- 作品 : イノシシが来た
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : B-
- 分類 : コント
- 初出 : 1994年12月19日~12月23日
- 回数 : 全5回(各回15分)
- 作 : 藤井青銅
- 演出 : 千葉守、岩谷可奈子
- 主演 : 阿藤海、伊藤留奈
1994年もあとわずか。
今年もそろそろ、銀河連邦の命を受け地球を監視してきた監視員の引継ぎが行われる頃だ。
今年は戌に扮している男性の監視員から、イノシシに扮する女性の監視員に交代するようだ。
1993年の地球(のうち主に日本)ではいったい何が起きたのか。
引継ぎの様子を聞いてみよう。
ショートコントで1年を振り返る「年忘れ青春アドベンチャー 干支シリーズ」。
1993年の「我輩は犬である」からスタートし、2009年の「燃えよ虎の子」まで毎年年末に放送された人気シリーズでした。
本作品「イノシシが来た」はその2作目であり、番組中では「青春アドベンチャースペシャル」とコールされており、まだ「年忘れ青春アドベンチャー」という呼び名は使われていません。
他の年と同様に、銀河連邦の方針で監視対象扱いとなっている地球に派遣された監視員が、年末に引継ぎをするためにその年の出来事を振り返るという体裁でつくられています。
各回の概要
各回のネタは以下のとおりです。
第1回:???
「野良猫除けのペットボトル」「アルバイトのスチュワーデス」「米不足」
スチュワーデスという用語に時代を感じますね。
さて、いわゆる「平成の米騒動」が発生したのが平成5年。
この作品が放送された平成6年末にはほぼ終息していました。
緊急輸入したタイ米を潔く廃棄した危機感の薄い日本人。
「貧乏人はタイ米を食え」と書いた漫画家もいましたね。
まさに美しい国ニッポン。
なお、本作品の頃はまだ各回の冒頭でその回のテーマを言ったり言わなかったり。
この回は特にテーマを明示しませんでした。
第2回:政治経済
「リストラ」「価格破壊」「細川首相→羽田首相→村山首相」
「リストラ=栗鼠+虎」なんて、いくらなんでも小学生レベルの駄洒落ですよ、藤井さん。
それにしても、あの「お殿様」の投げ出し方って前代未聞でしたよね。
まあ名家のお坊ちゃまには首相であることですら大したことではなかったのかも知れませんが。
そういえば、後に「お殿様」に匹敵する政権投げ出しをやってのけた、あの方も戦後日本を代表する政治家家系のお坊ちゃまでしたね。
順風の今は良いものの、ちょっと逆風になった途端にまた投げ出すのではないかという疑念がどうしてもぬぐえません。
第3回:スポーツ
「広島のアジア大会」「貴乃花が横綱に」「長嶋ジャイアンツ優勝」
そういえば夏季のアジア大会(アジア競技大会)は、この1994年の広島大会以降、日本では開催されていませんね。
また、貴乃花の現役時代が遠い昔のように感じられます。
この頃はお兄ちゃんまで横綱になるとは思わなかったなあ。
第4回:事件・出来事
「トカレフを使った事件が頻発」「向井宇宙飛行士宇宙へ」「関空開港」
トカレフってこの銃を設計した旧ソ連の技術者の名前なんですよね。
ご本人は1968年に他界しているのですが、中国製のコピー品が1980年代以降の日本で大量に出回って多くの事件を起こしたわけです。
「人類史上最も多くの人を殺した武器」の産みの親として歴史に名を遺してしまったカラシニコフや、銃器製造会社からの収入をもとに奇怪な家を増築し続けたサラ・ウィンチェスターなどを聞いていると、銃器設計者とはとても因果な商売だと思います。
第5回:文化芸能
「大江健三郎ノーベル文学賞受賞」「超能力ブーム」「コギャル」
この頃がコギャルのブーム時期ですね。
今思えば、これも奇怪な風俗でした。
この回にはポケベルの話が出てきますが、すたれ始めるとあっという間でしたね、ポケベル。
出演者のご紹介
メインの出演者は、この年の戌年の阿藤海さんと、イノシシ年の伊藤留奈さんです。
このシリーズの恒例に従い、阿藤さんは前年から引き続きの出演、伊藤さんは翌年も出演されました。
ちなみに第1回で、この番組は12年周期であり、中11年で再び登場するようなことを言っていますが、実際の12年後の作品「イノシシ ボンバイエ!」で、戌年・イノシシ年を演じるのは別の方になります。
【藤井青銅原作・脚本・脚色の他の作品】
青春アドベンチャーの長い歴史において、最も多くの脚本と最も多くの笑いを提供しているのが脚本家・藤井青銅さんです。
こちらに藤井青銅さん関連作の一覧を作成していますので、是非、ご覧ください。
本作品の第2回が2019年3月放送の「今日は一日“ありがとうFM50”三昧~オーディオドラマ編」で紹介されました。
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