脚本家の競作によるオリジナル短編ラジオドラマ作品集シリーズ「ライフシリーズ」。
2012年の「カラー・ライフ」をもって終了したと思われていた同シリーズが、出演者も新たに2015年に復活しました。
作品名は「フラワー・ライフ」。
各短編に共通するテーマは「フラワー」=花です。
なお、「花」をテーマにしたオリジナル短編集としては名古屋局の「秘密の花園」(2014年)という先例があります。
さて、ライフシリーズにおける本作品「フラワー・ライフ」の一番の特徴は、主演のコンビが変わったことでしょう。
大路恵美さんと内田健介さんから、佐藤みゆきさんと亀田佳明さんへ。
このままこの新しいペアが続くのか、今後は1作品ごとに主演が変わるスタイルになるのか、要注目ですね。
そもそも、このシリーズが続くかどうかもわからないのですけど。
一方、脚本を書いた作家さんは、過半が「カラー・ライフ」からの続投。
実は「カラー・ライフ」で、それ以前の「ナンバー・ライフ」などからかなり脚本家が入れ替わっていたので、しばらくはこの方々中心でいくということなのかも知れません。
各話のタイトル、脚本家、ジャンル、格付け、粗筋、一言等は以下のとおりです。
すでに何回も書いているのですが、私は青春アドベンチャーでは基本的に原作付きの長編を望んでおり、短編集作品には基本的に辛口です。
短編集シリーズ好きの方にはご容赦頂きますようお願い致します。
◆第1話 「ママのコスモス」 (仲井美樹)
妹が父からもらった写真に写っていたのは実は妹だったのでは?そんなことを考えた。
◆第2話 「バラの咲く日」 (蜂飼耳)
何か起きると思って聞いていたのだが…。毒にも薬にならない話。
◆第3話 「赤百合幻想譚」 (花房朋香)
結末の解釈はリスナーに任せる寓意性の強い話。市原悦子さんの日本昔話的語りが魅力。
◆第4話 「あじさいの岸辺」 (日和聡子)
全編が抽象的で寓意に彩られた幻想的な話…のようだが、正直よくわからなかった。
◆第5話 「ひまわりも咲いた」 (和合亮一)
見知らぬおばさんに説教されただけで立ち直る男は、すぐにまたくじける気がする。
◆第6話 「燃えるようなチューリップ」 (吉田海輝)
ネグレクトは論外だが、子供はもっと適当に対応して良いのでは?
◆第7話 「桜とコーヒー」 (大橋秀和)
プロ意識のない女性が不愉快。店長の認識も甘い。ただ結末は悪くなかった。
◆第8話 「たんぽぽの穴」 (西尾成)
女性の言い訳・言いがかり・逆切れと、男性の意味不明な反応が?結末も陳腐。
◆第9話 「蓮の花が散る時」 (フジノサツコ)
現実を認められない男のわがままな言説が不愉快。この作品も最後は投げっぱなし。
◆第10話 「追憶の菊」 (中津留章仁)
戦争?携帯電話?時代背景もわからない幻想的な話。親子が一服盛ってトリップした訳ではないよね?
前半は、母親を花と結び付ける作品がやたらと多いことが気になりました。
第3話以外すべてがこれに該当します。
もちろんひとりひとりの作家さんがそれぞれ考えた結果、たまたまこうなったのでしょうが、「花+死んだ母親=切ない心情」というパターナリズムばかりが幅を利かせるのもいかがなものでしょうか。
特に第4話・第5話から感じるマザコン臭さは少し辟易します。
まあ第5話についてはそのマザコン臭さが故に、市原悦子さん演じるおばさんの啖呵の切れが増すのですけど。
第3話といい、第5話といい、また後半の10話といい、ゲストで出ている市原悦子さんの演技は雰囲気たっぷりです。
また、全体として、作品中では主人公の心境の変化を抽象的に描くところまでで、その後彼らがどのように考えるようになったか、どのように行動したか、そしてリスナーはこれらをどうとらえるべきかは、リスナーに任せる作品が多いように感じました。
第3・4・6・9・10話がそのような傾向です。
そのせいでとても幻想的・抒情的・寓意的ではありますが、投げっぱなしと印象を受ける方も多いと思います。
良く言えば大人向き、悪い言えば制作側の独りよがり、といったところでしょうか。
【ライフシリーズ作品一覧】
NHK大阪局主導のオリジナル脚本の短編作品集シリーズ、ライフシリーズの作品一覧はこちらです。
是非、他の作品の記事もご覧ください。
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テレビがないのでラジオドラマを聞いていますが、四話、なんだか全くわからなく、解説等探してたらこのサイトがありました。〈よくわからなかった〉というコメントで、安心しました。なぜこのような訳わからぬ中途半端な作品が放送されるのか、もう少し上質な作品を望みます。ラジオドラマファンはますます減ってしまいます。
しかも、これは再放送ですよねぇ。久しぶりに声優の幸田直子さんの声を聞きました。ある外国ドラマでの吹き替えの幸田さんのお声が大嫌いでした。
声優を代えて!と抗議したくなるほど
ストレスでしたが、普通の声出るんじゃない!こういう押さえた声を出して欲しかった。本当に違和感のある個性の強い声でした!