016年のFMシアター・特集オーディオドラマ人気投票アンケート結果

アンケート(年次)

【2016年に放送されたFMシアター・特集オーディオドラマの人気投票アンケート結果】

今年も外部サイトを利用して、2016年に放送されたNHK-FMの単発ドラマ(FMシアター・特集オーディオドラマ)の人気投票を実施しました。
青春アドベンチャーの人気投票(結果はこちら)と同様に、こちらも2015年に引き続き2回目の企画になります。

投票総数16票

このブログが主にNHK-FMの帯ドラマ(青春アドベンチャーなど)を紹介するブログであることもあり、この人気投票の投票数も青春アドベンチャーの人気投票の65票と比較すると、大幅に少ない16票にとどまりました。
しかし、昨年の11票に比べると大きく(?)増えています。
ご投票して頂いた皆様には厚く御礼申し上げます。

複数得票した作品

さて、票が増えたことが影響しているのかわかりませんが、昨年は投票していただいた11人がすべて別の作品を1位に挙げていたのに対して、今年は特定の作品が複数の1位の票を獲得しました。
具体的には、「ミラーボール」、「声の訪問者」、「還れ、大山へ」の3作品が1位の票を3票、「遥かなり、ニュータウン」が2票を獲得しており、この4作品が激しいデッドヒートを繰り広げる形となりました。

得票一覧

最終的に、1位=3点、2位=2点、3位=1点で集計し、総合順位を付けると以下のようになります。

総合点 作品名 作者名(※)
ブログ主より一言
1 12点
1位:3票
2位:1票
3位:1票
ミラーボール 中澤香織
主演は「ニコイナ食堂」の谷村美月さんで、本年断トツの得点で第1位。地味な話が多いFMシアターでは数少ない前向きな作品だが、脚本家は実は「あなた似た自画像」の「あのひとのカナリア」で気味の悪い話を書いた中澤香織さんである。音楽は澁江夏奈さん。大阪局制作。
2 10点
1位:3票
3位:1票
声の訪問者 櫻井智也
主演の甲本雅裕さんはTHE BLUE HEARTSの甲本ヒロトさんの実弟。2000年の「聖の青春」、2014年の「すばらしい日々」などにも出演されている。
3 9点
1位:3票
還れ、大山へ(かえれ、だいせんへ) よしおよしたか
平成27年度の中四国ラジオドラマ脚本コンクール入選作品で松山局制作。松山局は同じ2016年、青春アドベンチャーでは「夢巻」を制作している。
4 8点
1位:2票
2位:1票
遥かなり、ニュータウン 伊佐治弥生
奥田瑛二さん主演作。名古屋局制作で愛知県春日井市に実在する高蔵寺ニュータウンが舞台。テーマはFMシアター定番の「家族の問題」。名古屋局制作。
5 6点
1位:1票
2位:1票
3位:1票
ふたりの娘 新井まさみ
脚本は第36回BKラジオドラマ脚本コンクール最優秀賞受賞作。「ふたりの娘」を演じたのは吉岡里帆さんと山田由梨さん。「あなたに似た自画像」出演の国広富之さんも出演。大阪局制作。
5 6点
2位:3票
誰が為にラジオは流る 川尻恵太
札幌出身の平田裕香さんが北海道のラジオ番組のDJ役。平田さんはFMシアターや青春アドベンチャーへの出演歴が意外と多い。音楽は「あらいふとし」さんとミヤジマジュンさん。札幌局制作。
7 5点
2位:1票
3位:3票
あいちゃんは幻 瀬戸山美咲
主演の安藤サクラさんは「遥かなり、ニュータウン」主演の奥田瑛二さんの娘さん。2016年には映画「百年の恋」で第39回日本アカデミー賞主演女優賞を受賞している。また、成海璃子さんも出演。名古屋局制作。
7 5点
1位1票
2位1票
星降る教室 吉田小夏
宮沢賢治生誕120年企画「劇作家競作シリーズ・賢治の声を探して」3作品のうちのひとつ。主演は「レディ・パイレーツ」主演の渋谷はるかさん。
7 5点
1位:1票
2位1票
青き風吹く 相良敦子
奈良時代が舞台の特集オーディオドラマで須賀健太さん主演。江守徹さん、竹下景子さんと言うベテランが脇を固めている。音楽は多方面で活躍する現代音楽家の菅野由弘さん。
10 4点
1位:1票
3位:1票
ともに帰らん 熊野以素(原案)★
原案は豊中市議会議員である熊野さんによるノンフェクション「九州大学生体解剖事件-70年目の真実」。演出も「熊野律時」という同じ苗字の方なのだが縁者なのだろうか。大阪局制作。
11 3点
1位:1票
ホワイトダスト 長田育恵
宮沢賢治生誕120年企画「劇作家競作シリーズ・賢治の声を探して」3作品のうちのひとつ。近未来を舞台にした作品で、主演は「フラワー・ライフ」主演の亀田佳明さん。
11 3点
2位:1票
3位:1票
不思議の城のかの子 小鶴乃哩子
主演は劇団ひまわり所属の子役の須藤風花さん。認知症はFMシアターの定番テーマだが、本作品は過度に暗くはない作品。
13 2点
2位:1票
SMILE! 池谷雅夫
「夫婦」もFMシアターの定番テーマ。演出は「ふたり」が懐かしい吉田浩樹さん。細かいスタッフ等は吉田さんの「スタッフブログ」(外部リンク)が詳しい。
13 2点
2位:1票
おきらく極楽 大河内聡
松江局制作で舞台は島根県・隠岐の島。隠岐の伝統文化「牛突き」を通して少年の成長を描く。主演は放送時20歳の井之脇海さん。映画「トウキョウソナタ」でいくつもの賞を取っている若手俳優。
13 2点
2位:1票
きっと空へいく あべ美佳
航空大学校生が主人公。仙台局制作で「ドキュメント72時間」第2シリーズのチーフプロデューサだった相沢孝義さんが制作統括。仙台局制作。
13 2点
2位:1票
黄昏研修 小池竹見
「黄昏研修」とは大手銀行社員が45歳になると受ける、第二の人生の準備のための研修のことだが、本作品も認知症が重要なファクターになっている。
13 2点
2位:1票
真っ赤な夜の出来事 田中攝
高知局制作で舞台も高知県赤岡町。四国関係では本年の「還れ、大山へ」(松山局)のほか、2015年に徳島局制作の「踊るあほうがみたものは」も制作されている。
13 2点
2位:1票
簿記の先生がうるさい こたつめがね
商業高校に通う女生徒たちの友情もの。主演の宮﨑香蓮さんはオスカープロモーションに所属する女優さん(2006年全日本国民的美少女コンテスト演技部門賞)。原田龍二さんも出演。大阪局制作。
19 1点
3位:1票
ティティヴィルスの見えない蜂 桑原亮子
主役の女子大生を演じるのは女優の秋月成美さん(第7回東宝シンデレラオーディション審査員特別賞)。ティティヴィルスとは言葉をいいかげんに使う人の屑のような言葉を集める中世の悪魔なのだそう。
19 1点
3位:1票
トライ 松本哲也
「宇宙兄弟」などでも取り扱われた筋萎縮性側索硬化症(ALS)を扱った作品。難病中の難病でテーマが重い…宇都宮局制作。
19 1点
3位:1票
ブルームーンの向こう側 丸山智
主演は同じ2016年青春アドベンチャーでは「晴れたらいいね」で主演された演劇集団キャラメルボックスの原田樹里さん。3姉妹メインのストーリーで女性の出演者が多い。
19 1点
3位:1票
また逢う日のうた 東多江子
幻想郵便局」など多くの作品に主演の朝倉あきさんの主演作。脇も松田洋治さん、久米明さん、大橋吾郎さんなど渋い。「明日の記憶」で第31回日本アカデミー賞・最優秀音楽賞の大島ミチルさん(妖精作戦)の音楽。
19 1点
3位:1票
琴子の浜 山本雄史
「おきらく極楽」と同じ松江局制作。こちらも島根県(大田市)が舞台。脚色は「タイムスリップシリーズ」の山本雄史さん。
19 1点
3位:1票
桜を伐る 松本光雄
第31回NHK名古屋創作ラジオドラマ脚本募集最優秀賞受賞作。これも認知症テーマ… 佐野史郎さん・木内みどりさん出演。名古屋局制作。
19 1点
3位:1票
散歩道 松嶋チエ★
高齢社会の生き方をテーマにした小説を募集する「NHK銀の雫文芸賞」最優秀賞受賞作が原作。今回ランクインした中では唯一の原作付作品。村井國夫さん主演。

※「★」は(原作がある作品の)原作者、付いていないのはオリジナル作品の脚本家。

以上のランキングについての回答のほかに、回答者から一言コメントもいただきました。
アンケートサイトのデータはいずれ消えてしまうはずですので、折角なので、すべてのご意見を記録としてここに転載しておきます。

一言一覧

  • 1.(遥かなり、ニュータウン)演出の斬新さが記憶に強く残った。50分とは思えない密度の濃い内容であるなあと思った。 2.(星降る教室)朗読のシーンは痺れた。主人公役の演技がほんとにうまい。宮沢賢治の作風がうまく表現されてて完成度が高い。 3.(あいちゃんは幻)中盤まで特筆するほど面白くはないが、終盤はなかなか良かった。 FMシアターは9月から11月しか聞けなかったので偏っていて、すみません。過去作漁っていて、新作はあまり聴けなかった。
  • ミラーボールの圧勝
  • ファンタジー、SF、歴史物など、日常から離れた作品にワクワクできるのが楽しみです。
  • 「ミラーボール」は谷村美月さんが標準語でも違和感なく演じられており、関西弁以外でも魅力的だなと感じさせられました。ストーリーも登場人物のやり取りもおもしろく、何回もリピートして聞かせていただきました。 FMシアターは死別・離婚・親子不仲といった暗いテーマが多すぎるのでこういった作品をもっと増やして欲しいです。
  • 飛び抜けて良いと思える作品に出会えなかった気がする。海外ラジオドラマシリーズ,あるいは海外文学シリーズの再開を望む.
  • ホワイトダストの最初を聞き逃してしまったので再放送して欲しいです

地方局制作作品

FMシアターは、青春アドベンチャー以上に地方局が制作する作品が多いのですが、特に今年は地方局の作品への投票が多いのが特徴でした。

ベスト5に入った6作品(5位が2作品のため)のうち、NHK本局が作成した作成した作品は第2位の「声の訪問者」だけで、他はすべて地方局制作の作品です。

原作付き作品

また、もともと原作付の作品が少ないFMシアターですが、特に今年は票が入った作品で原作付なのは、ノンフェクションを「原案」にした「ともに帰らん」を除けば「散歩道」のみ。
「散歩道」もNHK「銀の雫文芸賞2016」に応募された公募小説が原作ですので、一般に市販されている小説が原作ではありません。
その意味では、通常の原作付作品はひと作品もランキングに入りませんでした。

同じようなテーマ多すぎ

そして以上の特徴が原因かどうかは分かりませんが、近年のFMシアターは似たようなテーマの作品が多いことも、良くない意味での特徴になっていると思います。
具体的には、高齢社会や認知症をテーマにした作品が多すぎる。
「銀の雫文芸賞」という高齢社会をテーマにした小説を公募しているNHKのことですから、ひょっとして「ここ数年のFMシアターは高齢社会で行こう」という方針があったのかもしれませんが、あまり色が強すぎるのも考えものだと思います。
また、「今日的なテーマで作品を作っていたら、たまたまそのような作品が集まってしまった」ということなのかも知れません。
まさか脚本家が重いテーマを採用することで作品の格調高さに酔っているとは思いませんが、家族の問題を書きやすいという理由から選んでいる側面はあるのかも知れません。

コメディはいかが?

あまりテーマを統制するのが良くないのもわかりますし、娯楽作品はTVドラマや青春アドベンチャーに任せてそれらでは作りづらい作品を、という意向も分かるのですが、テーマが被りすぎないように年間を通したバランスはとるべきだと思います。
16人程度のアンケートをもとに大変僭越なことを書いてしまいますが、この人気投票で、コメディ色のある「ミラーボール」がトップをとったのは、リスナーからの一つのメッセージなのかも知れないと感じました。

【2016年のリスナーアンケート結果一覧】


■アンケート企画の結果
各年ごとアンケートの結果一覧はこちらから、全作品アンケートの結果一覧はこちらからご覧ください。


■2010年代の放送作品
2010年代にFMシアター/特集オーディオドラマで放送されたラジオドラマのうち、当ブログで紹介済みの作品の一覧はこちらです。


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