無印OL物語 原作:群ようこ(サウンド夢工房)

格付:B
  • 作品 : 無印OL物語
  • 番組 : サウンド夢工房
  • 格付 : B-
  • 分類 : 日常
  • 初出 : 1991年2月25日~3月8日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
  • 原作 : 群ようこ
  • 脚色 : 長川千佳子
  • 演出 : 角井佑好
  • 主演 : 熊谷真実

小説家・エッセイストの群ようこさんによる処女小説「無印OL物語」をラジオドラマ化した作品で、青春アドベンチャーの前番組である「サウンド夢工房」(1990年4月~1992年3月)で放送されました。
群ようこさんといえば、バブル期からバブル崩壊後10年程度の間、若い女性に絶大な人気を博した方です。
若い女性の「本音」を軽妙な文体に乗せ、エッセイに、小説に大活躍されました。
ちなみに群さんがエッセイストとしてデビューしたのが1980年代前半、初の単行本は1984年の「午前零時の玄米パン」。
そして小説家としてのデビュー作が本作品の原作である「無印OL物語」(1989年)と、その軌跡はまさにバブルの隆盛と軌を一にしています。


一世を風靡したエッセイスト

バブル時代はディスコやお立ち台が象徴するように、女性も元気良かった時代であり、その時代の空気に群さんのあっけらかんとした「本音」トークが受けたのだと思います。
ただ、今改めて聴いてみると、例えば2019年放送の「日本のヤバい女の子」などと比較して随分と雰囲気が違うことに驚かされます。
ジェンダーギャップというか、女性に期待されている役割(あるいは女性自身による自分たちの役割の定義づけ)が意外と古くさいというか、とにかく隔世の感です。
いつの間にか自分の意識も随分と変わり、女性も男性と同様に働くことが当たり前と思うようになっていた(逆に言えば当時は心のどこかでそう思っていなかった)ことに愕然とするのですが、ではこの四半世紀、女性を取り巻く環境が良くなる一方だったと言いきれないのもまた事実だと思います。

女性の地位向上は未だ道半ば

この点について、本作品のテーマ曲が「スーダラ節」(おそらく1990年発売の「おやじGALS」による「平成スーダラ節/OLバージョン」と思われる)であることは随分と寓意に富んでいるように感じられます。
実際、その後、女性の社会進出が進んだのは確かなのですが、皮肉なことに同時に女性労働者の非正規化の動きも進みました。
当時のスーダラなOLのままの方がよかったというつもりはありませんが、なかなかうまくはいかないものですね(男女別姓くらいさっさと実現すると思っていたけど)。

そもそも”OL”って…

ところで今の若い人はそもそも“OL”(=オフィスレディー)という言葉自体ご存じなのでしょうか。
OLという用語は日常会話ではほとんど使わなくなりました。
知っていたとしても、もはや“モガ”(=モダン・ガール)や“BG”(=ビジネスガール)とかいった用語と同レベルの歴史的な用語になりつつあるのかも知れません。

ラジオドラマ向きの大幅な改変

さて、それはさておき本作品「無印OL物語」は、主人公の“無印OL”ことゴンドウ・マユミ(33歳)が、 “後輩OL”アキコに対して、自分の「友人」であるOLたちの生態(悲喜劇のエピソード?)を紹介していく形の作品です。
各回の構成は、まずマユミとアキコの日常会話から始まり、その中でマユミが「そういえば私の友人にこんな子がいるのよ」といって各エピソードが始まる形。
そして、途中にその回の内容を象徴する歌が一曲紹介され、またそのエピソードが続いて、1回完結形式で終わります。
ただし、原作の「無印OL物語」はこのような構成をとっておらず、1話完結のショートショート(「私」が主人公になる一人称の作品が多い)が12編収録されている作品です。
つまり本作品は脚色の長川千佳子さんの手によりラジオドラマ向きに大きく改変されている作品です。

採用エピソード一覧

とはいえ、各エピソードは原作準拠ですので、原作の各編のタイトルを付して各回についての一言感想と上記のとおり紹介された曲を一覧にすると以下のとおりです。
なお、原作小説12編のうち「あんぱんとOL」、「ハイヒールで全力疾走」、「やめるときは一緒」、「体力勝負」、「六月末まで」は以下に記載がないのですが、よく見ていただけとわかるとおり1回分だけ手元に音源がないので(音源をお持ちの方、ぜひお聞かせください)、その回が上記のどれかに該当するのかも知れません。
また、第6回と第9回は原作「無印OL物語」には該当作品が見当たらない内容です。
そのため群ようこさんの当時の他の作品「無印良女」、「無印結婚物語」、「無印失恋物語」、「あめりか居すわり一人旅」を確認したところ、第9回のみ「無印良女」に収録されていることが確認できました。
ただ第6回だけはこれらの作品にも見当たらず、オリジナルなのか判断しかねるところです。

回数 タイトル
一言
曲名
1 結婚するならホドホドの人
結婚に執着しすぎた人の悲劇のはずだが意外とバッドエンドではない気もする
コニー・フランシス「ボーイ・ハント」
2 ご無理ごもっとも
お茶くみという風習はいつ頃絶滅したのだろう
矢沢永吉「SUGAR DADDY」
3 新人チェック
さすがにここまでの大物は減った気がするが、なぜか怖いものなしの新人はいなくならない
小泉今日子「見逃してくれよ!」
4 ダンナの七光り
「大玉」(大クラスの玉の輿のこと)なんて言葉あったのか?
キャロル「ヘイ・タクシー」
5 いつでもどこでも誰とでも
したたかだけど憎めないよね、自分の人生に深くかかわらなければ
ザ・ローリング・ストーンズ「ホンキー・トンク・ウィメン」
6 ???
こんなセクハラ今ではあり得ない!といいたいところだけど…
RCサクセション「ボスしけてるぜ」
7 気くばりの人
いじめられる人間が揶揄されなくなっただけでも進歩だと思う
中島みゆき「悪女」
8 変な人
こういうちょっと変わった男も不滅、なぜだろう?
ダウン・タウン・ブギウギ・バンド「ダメな女の四畳半」
9 身の上話にご用心
本作品のみ狂言回し役のマユミが本編でも主人公
ジョン・レノン「スタンド・バイ・ミー」

熊谷真実さんと山下容莉枝さん主演

さて、上記のとおり本作品は”無印OL”マユミと”後輩OL”アキコが登場するオリジナルパートが冒頭と最後に挟まるのですが、冒頭と言ってもかなり長めで3分の1近い時間が、この二人の会話で進行します。
よって主演はやはりマユミ役の熊谷真実さんと、アキコ役の山下容莉枝さんといえるでしょう。
熊谷真実さんは1979年のNHK朝の連続テレビ小説「マー姉ちゃん」に主演された方で、同じサウンド夢工房の「家族ってなんや」(小林稔侍さん主演)のほか、「ふたりの部屋」の「拝啓 名探偵殿 パート2」や「ひとめあなたに…」、「カフェテラスのふたり」の「わたしという男」(小松正夫さん主演)や「キリコのコリクツ」などにも出演されています。
みごとに「アドベンチャー」ではない系列の番組ばかりですなあ。
一方の山下容莉枝(容里枝)さんは「夢の遊眠社」所属の女優さんで、サウンド夢工房「夢行き階段」や青春アドベンチャー「吸血鬼ドラキュラ」などにも出演されていますが、個人的な一押しはやはり「時はそよ風、時はつむじ風」かな。



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