- 作品 : 恐怖の館・日本古典編
- 番組 : サウンド夢工房
- 格付 : B+
- 分類 : ホラー
- 初出 : 1990年8月6日~8月10日
- 回数 : 全5回(各回15分)
- 原作 : (下表のとおり)
- 脚色 : 佐々木守
- 音楽 : 横山菁児?
- 演出 : 笹原紀昭
- 主演 : 田中信夫
勝手ながら「青春アドベンチャー七不思議のひとつ」と思っていることがあります。
それはホラー作品が極端に少ないこと。
ラジオドラマってホラーにあっていると思うんですよね。
特にダミーヘッド録音を使って耳元で囁かれたら!
でも実際には、本作品が620番目となるこのブログにおける作品紹介の歴史で、ホラーに分類した作品は本作品を含めてわずか16作品(2.6%)。
数が少ないうえに…
しかも「ホラー風味」ていどの薄味の作品が多く、ちゃんとホラーとして成立している作品は「アクアリウムの夜」や「おしまいの日」、「ブラックホール」などごくわずか。
最近では「泥の子と狭い家の物語~魔女と私の七〇日間戦争~」くらいでしょうか。それも怖いのは前半だけだし。
「カーミラ」に至っては別の意味でドキドキですし。
これほどホラーが少ない原因は、制作側が驚かすことは良くない(運転中だったら確かに危ないかもしれませんね)と考えており、意図的に自制しているのではないかと思ってしまうほどです。
でも、やっぱり夏は怪談が欲しい!と思い、夏の終わりにホラー作品を紹介することとしました。
とはいえ紹介する作品が放送された番組は「青春アドベンチャー」ではなく「サウンド夢工房」。
まあ、細かいことはご容赦ください。
1週ごとにほぼ独立
さて、ご紹介する「恐怖の館」という作品は1990年8月に3週に亘って放送された作品。
第1週目「日本古典編」、第2週目「欧米編」、第3週目「日本現代編」が連続して放送されました。
その意味では3週分15回をあわせて1作品とも言えますが、各週ごとに演出家や出演者、音楽等が異なり、雰囲気もかなり違いますので、それぞれ独立した作品として扱うことにします。
まずは「日本古典編」。
この5話の概要は以下のとおりです。
原作 : 小泉八雲
出演 : 田中信夫(夫)・寺瀬めぐみ(妻)ほか
粗筋 : 死に行く妻に「再婚はしない」と誓った夫だったが…
一言 : いやもう予想どおりの展開。 というか誰でも聞いたことのある典型的怪談。
原作 : 幸田露伴
出演 : 田中信夫(侍)・増岡弘(船頭)ほか
粗筋 : 水死体からはぎ取った見事な竿。使っていたらやたらと釣れるのだか…
一言 : 「釣りキチ三平」の「恨み竿」や「呪い浮き」はこれが元ネタなのかな。
原作 : 上田秋成
出演 : 田中信夫(僧)・銀河万丈(改庵禅師)ほか
粗筋 : 美形の稚児に迷い鬼と化した僧。高僧・改庵禅師は対決を決心するが…
一言 : 坊主が鬼になるのも典型的なパターン。やぱり僧侶はそういう目で見られていたのだろうか。
原作 : (不明)
出演 : 田中信夫(男)・寺瀬めぐみ(妻)ほか
粗筋 : 鬼のいる橋の噂を聞いた男は、俺なら渡って見せると粋がったが…
一言 : これも「耳なし芳一」などにも通じる典型的な怪談の展開。
原作 : 志賀直哉
出演 : 田中信夫(男)・寺瀬めぐみ(妻)ほか
粗筋 : 髭剃り名人の床屋・芳三郎。しかしその日はどうにも体調がすぐれなかった…
一言 : 体調不良の男の気持ちの変化は不条理だが妙にリアリティがある。
ご覧になってわかるかと思いますが、「日本古典編」という名称ですが必ずしも古典作品ではなく、近代の作家による「時代もの」も含まれています。
ただいずれにしろあまり怖くはないかな~
ダミーヘッド録音らしいのですけど。
主演は田中信夫さんですが…
なお、主な出演者は田中信夫さん(夏への扉など)、寺瀬めぐみさん、増岡弘さん(韓国・鉄道・グルメの旅)、銀河万丈さん(北海タイムス物語など)、山本百合子さんの5名。
そして全話、鈴木瑞穂さん(ソフィーの世界など)が語りをしており雰囲気バッチリです。
基本的には田中さんが主演扱い(最初にコールされる)ですが、「剃刀」のみ増岡弘さんが一番最初にコールされます。
そういえば増岡弘さん、今年(2020年)3月に亡くなられたんですよね。
「マスオさん」や「ジャムおじさん」ももう故人ですか…
【笹原紀昭演出の他の作品】
アドベンチャーロード期を中心に多くの傑作アクション作品を演出された笹原紀昭さん。
演出作品はこちらに一覧を作っています。
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