- 作品 : 私の告白
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : B-
- 分類 : 多ジャンル(競作)
- 初出 : 2002年2月18日~3月8日
- 回数 : 全10回(各回15分)
作 : (下表のとおり) - 演出 : 濱田裕之、田中健二
- 主演 : 中江有里、松田洋治
1996年から2003年まで毎年1作品ずつ制作されていた、NHK名古屋局による脚本家競作のオムニバスラジオドラマシリーズ。
通称、「10人作家シリーズ」と呼ばれるこのシリーズの第7弾が、本作品「私の告白」でした。
意外と明るい回が多い
「10人作家シリーズ」と言えば「難解・地味・沈鬱」が特徴です。
各回のテーマを見ても「夢」、「記憶」、「嘘」、「悪戯」など、如何にもなものが並びますが、そんな中では本作品は「告白」という暗くなりがちな共通テーマが設定されている割には、いつになく明るい雰囲気の作品になっています。
その最大の原因は、やはり主演を務める中江有里さん、松田洋治さんのフレッシュな声でしょう。
俳優としての中江有里さん
中江有里さんは、21歳の時に1995年下期のNHK連続テレビ小説「走らんか!」でヒロイン(この作品は通常の朝ドラと違って男性が主人公だったため)を務められた方です。
本作品放送時点では28歳ですが、なかなか若々しくてかわいい演技です。
脚本家としての中江有里さん
実は、この年、中江さんはNHK大阪放送局主催の「BKラジオドラマ脚本懸賞」で入選し、脚本家としても活躍されることになります。
後に青春アドベンチャーでも「不思議屋不動産」、「インテリア・ライフ」、「神南の母(ママ)の備忘録(メモワール)」に脚本を提供しています。
青春アドベンチャーで、主演女優と脚本家の双方を務めたことがある方は、中江さんの他には、「アナスタシア・シンドローム」などで主演、「優しすぎて、怖い」などで脚色を担当した前田悠衣(前田真里さん)さんだけでしょう。
松田洋治さんといえばラジオドラマ
一方の松田洋治さんもNHK-FMのラジオドラマでは超常連だった方。
本作品の前年にはウォーリー木下さん脚本の「645~大化の改新青春記~」にも主演されています。
あまりに常連過ぎたため、2015年の特番「今日は一日ラジオドラマ三昧」のMCを任されるほどでした。
声変わらなすぎ
「今日は一日ラジオドラマ三昧」を聞いて驚いたのですが、松田さんの声は今でも十分に若々しい。
「風の谷のナウシカ」のアスベルや「もののけ姫」のアシタカの印象が強烈なこともあり、今でも少年役が務まりそうです。
なお、このふたりが主役格ですが、特に後半は中江さんメインの作品が多いように感じました。
各回の概要
さて、全10回の各回のタイトルと概要は以下のとおりです。
各回ごとに完結したストーリー10本で構成されています。
◆第1話 「ミセス納豆」 (さわだみきお)
格付 : C
数々の大会で準ミスに輝いた美女の妻が、またミスコンに出たいと言い出したのだが。
ディストピアSFなのか単なるコメディか?小ネタが多くてとっ散らかった印象の作品。
◆第2話 「ウーマン」 (原田明実)
格付 : B
娘を迎えに行く車で接触事故を起こした母親。見知らぬ男が乗り込んできたのだが。
松田さんのチャラい演技がなかなかgood。結末が曖昧なのが残念。
◆第3話 「幻燈ワルツ」 (山内将史)
格付 : C
哀愁漂う場末の芝居小屋。旅芝居の看板役者が語り出す。
役者の物語か登場人物の物語か。罰を受けたのか救われたのか。よく分からない。
◆第4話 「いつまでも手を振る人」 (大道珠貴)
◆第5話 「机上の告白」 (はせひろいち)
格付 : B
「ハマダ」という架空の中堅小説家が依頼を受けて書いた脚本の名は「机上の告白」。
この作品自体をネタにしたような作品。残念ながらオチはちょっと弱い。
◆第6話 「やわらかい金貨」 (二木美希子)
格付 : C+
夜の街をうろつく女子校生をつかまえたが、逆に質問攻めにあってしまった女。
不妊治療でいらいらした女性の話。とても今日的なテーマだがあまり面白くはない。
◆第7話 「定規」 (伊佐治弥生)
格付 : B
不倫旅行にやって来た男女。女はなぜか定規を持っている。
恋愛というよりか不倫の話。というかほとんど単なる痴話喧嘩。ただ印象には残る。
◆第8話 「暇つぶし」 (田島秀樹)
格付 : B-
無線で話す男女。女はなぜかタクシーの中から話している。男はどこから?
おしい。もう一工夫で面白くなりそうなのだが、平凡なラスト。
◆第9話 「私はサクラ」 (神谷千加子)
格付 : B
郊外の寂れた商店街。居酒屋兼イタリア料理屋で、なぜ女はサクラをかって出るのか。
中江さんの高熱でぶっちゃけて話す演技、そして泣く演技がかわいい。
◆第10話 「レインブルー」 (土肥陽子)
格付 : B-
雨の日、最後に残った一本の傘を譲り合った男女。ホテルで再び運命が交錯する。
細かいストーリーが分かりづらい。それにしても結局彼女はどう告白するのか。
各回の最後に次回のタイトルを読み上げるのは、このようなオムニバス作品ではありだと思います。
【10人作家シリーズ(名古屋脚本家競作シリーズ)作品一覧】
その難解さとアンニョイさで青春アドベンチャーでも異彩を放つ、名古屋局制作のオムニバス作品シリーズの一覧は、こちらです。
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